鈴木敏文の「話し下手でも成功できる」 価格:¥ 1,300(税込) 発売日:2010-05-21 |
評価 (3点/5点満点)
フリージャーナリストの勝見明さんが、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文・代表取締役会長兼CEOへのインタビューをもとに、鈴木流心理学経営の真髄に迫ります。
また本書では、経済学の新しい分野である「行動経済学」から考察しても、鈴木流心理学経営は理に適っていることを証明しています。
なぜセブンイレブンは他のコンビニチェーンに比べて、1日1店舗あたりの売上が10~20万円多いのか。この本を読めば分かります。
【my pick-up】
◎「仮説・検証」を行わないと機会ロスは〝見れども見えず〟になってしまう
仮説は何のために立てるのかといえば、何もしなければ機会ロスのなっていたはずの顧客の潜在的なニースを「見える化」し、ビジネスを拡大均衡へと持っていくための方法論にほかならない。
◎なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語り始めるのか
セブン-イレブンでは学生のアルバイトでも始めて3カ月も経つと、経営について一家言を持つようになるといわれる。発注分担といって、学生アルバイトも担当商品ごとに自分で仮説を立て、発注し、結果を検証することを求められるからだ。
欧米のビジネススクールでも「パートタイムのワーカーがなぜ、そのような働き方ができるのだろうか」と注目を浴びる。
◎仕事は時間をかけないことで価値が生まれる
人は必ずしも時間をかければいい仕事ができるわけではありません。仕事が困難であるほど、期限をできるだけ区切ったほうがやるべき課題が明確になり、固定観念がつくり上げた限界が取っ払われて、逆に不可能が可能になるのです。
時間をかけると、その分、課題が増えるという悪循環に陥ります。
◎上司は「ボトムアップ」と称して決断を回避してはいないか
ありがちなのは上司が何ら方針を決めずに、ボトムアップと称して現場に対応を委ねてしまうケースです。方針が示されない限り、部下も仮説を立てて挑戦のしようがありません。そのため、第一線では目の前の現実にふり回されて変化に対応できず、後手に回る。上司は決断を回避し、現場はひたすら疲弊する。
この悪循環を断ち切るには、トップダウンで方針を示すことこそが上司の仕事であるという意識をもう一度、取り戻すことです。
◎失敗しても逃げてはいけない、そこからまた始めればいい
セブン-イレブンを創業したときも、難交渉の末に契約にこぎつけたものの、開示されたマニュアルや経営ノウハウは、ビジネス環境やインフラが異なる日本では通用しないものばかりでした。
サウスランド社のマニュアルやノウハウが使えない以上、すべてを自分たちでゼロからつくり上げるしかない。
もし、アメリカのノウハウがある程度使えたら、もう少し安易に考え、既存の常識を一つ一つくつがえしていくほどの徹底した取り組みはできなかったかもしれません。