今朝は朝から「はれ」です。きれいな青色がどこまでも天空を埋めています。確かに「晴れる」というのは、喜ばしいことです。しかし、この「光」の強烈なこと。眩しくて目も開けていられません。自転車は木陰、建物の蔭と、光線の届かぬところを撰びながら縫うように走っています。時々、歩行者の背を見つけるたびに一つ大きな輪を描き避けながら、また元のルートに戻っていきます。夏ですねえ。
とはいえ、この辺りでは、まだ蝉の鳴き声は聞こえてきません。先日、テレビのニュースで、「さて、この夏、既に蝉の鳴き声を聞いた方はご連絡下さい」と呼びかけがあり、その数分後のデータでは、九州から北海道に亘ってですが、驚いたことに蝉の声を聞いた人が多かったのです。
実は数年前の、「蝉が姿を消した」を思い出し、今年はどうだろうと心配していたのですが、この分では大丈夫そうですね。
今、学校に在籍している人たちは、みな蝉を知っているようです。それぞれ鳴き声は違うようですから、種類は違っているでしょうが、日本でも郊外に行けば、夏の季節の流れに応じて聞き知った声を聞くことができるかもしれません。
最近は、インターネットを通じて、日本にいる各種類の蝉の声を聞くことができるようになりました。ほんの十数年前までは、テープを買って来なければ、虫の鳴き声なんて、好きな時に聞かれませんでしたのに、全く夢のようですね。子供の頃、虫取り網を持って虫取りに興じたりしたときのことを思い出します。蝉だけは苦手で、それも「地上に出てきた蝉は、命かけて啼き、一週間ほどで死に至る」とかなんとかを、夏休みの前に聞いていたからかもしれません。
こんなことを聞いては、「蝉の声、うるさい」なんて言えませんもの。それどころか、蝉だけは捕らない方がいいのかななんて、思ってしまいます。というわけで、夏休みの虫取りは、殆ど「カナブン」と、「カミキリムシ」で終わりでした。ただし、こんな虫ではあまり威張れません。
そんな時、家族で山に行ってきたという友だちが、黒い羽のしかも角度によってはコバルトブルーにも見える、大きな蝶を見せてくれたことがありました。あれは美しかったですね。「カブトムシ」とか「クワガタ」とかで興奮する男子を横目に、女子はもうその蝶に夢中でした。
ところが、大人になって友人と会津のほうへ行った時のことです。会津と言ってもバスでずっと行かねばならないような山奥でのことですが。そこの民宿で、あの子供の時に見た蝶が飛んでいるのを見つけたのです。すると、民宿の女将さんが、それを見て「あの蝶を捕ってはいかんよ。あれは、お盆の頃に、この辺りに来る蝶で、昔から、人の魂を黄泉の国から運んでくると言われて、みんなが大切に守っている蝶だからね」と言うではありませんか。聞けば、なるほどと思われます。姿が美しいだけではなく、飛び方も非常に優美でしたから。
あのとき、蝶に乗っていた一つの魂は、無事に子孫の家にたどり着くことができたのでしょうか。
日々是好日
とはいえ、この辺りでは、まだ蝉の鳴き声は聞こえてきません。先日、テレビのニュースで、「さて、この夏、既に蝉の鳴き声を聞いた方はご連絡下さい」と呼びかけがあり、その数分後のデータでは、九州から北海道に亘ってですが、驚いたことに蝉の声を聞いた人が多かったのです。
実は数年前の、「蝉が姿を消した」を思い出し、今年はどうだろうと心配していたのですが、この分では大丈夫そうですね。
今、学校に在籍している人たちは、みな蝉を知っているようです。それぞれ鳴き声は違うようですから、種類は違っているでしょうが、日本でも郊外に行けば、夏の季節の流れに応じて聞き知った声を聞くことができるかもしれません。
最近は、インターネットを通じて、日本にいる各種類の蝉の声を聞くことができるようになりました。ほんの十数年前までは、テープを買って来なければ、虫の鳴き声なんて、好きな時に聞かれませんでしたのに、全く夢のようですね。子供の頃、虫取り網を持って虫取りに興じたりしたときのことを思い出します。蝉だけは苦手で、それも「地上に出てきた蝉は、命かけて啼き、一週間ほどで死に至る」とかなんとかを、夏休みの前に聞いていたからかもしれません。
こんなことを聞いては、「蝉の声、うるさい」なんて言えませんもの。それどころか、蝉だけは捕らない方がいいのかななんて、思ってしまいます。というわけで、夏休みの虫取りは、殆ど「カナブン」と、「カミキリムシ」で終わりでした。ただし、こんな虫ではあまり威張れません。
そんな時、家族で山に行ってきたという友だちが、黒い羽のしかも角度によってはコバルトブルーにも見える、大きな蝶を見せてくれたことがありました。あれは美しかったですね。「カブトムシ」とか「クワガタ」とかで興奮する男子を横目に、女子はもうその蝶に夢中でした。
ところが、大人になって友人と会津のほうへ行った時のことです。会津と言ってもバスでずっと行かねばならないような山奥でのことですが。そこの民宿で、あの子供の時に見た蝶が飛んでいるのを見つけたのです。すると、民宿の女将さんが、それを見て「あの蝶を捕ってはいかんよ。あれは、お盆の頃に、この辺りに来る蝶で、昔から、人の魂を黄泉の国から運んでくると言われて、みんなが大切に守っている蝶だからね」と言うではありませんか。聞けば、なるほどと思われます。姿が美しいだけではなく、飛び方も非常に優美でしたから。
あのとき、蝶に乗っていた一つの魂は、無事に子孫の家にたどり着くことができたのでしょうか。
日々是好日