とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2010姫街道マラニック 後半

2010-12-28 19:39:30 | マラソン
前半からの続きである。引佐峠からのきつい下りは終わり、緩やかに石畳を下っていく。


ミカン園が広がる開けた場所に入ってきた。ミカン園越に眺めるランナーの姿が絵になる。


街道沿いには枝からもがれたミカンがいたるところに転がっているのを見かけるようになっていた。三ケ日と言えば全国でも有数のミカン産地である。枝についてるのをもぎ取るのはまずいが、地面に落ちてるのはいいだろうとみんなミカンを拾いだした。出荷できないようなクズミカンだろうが、皮をむいてみれば柔らかく甘いミカンばかりだ。いつしか、リュックの中がミカンだらけの人もちらほら。中には両手で握り締めながら走ってる人も。しばらく進むとミカン農家の人が立ってるのが見えた。落ちてたミカンだが、へんな誤解されると困るのでみんな慌ててポケットにしまう。幸い、先頭グループが我々のことを話してくれていたらしく、農家のご夫婦の方が、もぎたてのミカンを快く「姫街道走ってきて、喉が乾いたでしょう」と分けてくださった。


ありがたい施しに励まされ、丁重にお礼をして農家のご夫婦と別れ、先に進んだ。


三ケ日インター付近で昼食をと思っていたが、先頭グループがどんどん先に行ってしまい、落ち着いて食事をとる場所がなくなってしまった。このまま本坂峠に行ってしまうと食べる所がなくなってしまうので、コンビニを探し脇道に逸れた。休むと体が急激に冷えるので、カップラーメンなどの暖かいもので昼食代わりにした。コンビニ前でよく高校生が体育座りをしていたりすると眉をひそめるような大人たちが、こんな時は堂々と体育座りしているのは笑える。


コンビニを出たのは13時過ぎだった。再び姫街道に戻りこのコースでは最大の難所?といってもいい本坂峠を目指す。本坂峠までは300m以上の標高差がある。しばらくは緩い坂道であり、まだまだ元気に進める。40分ほどで、本坂一里塚碑に着く。江戸からは72里目となる。そしてその隣には、7体の馬頭観音像が安置されている。


362号線沿いを進むと斜めに右に曲がる道があり、弘法大師像が祀られている場所に出る。本坂峠を無事通過できるようにと明治時代に作られたものらしい。



しばらく進むと、右手に細い上り道が現れ、いよいよ本坂峠への道となる。林の中の道を上り続けていくと左側に巨大な岩が現れた。高さ4m、幅10mの鏡岩である。昔はこの岩が光っていて、女性たちはこれを鏡として身づくろいしたという。それが今は苔むして、まったく光っていた様子もない。


その後も、原生林の森の中をどんどん上っていく。20分ほど進んだ頃、前方に一人用のテントが見えた。道のど真ん中でテントなんて何だろうとワイワイ話しながら通り過ぎようとすると、テントの中から声がした。どうやら登山者らしく、翌日も遠くまで歩くようで峠のちょっと下なら誰もこないと思ってテントを張っていたらしい。それが、12人もワイワイと上がってきたのできっと相手もビックリしただろう。テントからすぐ上が、本坂峠である。時間は14時37分。スタートして30キロ程であった。本坂峠は県境でもあり、この先から愛知県に入っていくことになる。12人揃っていたのはここまでで、豊橋から来たAさんとIさんが早めに帰るという事で先に下山し別ルートで帰っていった。


これから先は、下るのみだ。先頭グループは跳ぶように駈けていく。


途中には、手書きの看板がいくつもあり目印になる。「弘法水」「嵩山七曲り」「腰掛岩」「座禅岩」などがあった。


また、「姫街道」の石碑は味わいのある字体だ。


石畳がコンクリートで固められており非常に走りづらい。


「姫街道 西嵩山宿 東本坂峠」の石碑を過ぎれば本坂峠の下りが終わる。あとは、嵩山の宿場通りを抜け、面白みのない一般道を豊川稲荷まで進むだけだ。


15:26和田辻の交差点に着く。距離にして35キロ地点である。ここで、思案のしどころとなった。豊川稲荷経由で「コロナの湯」まで行くとなると残り10キロもある。寒くもなってきたし、このまま進めば日が暮れてしまいそうという事もあって、みんな暖かいお風呂が恋しくなってしまったようだ。全員、豊川稲荷はやめて「コロナの湯」へ直行しようという案に賛成する。その場の状況で、コース変更もありがマラニックのいいところだ。


豊川が見えてきた。橋を渡って左折すればお風呂が近いと聞いて俄然元気が出る。


豊川の水面に夕日が当ってキラキラと光っている。


風当たりのいい堤防沿いを頑張って走り、「コロナの湯」手前の交差点に着いた。もうお風呂は目と鼻の先だ。ここで、最年長で最も元気があるN田さん、I川と別れる。二人は地元なので更に走っていけば自宅に着いてしまう。


夕日に向かって走るI川さん。なかなか絵になるシーンだ。


さて、残った8人で「湯」の文字に惹かれて、やっと着いたお風呂の入口前でゴール写真だ。だが、この時点ではこの場所が「コロナの湯」でないことを誰も気付いていなかった。靴を脱いで、受付で送迎バスの事を聞いた時点で雲行きが妖しくなっていた。豊橋駅に行く送迎バスはやっていないというのだ。送迎バスがあるからこの風呂にしたのに帰る手段がなくなってしまう。よくよく話を聞いてみたらここは、「豊川の湯」で「コロナの湯」はすぐ隣だったのだ。こんな大きな入浴施設が二つも隣り合わせにあるなんて、なんて紛らわしい。いそいで、入浴をキャンセルして隣へ向かった。


10分後、「コロナの湯」のあるビル前で再度ゴール写真だ。


巨大な複合レジャー施設の2階にある「コロナの湯」入口。


やっと、暖かい風呂に入り体が暖まる。入浴後のビールは最高に美味しい。みんないい顔をしており、気持ちよい汗を流したことだろう。


最後は8人だけになってしまったが、楽しいマラニックであった。歴史のある道を走るというのは、なかなか面白いものだ。道中いろんな所で見かけた案内板を読んでいくとその時代背景を偲ぶことが出来るし興味も湧く。このブログを書く上でもいろいろ調べて勉強になった。企画したDさん、ありがとう。そして同行した皆さんも一緒に走っていただきありがとう。お疲れさまでした。