とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画『GODZILLA ゴジラ』

2014-08-19 22:27:26 | 映画


解説(シネマトゥデイより)
怪獣映画の傑作として映画史に名を残す『ゴジラ』を、ハリウッドが再リメイクした超大作。突如として出現した怪獣ゴジラが引き起こすパニックと、ゴジラの討伐に挑む人類の姿を壮大なスケールで活写する。メガホンを取るのは、『モンスターズ/地球外生命体』のギャレス・エドワーズ。キャストには『キック・アス』シリーズなどのアーロン・テイラー=ジョンソン、『ラスト サムライ』などの渡辺謙ら実力派が結集。ゴジラの暴れぶりもさることながら、凶悪度の増したデザインに息をのむ。

あらすじ(シネマトゥデイより)
1999年、日本。原子力発電所で働くジョー(ブライアン・クランストン)は、突如として発生した異様な振動に危険を感じて運転停止を決意。だが、振動は激しさを増して発電所は崩壊し、一緒に働いていた妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)を亡くしてしまう。それから15年後、アメリカ軍爆発物処理班の隊員である、ジョーの息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本で暮らす父を訪ねる。原発崩壊事故の原因を調べようと侵入禁止区域に足を踏み入れた二人は、そこで思いも寄らぬ光景を目にする。


なかなか映画を見に行くときがなかったが、やっと今話題の『GODZILLA ゴジラ』を見に行くことが出来た。見た感想は、はっきりいってガッカリだ。60年前に初めて製作された「ゴジラ」をリブートした作品という触れ込みでかなり期待していたのだが、やはりハリウッドで作られた映画は、日本人の感性とはかけ離れた作品になっていたようだ。

とにかく突っ込みどころ満載で、どこが良かったというより、どこが酷かったという事しか思い浮かばない。まず、最初に出てくる日本にある原子力発電所のある場所の風景だ。後方には、雪を抱いた富士山がしっかり映っている。そして、実際に事故があったスリーマイル島の原子力発電所を想起させるすり鉢状の原子力発電所があり、そこで異常が発生し原子力発電所が崩壊するというシナリオである。世界遺産である富士山の裾野で原子力発電所の事故が起きるなんて設定は、どうも嫌な感じだ。富士山があれば日本という事がわかるだろうという、安直なシナリオとしか思えない。

そして、原子力発電所に隠されていた秘密は、ゴジラの敵となるムートーという怪獣が眠っていたという点である。このムートーという怪獣は、かなりグロテスクだ。エイリアンとコウモリを掛け合わせたような怪獣で、かなり不気味である。なにか地獄から這い出てきたようなイメージさえあり、ここまで気持ち悪い怪獣を作らなくてもいいだろうにとも思ってしまった。

のっけから怪しい怪獣が出てきて、ゴジラはどうなんだと思っていると、何やら思わせぶりに前半の早いうちに登場する。初代ゴジラは、かなり焦らされて登場するが、このゴジラはそれほど焦らされた気はしない。しかし、突然正面が映った段階で、これは何だ!ゴジラではないと思った。首がほとんどなく頭から胴体までそのままズドーンと繋がっている不細工なゴジラだった。ハリウッド版ゴジラの第1作は、トカゲのようなゴジラで、これまた酷かったが、今回は、逆にクマが巨大化したような姿に唖然とする。せめてゴジラのスタイルは、日本版に合わせてほしかった。

もともと「ゴジラ」という映画は、核実験の放射線で恐竜が変異した生物であると解説されており、科学の暴走で、あってはならない恐ろしいものを生み出してしまった人類へのアンチテーゼ的な作品だった。しかし、アメリカで作られた作品であり、やはりそんなメッセージ的なものは何もない。ゴジラは、人類を救うヒーロー的な扱いであり、敵となるムートーは徹底的に叩きのめすが、空母、駆逐艦、戦車、戦闘機にはまったく戦いを仕掛けない。海兵隊もゴジラに、戦いを仕掛けようともしない。「ゴジラ」というタイトルを付けるとしたら、人類対ゴジラという構図でなければならない。他の怪獣は必要ないのだ。ゴジラは、人類がいくら頑張っても倒すことのできない神のような存在であり、人類への警鐘を促すようなテーマ性を前面に打ち出してほしかった気がした。

ゴジラやムートーのリアルな映像は、たしかに目を見張るものだった。さすがCGの進歩は凄いものだとは思ったが、その中で登場する人物たちは、今一つ共感を覚えない人ばかりだ。主役は、海兵隊の一兵士とその家族であるが、いてもいなくてもいいような役どころで、パニックになっているさなか子供をほったらかしにして仕事に行ってしまう母親や父親は何だろうと思ってしまう。最後に核爆弾の起動タイマーは止められたのだろうか。そのあたりが良く分からないうちに、物語は終わってしまった。

一番可哀想なのは、芹沢博士役の渡辺謙だ。彼も、はっきりいって大した役どころではない。ほとんど唖然とした顔でゴジラやムートーを見つめているだけである。ゴジラやムートーに対する対策について的確なアドバイスをして軍隊に協力するわけでもない。「ゴジラ」というセリフを言うためだけに登場したのではないかと思ってしまう。ハリウッド映画に登場する日本人は、いつもこんな扱いで登場するのが関の山である。

という訳で、期待していただけあってその落差は大きく辛辣な批評になってしまった。やはり日本でリブートすべき映画だった。