評価 (4点/5点満点)
「上司を上手に使い倒すための極意」をまとめたものが、この本です。
・世の中で優秀な社員と言われる人たちは、上司という存在をうまく使っている。使っているどころか、使い倒していると言ってもいい。上司を自分のステップアップの踏み台にしてしまっている人もいるほどだ。もちろん、いい意味で最大限に活用しているということだ。
・若い世代は、ついつい上司と部下を対立する関係に捉えてしまいがちだ。敵対して、いいことなんてひとつもない。本来、上司と部下は、お互いのためにも協力関係にあるべきもの。
本書では、上司の8機能(①プロフェッショナル・マスター機能、②サーチエンジン機能、③ヒューマンアセスメント機能、④キャリアカウンセリング機能、⑤トラブルシューティング機能、⑥アプルーバル機能、⑦ネットワーカー機能、⑧ピンチヒッター機能)を理解したうえで、身近な場所で最も成功している上司から素直に学ぶことが、今の職場で成長できる最短の方法だと指摘しています。
どんなに使い倒したって、上司はあなたに文句なんて決して言わないはずです。なぜなら、それが上司の果たすべき仕事なのですから。部下から使い倒されるのは、ある意味で本望なのです。部下に使い倒されて、それで部下が成長してくれるのなら、上司にそれ以上の喜びはないはずです。
久しぶりに、読み進めていく中でたくさんチェックを入れました。今年において5本の指に入る良書です。
【my pick-up】
◎問われた数字は、0.1秒でサッと出す
さらに信頼を強固にし、アプルーバル機能をフル活用するための大事なポイントを伝授します。それは、「数字に強くなる」ということです。上司が必要とする数字について、常に先回りして準備しておき、「あの数字はいくつだっけ?」や「昨対で何%だった?」のような質問に対し、即座に答えられるようにしておくのです。そう、「問われた数字は、0.1秒でサッと出す」ということです。数字に強くなるポイントは、必要となるデータを常に持ち歩いておいて、事あるごとに眺めることです。
◎命じられた業務の納期は、最低でも1日前倒しで
上司から「○日までにやっておいてくれ」と命じられたら、その日を納期に設定して業務を行うのではなく、少なくとも1日前倒しにして、仕事を終わらせてください。もし、上司が求めているものと、あなたが提出したものにズレがあった場合、そのズレを修正する時間が必要になります。1日でも余裕があると、「じゃあ、明日までに修正しておいてくれ。よろしく」のひと言で、何の問題もありません。だからこそ、最低でも1日前に前倒しして、命じられた業務を終わらせておくのです。上司から仕事を頼まれたら、納期を意識するのは当たり前です。ただ、大事なのはゴールと同様にスタートなのです。「スタートが1日遅れれば、ゴールは3日遠ざかる」という言葉があります。いくら納期を意識していても、着手するのが遅れると、仕事は片付いてくれません。私は、納期と着手日はセットだと思っています。スケジュール管理とは、スタートとゴールの両方を確認し、その間をどう具体的に埋めていくかを考えることです。
◎わかりやすい弱みを伝えておくと、他の弱みが見えにくくなる
自分の弱みは、評価されるための材料として、戦略的に使うことです。事前に能力開発シート内の「今後克服すべき課題」などの欄に、自分からわかりやすい弱みを書いておくのです。そうすることによって、その弱みに目がいってしまい、上司に他の弱みが見えにくくなることがあるからです。これは、何も弱点を隠してすべてをごまかしてしまうということではありません。優先順位を決めて、ひとつずつ克服していけばいいのです。複数の弱みが一度に認識されて、時間的になかなか改善できないと上司から思われるのと、それぞれが時差で弱みだと認識されて、一つひとつが確実に改善されると思われるのでは、同じように段階的に改善していたとしても、見え方は180度違ってきます。
◎出社時間は、1分でも上司の前に
一般的には部下より上司のほうが早く出社している傾向が強いです。自分よりも1分でも早く来ている人には、尊敬や感心という念を抱き、自分より1分でも遅い人に対しては、つい軽んじたり、不満を感じたりするものなのです。たった1分の違いで、立場がまるきり正反対になるわけです。もし、あなたが上司より遅く出社しているのなら、明日からでも、上司より必ず早く出社する覚悟を決めてください。上司より少なくとも1分早く出社していれば、「感心な部下」で、上司よりたった1分遅れて出社しただけで、「あいつはいつも遅い」になるのです。差はわずか2分。その日々の基本行動がベースになって、評価は行われます。
◎スカスカのスケジュールは、どんな内容でも埋めておけ
自分のためでもありますが、組織のためにも、スケジュールをこまめに入れる習慣をつけていきましょう。それは、あなたの評価にも関係してくることだからです。部下のスケジュールをパッと見て、埋まっている部下と埋まっていない部下とでは、印象論かもしれませんが、「よく頑張っている」と「あいつ、仕事してるのか?」の180度違う評価になることがあるのです。単なる印象で、マイナス評価をされてはたまったものではありません。だからこそ、スケジュールは自分のためだけではなく、こまめに入力したほうがいいのです。「終日、事務作業」というような大括りにしているものも、小さく分解して、スケジュールに入力すればいいのです。この手法は、周囲からの見え方を変えるためだけではなく、自分自身の時間管理上も有効に機能します。