とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画『毎日かあさん』

2011-03-20 20:00:14 | 映画


チェック:漫画家の西原理恵子が自身の体験を基にした人気漫画を、小泉今日子と永瀬正敏の共演で映画化したホームドラマ。一家を支える大黒柱の漫画家女性とアルコール依存症の元戦場カメラマンの夫、二人の子どもたちとの、一風変わった家族のエピソードをつづっていく。監督は、『かぞくのひけつ』の小林聖太郎。笑いの中に温かい人情を醸し出す原作の世界に溶け込んだ俳優たちの演技に注目。

ストーリー:二人の子育てに仕事にと忙しい日々を、持ち前のたくましさで乗り切る漫画家のサイバラ(小泉今日子)。元戦場カメラマンの夫(永瀬正敏)は戦場でのトラウマのせいでアルコールにおぼれ、二人は離婚することになる。大切な家族を失い、アルコール依存症と闘う夫だったが、今度はガンが見つかり……。(シネマトウディより)

しばらく前に見た映画だ。久々にブログで紹介したい。
毎日新聞朝刊に連載している西原理恵子の漫画の実写版であり自伝的な内容だ。

漫画自体は、あまり読んではいないのだが、小泉今日子と永瀬正敏の元夫婦同士の共演という話題性があったことと、子役たちの演技がなかなかいいという評判もあって見たいと思っていた。

前半は、6歳の息子と4歳の娘をかかえた主人公のサイバラ(小泉今日子)が子育てに奮戦している様子が描かれている。6歳の息子はお漏らししたり、食べ物をこぼしたり部屋を散らかしたり泥んこまみれになったりとサイバラは片時も目が離せない。4歳の娘は甘えん坊で手がかかる。漫画家としての仕事のかたわら子育ても頑張らねばならない。仕事を持った母親の子育ってこんなにも大変だったのだなと改めて思い知らされる。

サイバラには夫がいるのだが、アルコール依存症で子育てもまともに出来ない男だ。酒を止めるといっては、何度も約束を破って暴れ周り、家族が崩壊していく。そんな父親なのに、子供たちはなついている。しかし、仕事もなく妻の稼ぎだけに頼るしかない夫は、やがて自分のダメさ加減に自信喪失し自分から断酒施設に入院し、断酒が成功したと家に帰ってくるがそれも長続きせず、酒に手を出してしまう。業を煮やしたサイバラは、離婚を申し出て、別れてしまう。

離婚をしてからの夫は、家族に会えない状況に一念発起してやっと酒を断つことが出来た。だが、その時既にガンに侵されていたのである。元夫がガンに侵されていたことを知ったサイバラは見捨てることが出来ず、再び一家4人の生活が始まる。夫役の永瀬正敏の演技は、見ごたえがある。体重も減らしガンに侵された男を見事に演じていた。後半は、カメラマンだった自分にできることは家族の写真を撮り続けることだとばかり、いろんなショットを撮り続けていく。エンドロールでは、カメラマン永瀬が撮影した家族写真が、何枚も流れていく。あの場面で、撮っていた写真だったなーと思いながら見ていると最後の最後まで映画館の席を立つことができなかった。

元夫婦だった小泉今日子と、永瀬正敏の夫婦役は演技を通り越して真に迫っていたようだ。また、子役たちの演技には感動する。父親がいなくなってから、会いたくなった兄妹は、おもちゃのプールを多摩川に浮かべた。それを漕いで、父親に会いに行こうとするシーンは涙を誘う。子供たちは親たちを「おとしゃん、おかしゃん」と呼んでいるのが何故か耳に残ってしまう。舌っ足らずの4歳の妹がとっても可愛い。こんな娘がいたら、父親は何でも言う事を聞いてあげたくなってしまうだろう。そして、キョンキョンこと小泉今日子が、おおらかで存在感のある母親像を好演していた。家族の絆とは何かと改めて思い起こさせてくれた映画である。重いテーマの話ながら、笑いも交えて淡々と進む展開に暗い気持ちにならずすっきりした気分で見終わることができた。