評価 (3点/5点満点)
この本では、「仕事を研究しよう」というマインドで日々の仕事を振り返り、深く考え、研究し、実践するという著者・田坂広志さんの経験を紹介しながら、仕事の高度な能力を身につけ、プロフェッショナルとして成長していくための技法について語ります。
なぜ、優秀な人ほど、成長が止まってしまうのか。そして、成長が止まっていることに気がついたならば、どうすればさらなる成長に向かっていけるのか。
その答えとして、次の「7つの壁」と「7つの技法」が用意されています。
1.学歴の壁(「優秀さ」の切り替えができない)→棚卸しの技法(「経験」から掴んだ「智恵」の棚卸しをする)
2.経験の壁(失敗を糧として「智恵」を掴めない)→反省の技法(「直後」と「深夜」の追体験を励行する)
3.感情の壁(感情に支配され他人の心が分からない)→心理推察の技法(会議では参加者の「心の動き」を深く読む)
4.我流の壁(「我流」に陥り優れた人物から学べない)→私淑の技法(「師」を見つけ同じ部屋の空気を吸う)
5.人格の壁(つねに「真面目」に仕事をしてしまう)→多重人格の技法(自分の中に「様々な自分」を育て使い分ける)
6.エゴの壁(自分の「エゴ」が見えていない)→自己観察の技法(「自分を見つめるもう一人の自分」を育てる)
7.他責の壁(失敗の原因を「外」に求めてしまう)→引き受けの技法(起こったトラブルの「意味」を深く考える)
特に、「自分は不可能だ」という「自己限定」の強い思い込みには注意が必要です。実は、「優秀な人」ほど、心の奥深くに「自己限定」の意識を抱えています。
「自分は学歴的能力はあるが、職業的能力は劣っているのではないか」「これ以上挑戦してもうまくいかないだろう」「自分はこうした自分だからこれ以上変われない」という意識に気づき、その抑圧から解放されれば、まだ眠っている能力が開花していくでしょう。