評価 (4点/5点満点)
外国系企業に関して、酸いも甘いもひっくるめたその実態、勤めていなければ分からない現場の悩み、そもそも日本企業と何が違うかといった点を、経営手法、組織・人事、文化的特徴、日本とのカルチャーギャップなどの視点から述べた1冊です。
外資系企業の共通点(P.189~195)
・個人主義に基づくジョブ型管理
・文化、社風の重視
・フラットな組織、少数精鋭、大きい個人の裁量
・人事の基本は「個人」ベースの成果主義
・グリーディ(貪欲さ)
・コミュニケーション能力
・日本人っぽくない人が「普通の人」?
一旦、外資系企業の自由の価値を知ってしまうと、日本企業における集団倫理のもとでの理不尽な不自由は、我慢できなくなる人もいるかもしれません。(逆に、自分はやはり日本企業のほうが肌に合っているという方もいます)
将来外資系企業への就職を考えている方だけでなく、日本企業で変革を求めている方も、経営・人事・組織上で参考になると思います。
【my pick-up】
◎「出向者のジレンマ」を超えるための自己アピールを
「出向者のジレンマ」という言葉をご存知ですか?いったん本社出向者を現地に派遣すると、その後任も本社から、次の後任も・・・となかなか現地化ができない現実を指します。
本社出向者は期間限定で現地法人に滞在します。通常は3~4年でしょう。本社に帰ることが前提ですから、赴任中に実績をあげて帰国後の良いポストを狙います。限られた期間で実績をあげることの中では「現地人の育成」、あるいは特に面倒な「現地人と本社とのネットワーク確立」は低い優先順位となります。
現地で採用された人材がより高いレベルを目指す場合は、このジレンマを断ち切るためにも、自分を本社出向者と本社側の人間に認識させる必要が出てきます。少なくとも「私は〇〇さん(本社出向者)の後任になれるだけの能力があります!」とのアピールはすべきです。
◎発言してこその存在価値
「〇〇さんは、会議中一切発言しなかったけど、なぜ出席する必要があったのか?」
話を聞いているだけでは存在価値はゼロです。とにかく「話して話しまくること」「相手を押し退けてでも話す」です。
◎「3年」をめどにキャリアのPDCAを回し続ける
新しい職場や業務にチャレンジした場合、普通は慣れるのに1年、2年目で改革や積極的なアクション、3年目でやっと定着。これくらいが標準です。それをプロセスの途中で投げ出す人は、「やったつもりになっている」と思ってしまいます。このタイプの人は、コロコロと外資系企業を渡り歩くいわゆる「外資ゴロ」にも見えますし、1つのことを完結させるのが不得意な人、人間関係構築が下手な人とも思われるでしょう。
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