日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「本当は皆に大学に行ってもらいたいのだけれど…」

2012-07-11 16:41:02 | 日本語の授業
 快晴。そして、蒸し暑く、昨日は、さすがにどのクラスで、冷房に走ったようです。

 そうは言いましても、早朝の空気は涼やかで、梅雨時のものとは感じられません。そこはかとなく秋の気配さえ漂わせているようで…。結局、こういうことも直ぐに終わってしまうのでしょう。季節の移ろいの順序からいっても、梅雨の後は、夏と決まっています。「土用の丑の日」のある夏が来なくてはなりませんもの。このような風も、陽が高くなるにつれて消えていき、きっと昨日と同じように暑くなることでしょう。

 さて、学校です。

 今日は「平成24年度 日本留学試験」の受験願書を皆で書きます。皆と言いましても、数は少なく、一教室で事足りてしまいます。これは、このところ、非漢字圏の学生が多くなったからでしょうか。いえいえ、決して、そういうわけではありますまい。

 以前なら、アフリカから来た学生でも、頑張って、「二級(旧日本語能力試験)」くらいまでの漢字が読めるようになっていましたし、書けもしました。スリランカから来た学生でも「中級」程度の文章でしたら、一人でなんなく読みこなしていました。勿論、数が多かったので、そうではない(「初級」で終わりというような)学生も、いはしたのですが。

 学校としては、できれば、学生達に大学に行って欲しい。また、それができるように、教材を揃え、カリキュラムも作っています。けれども、学生自身がそれができるような状況(経済的にも、資質的にも、習慣的にも、やる気云々でも)にないと、却って、罪作りのようなものになってしまいます。

 笛吹けど踊らずどころではないのです。彼らには彼らなりの計画があり、例えば、日本語学校で二年、専門学校で二年。四年も勉強しながら働けば十分だろうというような。それなのに、毎日勉強しろとせつかれる。休めば休んだで、「なぜ来ない。休めば、直ぐに遅れてしまう」と電話が入る。向こうは向こうでため息でしょうね。適当にしながら日本での生活を楽しもうと思っていただけでしょうから。

 おかしな話ですが、『初級』の教科書とセットになっている文法書の内容が、全員に判るわけでもないようなのです、まだ『初級』というのに。勿論、日本語ではなく彼らの母語で書いてあるのですが。こういうのでも、彼らの母語での読解力がそれほどない学生には辛いのでしょう。そういう場合には、教師の方でも、導入の仕方を考え、出来るだけ簡単に理解できるようにしているのですが。それに母語の説明だけでなく、教師のゼスチャーやら言葉などを連結させて理解させるようにしているのですが、そうするにしても、やはり、それなりの能力が必要なのでしょう。

 まあ、考えてみれば、不思議でも何ともないことなのかもしれませんが。

 そういえば、中国人の留学生の中にも、『旧三級』後の文法や単語が、どうしても理解できないという人がいました。見かねた他の中国人学生が、彼らの方言で一生懸命に説明してくれたのですが、結局、その学生も匙を投げ、「先生、だめ。この人中国語で言ってもわからない」。

 ただ、『初級Ⅱ』は難しいにしても、『初級Ⅰ』のレベルというのは、日常的に必要な物の名であり、文法にしても、ごく普通に使われている文ばかりです。それがうまく覚えられないのですから、結局、彼らにあった別の教え方を考えねばならぬことになります。

 というわけで、あるクラスでは、今は、教科書をやり直すというよりも、ミニ会話を主体にした授業に徹しています。

日々是好日
コメント
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