電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

渡辺和『クァルテットの名曲名演奏』をもとに、室内楽を聞く

2006年12月07日 06時53分18秒 | -室内楽
寒い日が続きます。暖かい部屋で、室内楽を楽しむにはかえって良い季節かもしれません。私のブログは、室内楽の記事の比率が比較的多いほうかもしれませんが、それでもまだまだ耳にしたことのない曲が多いものです。先年、田舎の小さな書店で、渡辺和著『クァルテットの名曲名演奏』という本を見つけました。現在も出ているのかどうかわかりませんが、音楽之友社のオン・ブックスという新書判の本です。

著者の渡辺和さんは、ブログ「やくぺん先生うわの空」(*)も主宰する音楽ジャーナリストで、軽妙な筆致で室内楽を主なジャンルとして活動されている方のようです。本書の構成もおもしろいもので、

第1章 これがスタンダードだ
第2章 ここまでは押さえたい
第3章 まだ聴きたいとおっしゃるなら

という章立てになっています。そして、示されている内容も、たとえば第1章なら

ハイドン「ひばり」「五度」「皇帝」、モーツァルト「ハイドン・セット」全6曲、ベートーヴェン「ラズモフスキー・セット」「第13~15番」、シューベルト「死と乙女」、スメタナ「わが生涯より」、ボロディン「夜想曲」、ドヴォルザーク「アメリカ」、ヴォルフ「イタリア・セレナード」、ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク「第3~5番」、ヴェーベルン「五つの楽章」、ベルク「叙情組曲」、ショスタコーヴィチ「第8番」、バーバー

という具合です。第2章には、ベートーヴェンなら作品18、シューベルトなら「ロザムンデ」、メンデルスゾーンの第2番と第3番、シューマンの作品41(前3曲)、ブラームスの3曲、ヤナーチェク「ないしょの手紙」といった具合に、定番とは言いがたいが次に親しまれているものが解説されています。

こういう本は、CDを集めたり次に聞く曲を選んだりするときの手がかりになるという意味で、コンパクトでたいへん便利なものです。今朝は静かにハイドンを聞いておりますが、「まだ聴きたいとおっしゃるなら」という挑戦的な(?!)フレーズにつられて、エルガーやディーリアスやマックス・レーガーなどの渋いところや、クルタークやシュニトケなどの音楽に興味を持ったりすることが、今後あるかもしれませんし。

(*):「やくぺん先生うわの空」
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