厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2017年76冊目『「週刊文春」編集長の仕事術』

2017-03-18 19:41:26 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

『週刊文春』編集長・新谷学さんが、普段スキルやノウハウを意識して仕事をしてきた覚えはないものの、今回本を書くうえで自分の仕事の仕方を客観的に見つめる機会を得て、自分なりのやり方があることが分かったとのこと。それを紹介したのが本書です。

世の中で起こっている様々な出来事、話題の人々を面白がる気持ちがスキルやノウハウよりも大切だと言います。さらに、面白さを追求するだけではなく、ペンの力をいかに行使するのかという自覚が必要とも。

匿名のまま木で鼻をくくったような対応ばかりしていては、情報の信憑性は十分には伝わらない。送り手の「顔」が見えづらいと、情報は説得力を持ちえないのだ。さらに言えば、取材のプロセスも含めて「見える化」していかないと、記事そのものをなかなか信用してもらえない。

読者のなかには、意に沿わない職場で悶々としている人もいるかもしれないが、それでもその場所で「フルスイング」していれば、かならず仕事はおもしろくなり、突破口が開けるはずだ。やるからには徹底的にやることだ。受け身でなく、前のめりで攻めるべきなのだ。(「おわりに」より)

ビジネスの根幹である人と人の関わりを究極的に濃密に日々行っているのが新谷さんの仕事。人に会い、情報を集め、交渉し、分かりやすく伝え、人の心を動かす、という作業は、他の仕事にも通じます。その点で、本書は幅広いビジネスパーソンの参考になると思います。

週刊文春は、次はどんな話題を提供してくれるでしょうか?期待しましょう。

【my pick-up】

◎本当の信頼は「直接会う」ことでしか生まれない

本当の信頼関係はSNSでは築けない。個々の人間関係はものすごく浅い。だから、いざというときに力になってくれる人が実はあまりいないのではないか。やはり基本は会うことだ。それが難しいときは電話で話す。

◎私の雑誌作りにマーケティングの文字はない

我々が求めているのは「見たことのないもの」であり「誰も予想がつかないもの」だ。よって、マーケティングをしてもほとんど意味がない。週刊文春については性別や年齢層などはあまり考えない。そうではなくて「文春的な切り口、文春的なテイストが好きな人たち」がお客様だ。

◎「白くする取材」を怠ってはいけない

ファクトを裏づけるための取材は徹底的にやる。現場には「白くする取材を忘れるな」と言っている。裁判で勝てるだけの取材を重ねる。「事実はこうに違いない」ではなく「事実はこうだ」と言い切れるまで取材を尽くすのだ。逆に言えば、そこまで事実を詰められなければ、潔く撤退する。

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