ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年5月29日。ウクライナ侵攻から95日目

2022-05-29 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年5月29日。今日もミンスクは不安定な天気でした。

 ノルウェー外務省は、ノルウェー語で「Hviterussland」と表記していたベラルーシ共和国の呼称を「Belarus」に変更し、今日から新表記を使用します。

 Hviterusslandを直訳すると白ロシア。
 これだとロシア連邦の一部だという印象を与えますね。特に今はロシアから切り離されて捉えてほしいと願っているベラルーシ人も多いと思います。

 ベラルーシをロシアの一地方だと勘違いしている人は多いと思います。
(ロシアにある「ベラルー市」という町だと思っている日本人もいる。)

 ドイツ語でもベラルーシはWeißrusslandで、白ロシアだし、他にも白いロシアという表現を使っている言語はたくさんあるでしょう。

 ちなみにロシア語ではベラルーシ(国名)はベラルーシなのですが、「ベラルーシの」という形容詞になると、белорусский となり、ベロルースキーになります。
 このベロがロシア語っぽい表現で、「ベラルーシの」をベラルーシ語にすると беларускі で、ベラルースキー となり、この「ベラ」がベラルーシ語っぽいなと思います。

「ベラルーシ」という国名をベラルーシ語で書くと「Беларусь」で、ロシア語でも同じなのですが、ソ連時代ロシア語っぽく「Белоруссия」と表記していました。これをカタカナ表記すると「ベロルシヤ」になりますが、「ルシヤ」の部分を日本語に訳して「ロシア」にし、全部で「ベロロシア」と訳したため、昔学校で「ベロロシア・ソビエト社会主義共和国ってそういや習ったなあ。」
という日本人や、「ベロ」が「白」に訳されて、
「いや、白ロシア・ソビエト社会主義共和国じゃなかったっけ?」
という日本人もいます。

 ロシア語としての「Белоруссия」という表記は、今でも残っていて、ベラルーシのこと「Белоруссия」と呼んでもいいのですが、そう呼んでいるのは大概ロシア人で、ベラルーシ人は、
「ベラルーシはベラルーシだ。ベロルシヤではない。」
と主張している(ロシア人の間にも「ベラルーシ」という呼称を広めて定着させようとしている)ことが多いです。
 
 「ベラルーシ」は「白いルーシ」のことですが、「結局、白いロシアでしょ?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、ルーシとロシア(特に今のロシア連邦)は違うものです。
 昔、日本のことを「大和(やまと)」と呼んでいたことを引き合いに出して、例えると、仮に日本のどこかに「白大和」という地方があったとして、それがその後独立国家になったとする。これを「白日本」と訳すのはあまり正しくないし、外国人に誤解されそうですね。

 ちなみに「大きいルーシ」はロシアになり、「小さいルーシ」はウクライナになり、「白いルーシ」はベラルーシになりました。
 それから「赤いルーシ」も「黒いルーシ」もあったのですが、赤いルーシは今のウクライナの中にあり(小さいルーシの一部になって、個別に「赤いルーシ」と呼ばれなくなった。)黒いルーシはベラルーシの中にあり(同様に個別に「黒いルーシ」と呼ばれなくなった。諸説ありますが、黒いルーシは今のベラルーシ西部の一部になったと言われています。)残った三つのルーシが、兄弟国と呼ばれるようになったのですが、残念ながら、今は戦争状態です。