日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「休む」と白紙に戻ってしまいますよ

2017-02-28 09:21:59 | 日本語学校
寒い。晴れ。

いいお天気です。が、その分、寒い。放射冷却というのでしょうか、今朝は震えながらやって来ました。この分ですと、せっかく目覚めかけた「サクラ(桜)」も虫たちも、また穴の中に潜り込んでしまいそうです。

とはいえ、「啓蟄」は今年は三月五日とのことですから、まだまだ先のこと。「雨水」が過ぎたばかりなのに、もう「啓蟄」を思うとは、急きすぎでしょうかしらん。先だって、学生達に、「もう降っても雪になる確率はかなり下がってきた」と言ったばかりでしたのに…雪が降るかも…。

二月の中旬に、慌ただしくハノイを訪れた時には、田植えの終わった田や、あちこちでヒラヒラと舞っている「モンシロチョウjに目を奪われたものでしたが、こちらでも「ナノハナ(菜の花)」が、いかにもハル~と言わんばかりに、黄をはじかせています。寒いことは寒いけれども、確かに春なのです…みたいです。…今日のように寒いと、弱気になってしまいますけど。

さて、学校です。

友達がいるから(だから、友達と暮らす)と、電車通学をしている学生はやはり遅刻したり、欠席したりしがちです。寮から出ても、行徳駅の近くや学校の近くに住んでいる学生は、よほどのことがない限り、休んだり、遅刻したりはしません。

「遅刻くらいなんだ(別に困るわけではない)、「一度くらいの欠席で(大したことはない)」などと思っていても、週に一日であろうと休むと言うことはおおごとなのです。

前に発音に問題のあるベトナム人学生がいました。3日かけて発音の矯正をし、やっと聞き取れるようになった(まず音が聞き取れないのです。「な」も「ら」も同じ音に聞こえると言います)と思いきや、1日休んだ…で、翌日学校に来たときには、やったものが全て消えて、白紙に戻っています。で、またやり直す…。これをくり返しやってやっても、学生の方の根気が続きません。だんだんやる気が失せていきます。それもわかる…。

これも、発音だけのことではありません。漢字もそうです。1日書かないでいると、すぐに点があったのやらなかったのやら、長かったのやら短かったのやらと曖昧になっていきます。

それゆえに、まず、休まず学校に来るというのが、才能の一つと言ってもよいほどで、それさえできれば、「きっと上手になれるよ」と力づけたくなるほどのことなのです。

…ですけれどもねえ、昨年の学生達(現一年生、四月からは二年生になる人たちなのですが、彼らは、彼らの論理で生きているのです。論理というか、彼らの国の常識というか…。

学校に来ていない学生がいる。電話をかけ、寮の同室者に(その学生を)起こすように言っても、まず、起こさない。先には、「います」と言ったくせに、起こしに行くとなぜか「いません」になっていったりする。起こしに行ったらば「いないと言って」と言われたのでしょう。友達ですから(ここは強調して)その通りにします。

一事が万事です。なかなか拒否できないのでしょう。また拒否するなど考えることさえできないのかもしれません。人と人との関係が、私たちが考えているよりもずっと濃く、相手の反応如何で、あっちに流れ、こっちに流れしているのです。ルールに則って社会が動いているわけではないのでしょう。だから、とりとめがなく感じられるのかもしれません。

100年前も同じ、200年前も同じ、おそらく1000年前も同じようにして時は流れてきたのでしょう。多分、それはとても心地よいことなのかも知れません。その社会で、ある程度の資産を持ち、皆がやっているようにやっていけば、少しも不都合などない…のでしょう。

違う文化、違う血が流れていけば、きっともう少し、社会にメリハリがつくと思うのですが。…日本人が言うと少し変な気がするかも知れませんが、そういう日本人の私でさえ、こんなことを思ったりしてしまうほどなのです。

だって、大学に入りたいとか、専門学校に行きたいとか言うんですもの。夢は日本の会社で働くことなんて言うのですから、困ってしまいます。もとより4年か6年経てば、きっと変わるでしょうけれども。…この学校にいる間はまだ無理でしょうねえ。

彼らはごくごく普通のベトナムやネパール、スリランカなどからの学生達で、特別、言語的な面での才能があるわけでも、器用と言うわけでもないのです。地道にコツコツやっていかねば、漢字も覚えられないし、聞き取ることもできないのです。

時々、このことがわかっているのかしらんと思ってしまいます。一応、口では嫌になるくらい言っているのですけれども…私たち。

日々是好日
コメント
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