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2012年162冊目『会計リテラシーが仕事も人生も変える!』

2012-11-14 11:42:10 | おすすめビジネス書
会計リテラシーが仕事も人生も変える! 会計リテラシーが仕事も人生も変える!
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-09-21

評価  (3点/5点満点)

会計は過去を見るためのツールだという考え方は、会計の片方の側面でしかありません。会計には、もうひとつの側面があります。それは、「未来を良くするためのツール」であるということです。

・会社の利益を増やすにはどうすればいいのか?

・利益を出せる商品・サービスをどう作ればいいのか?

・本当に採算がとれているのかを把握するにはどうすればいいのか?

・会社内の評価をどうすれば、従業員のやる気はアップするのか?

「なぜ」という過去の分析が大事なのではなく、むしろ「だから何なの?」という、〝未来のあり方〟から「今どうすればいいの?」を導くことが大事です。

そのためには、会計をただの「知識(ビジネススキル)」ではなく、仕事で使える「感覚(リテラシー)」に昇華することが必須になる・・・というのが本書のテーマです。

経理と財務の違いから始まり、損益分岐点(変動費と固定費)の考え方、キャッシュの重要性、財務諸表のざっくりとした読み方、上場の目的など、従来のいわゆる会計本と同じようなテーマを扱いながら、会計を専門としていない一般のビジネスマンの日頃の業務にひきつける形で書かれています。

「会計感覚(リテラシー)」を伝えることで、会計をマスターしなくても仕事で会計を使えるようになる方法を紹介するという、今後の会計本を占うなかなか難しい課題に挑戦した意味のある1冊だと思います。

【my pick-up】

◎日産のゴーン改革を損益分岐点の視点で考える

損益分岐点を表す図を理解すると、会社を改善するためには、適切な順番があることがわかります。

①キャッシュの確保、②固定費の削減、③変動費の削減、④売上アップ

カルロス・ゴーン氏が日産の社長に就任してから行った改革も、実は、①~④の順番を忠実に守っています。

固定費から下げることで、損益分岐点が一気に下がり、利益が出やすい体質を作ることができるのです。これは変動費の改善では見られない効果で、その後日産は、売上が上がると一気に利益が計上できる会社に変貌したのです。

◎B/Sで会社の本当の実力がわかる

実は貸借対照表と損益計算書には、重要度に差があることは誰も語りません。結論からいうと、大事なのは貸借対照表です。

会社の本当の実力は、貸借対照表に「積み重なって」いるのです。貸借対照表がしっかりしていれば、最低限のリスク(倒産など)は回避できるのです。

経営的に考えるのであれば、貸借対照表で数字目標を立てるべきなのです。

◎キャッシュフローの5類型

P/L上の利益とキャッシュフローの3ポイント(①営業活動のキャッシュフロー、②投資活動のキャッシュフロー、③財務活動のキャッシュフロー)から、ほとんどの企業は、以下の5つのパターンに分けることができます。

(1)利益100 ①100 ②△50 ③△30

もっとも事業が順調に推移しているパターンです。利益にともなったキャッシュを稼ぎながら、その範囲内で先行投資を行い、かつ借入なども返済しています。

(2)利益100 ①100 ②△200 ③100

事業でキャッシュは稼げているものの、事業の拡大等で先行投資が多額に発生して、借入などでまかなったパターンです。

(3)利益100 ①△50 ②△50 ③50

利益とは裏腹にキャッシュが減っています。売掛金の回収に困っているか、売上は計上できるもののキャッシュの回収が遅い業種の会社です。

(4)利益△50 ①100 ②△50 ③0

赤字でも本業でキャッシュが増えています。売掛金の回収ができた場合にこのパターンになります。

(5)利益△100 ①△100 ②200 ③△100

利益とともにキャッシュ状況が厳しく、通常はマイナスになるはずの投資活動のキャッシュフローがプラスになっています。設備や機械などを売却してまでキャッシュを捻出している会社です。

◎本当に価値あるものとは?

なぜ「会計だけで正しい意思決定はできない」かというと、会計とは「お金が動かなければ認識できない」からです。

お金を払っていない、もしくは払ったのだけど、どこに貢献したかわからないものは、会計上認識することができません。代表的なものがこれらです。

ブランド、ノウハウ、顧客リスト、従業員のレベル

どれも、将来利益を生む源泉という意味では、会社にとって価値があるものばかりです。しかし、どれもB/Sの資産には計上されないのです。

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