電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

プレシャス・カルテット山形公演vol.2でハイドン、ブリッジ、ブラームスを聴く

2014年03月29日 06時03分39秒 | -室内楽
天気予報では全国的に好天でしたので、一日休みを取って、果樹園の剪定枝の後片付けに精を出しましたが、まだ終わりません。発芽の前に、そろそろ休眠期の防除をしなければならず、なんとか今週中には終えたいところです。にもかかわらず、夕方から山形市の遊学館ホールに出かけ、プレシャス・カルテット山形公演vol.2を聴きました。今回の曲目は、

(1) ハイドン 弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」
(2) ブリッジ ロンドンデリー・エアー
(3) ブラームス 弦楽四重奏曲第1番ハ短調Op.51.1

というものです。前回(*1)は、かなり親しみやすい曲目もありましたが、今回はぐっと渋いプログラムとなっています。今回は、簡潔で読みやすいプログラムノートもあって、良かった良かった(^o^)/



遊学館ホールは、講演会だとか○○式典などでは入ったことがありますが、音楽会、しかも室内楽の演奏会は初めての経験です。ステージには、演奏者の背面に反響板を置き、天井にもシート状のものを吊り下げて吹き抜けでない形にしています。開演前のホールの聴衆のざわつきを聴く限り、石造りと木造とを併用した構造で、けっこう反響はあるようです。三月末の花の金曜日という、送別会シーズンのせいか、お客さんの入りは今ひとつで、もったいない! それとも、県営駐車場で割引が受けられるとはいうものの、専用駐車場を持たない会場を郊外のマイカー族が敬遠し、徒歩や自転車で来れる人が中心だったのでしょうか。

ステージ上は、向かって左から、第1ヴァイオリン:水色のドレスの加藤えりなさん、第2ヴァイオリン:白いドレスの古川仁菜さん、ヴィオラ:ピンクのドレスの岡さおりさん、そしてチェロ:黒いシャツ姿の小川和久さんです。

前半は、ハイドンの「皇帝」。安定感のある技術とアンサンブルが、バランスの良い響きを生み出します。どちらかといえば、外に向かう陽性な表現というよりは、内に向かう求心的な演奏と感じました。例の「皇帝讃歌」を含む第2楽章も、静かで美しいものでした。
続くブリッジの「ロンドンデリー・エアー」は、「ロンドンデリーの歌」もしくは「ダニーボーイ」として親しんでいる旋律がどこかに聞こえる現代風の音楽です。ヴィオラに魅力的なフレーズが多く、「ダニーボーイ」の旋律がかなりはっきりと出てくるところなどは、特に印象的です。四人の合奏で再び「ダニーボーイ」の旋律がしっかり出てくるところは、いい音楽だな~と聴き惚れます。

15分の休憩の後、後半はブラームスです。第1楽章:アレグロ。緊張感と集中力を要する音楽が、緻密に、しかし激しさを内包して演奏されます。ヴィオラの長く引く音が印象的。第2楽章:ロマンツェ、ポコ・アダージョ。ブラームスらしく、内声から入ります。優しく穏やかな音楽。終わり方も、ヴァイオリンがピツィカートなのに、ヴィオラとチェロは弓で、始まりに対応しているのでしょうか。第3楽章:アレグレット・モルト・モデラート・エ・コモド~ウン・ポコ・ピウ・アニマート。第2ヴァイオリンがユラユラと揺れる間、他の3人がピツィカートを奏するなど、面白いところがたくさんあります。優しい音楽です。第4楽章:アレグロ。出だしの悲劇的な気分など、「ハ短調」を意識したのでしょうか。劇的な昂揚があります。あ~、良かった!

アンコールは、アストル・ピアソラの「リベルタンゴ」(*2)。皆さんがそうなのかもしれませんが、特に第1ヴァイオリンの加藤さん、この曲がお好きなのでしょうね。のって演奏されているのがよくわかりました。私もこの曲が大好きですので、のりのりで(^o^)聴きました。帰りの車中でも、この曲がエンドレスでリピートしておりました(^o^)/

(*1):プレシャス・カルテット山形公演を聴く(1),(2)~「電網郊外散歩道」2013年7月
(*2):記憶が曖昧になってしまいましたが、もしかしたら「ブエノスアイレスの四季」から「春」だったかもしれません(^o^;)>poripori

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