福岡の爪剥ぎ事件、あるいは深爪事件とも称されていますが、高裁控訴審で逆転無罪だそうです。新聞記事を読むと何と物々しいことです。論点(争点と呼ぶのでしょう、裁判する点を絞るという意味です)がどんどん大きく抽象化されていって、看護協会の偉いさんまでが目を三角にしてる。爪を切る行為がケアであるのかどうか、認知症患者へのケアとは何か、看護とは何かなんて話にまで膨らんでます、ありがちなことです。もちろん入院患者の清潔保持、安全保持(これをケアと言います。わざわざに横文字にする意味なんてないのですが)は病院の業務であり看護婦業務の本幹です、爪切りはケア行為に違いありません。そんなところを専門家引っ張ってきてあれこれやってる。裁判の流れとして仕方のないことなんでしょうが、まったく論点のすり替えです。要は、この看護婦が何の問題のもない爪を無体にも引っぺがしたのか、故意に深爪して結果剥がしちゃったのかですね。その時の写真がきっとあるんでしょう、それを裁判員に、あるいは一般人に(専門家じゃなくて)見せて常識的に判断させたらいいんですよね。どこまでが深爪なのか、なんてのは答えが出る筈がないです。爪切った後に当たったら痛い、あらら切りすぎたわと後悔する、それが深爪です。何センチの判断ではないです。新聞記事にはもともと浮いていた爪で、しばらく様子を見ていて、という経過だともあります。「被害者」の息子、60歳がらみとありますからまぁ言えば分別盛りですか普通は、はこんな判決では何でもかんでもケアの名のもとに許されることになってしまうと憤っているそうです。ケアか虐待か。見出しが大仰なのです、もっとこの例について判断しなさいということですわね。もっとも、無茶やる奴はいますからね、実際に生爪剥いだ奴、インシュリン射って殺した奴、「被害者」家族の気持ちもわからぬではないですが、さてこんなに事を大きくするほどのことなんでしょうかという話です。当の婆さんの爪はきっとすっかり治っていましょう。つまりこんな大問題化するには事件の重大さ以外に多くの要素があるというわけです。大きいのは病院側の対応不備、そして「被害者」意識。きっとこの看護婦の初期対応が不適切だったのか、病院側が居丈高だったのか。これがおそらく原因でしょうが、いえ、「被害者」側の性格問題も大きくあります。こういう話を聞くたびにこの業界の面倒さに溜息が出ることです。同業者として力が抜けます。
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