電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

サクランボの食べ方と選果ではじかれた実の行方

2023年06月15日 06時00分37秒 | 料理住居衣服
サクランボのシーズンです。とくに、佐藤錦は今がシーズンまっただ中。当地山形のサクランボは、第3日曜日の18日あたりが最も人出が多くなるのではなかろうかと予想しています。

ところで、サクランボは皮が薄く、傷みやすい果物です。桃はうっかり触ると指の跡がつくので取扱は慎重にすることはよく知られていますが、サクランボは桃よりもさらに皮が薄いのですから、もっと繊細な扱いが必要です。というよりも、むしろ一定の割合で傷みが発生するのはやむを得ないと考えるべきではなかろうか。生産農家の流儀では、もいできたサクランボをザルにどばっとあけてざぶざぶと水洗いし、その時点で傷み果を捨て、どーんと食卓に出します。大きくて赤い実から順に減っていき、最後に小さくて赤くない実が残る、というようなイメージです。

こういう食べ方が、いわゆるサクランボの「生食」(なましょく)です。これに対して、ジャムにしたりフルーツソースにしたり、あるいは梅干しのように漬物にしたりするような食べ方もあります。こうした食べ方には佐藤錦は向かず、ジャムやソースには「紅さやか」や「ジャボレー」等の赤黒い系が適していますし、梅干しのような漬物などに加工するには、昔ながらの「ナポレオン」などが適しています。



いずれにしろ、傷みやすいサクランボは良品と不良品を分ける選果が重要です。この選果の過程ではじかれた傷み果は、程度の良いものが雇人の人たちや生産農家のご近所におすそ分けされる形で消費されますが、持って翌日くらいまでですので、あまり程度のよろしくないものは結局のところは廃棄することになります。生産農家にとっては日常的な風景でも、消費者の皆さんにとってはもしかしたら衝撃的な写真かもしれませんが、選果ではじかれたサクランボは畑に穴を掘って埋めてしまいます。こうすることで、ショウジョウバエの発生や灰星病の胞子?が周囲に飛ぶのを防いでいるのです。




コメント (4)    この記事についてブログを書く
« 電子辞書もそろそろ寿命か | トップ | 本丸東のゲソ天板そばでお昼... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
切ないです (美恵子)
2023-06-15 13:55:18
プルーンを作っていた時、収穫時のものが台風で敷いたように落果しました。
一瞬きれいと思った位。
それを全部拾って埋めました。大変な作業でした。
とても切ない思い出です。
さくらんぼはルビーのようにきれいですね。
お疲れ様です。
返信する
美恵子 さん、 (narkejp)
2023-06-15 21:17:48
コメント&共感いただき、ありがとうございます。生産者としては、多少の軸割れなどは問題なかろうと思うのですが、やはり消費者のクレームが怖いということで、農協の共同選果場ではじかれます。それでは最初から厳しく選果したほうがよいということで、大量の不良品が生じます。今年は特に雨降りが多かったので、実割れが多く発生し、歩留まりが下がってしまいました。埋める方も、内心もったいないなあと思っています(^o^)/
プルーンが台風で…それも切ないですね。青森県のリンゴ台風のときを思い出します。我が家でもリンゴが落果したときの写真があったなあ。これです。
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/7a4375da5b1684a8099b6cc84ef37260
返信する
やっぱり (美恵子)
2023-06-18 20:36:11
収穫時に台風が来るとおてあげですよね。人間の力は微力と思い知ります。
共選はきびしいです。こんなだと、いつか生産者がそっぽ向くかもと思ったことありました。地産地消で、おだやかに売れるといいですが、そうなると高く売れませんかしら。
返信する
美恵子 さん、 (narkejp)
2023-06-19 05:39:20
コメントありがとうございます。西日本のほうは台風が毎年のように通り、それも大変だなあと思いますが、反面、渇水期の四国の水瓶を満タンにしてくれるありがたい面もあり、功罪半ばする存在でしょうか。雪国の大雪も、山々に水を貯め込む資源でもありますので、ありがたい面もあるのと同じですね。
農協の共撰は、無意味な厳しさと感じるときもありますが、品質面で産地のブランドを守るために仕方がないのかなと思っています。ただ、外国の富裕層を意識しすぎてあまりに高付加価値路線を走ると、いつか一般の消費者にそっぽを向かれるのではと懸念する面もあります。
返信する

コメントを投稿

料理住居衣服」カテゴリの最新記事