三日目の昼は、
桂川河畔にある
懐石の名店『熊彦』を
昨年の霜月来の再訪である。
予約なしの飛び込みだったが、
平日の正午とあって空いており、
川沿いの上席ではなく
裏庭に面した席だった。
ま、眺めを喰むわけでもなし…。
😅
外の景色に季節感がないだけに、
煮物椀や八寸に描かれた
春の風情が愉しめた。
…
先付けは、
生湯葉、胡麻豆腐。
初日の美濃吉に続いての
精進物である。
身を潔斎してから、
生物を頂くようになる。
煮物椀は、
海老真蒸の碓氷仕立て。
丸大根の桂剝きが
半透明の薄氷を表している。
春先なので、
往く冬の名残りの情趣である。
お造りは、
明石鯛に本鮪。
鯛は、やはり、
関西でおますなぁ…。😍🌸
直に開花する頃の
桜鯛である。
鳴門の渦潮に揉まれ、
伊勢海老を喰っているという
ゴージャスなやつである。🤣
かのフレンチの巨匠
ロブションは、
蛸嫌いだったが、
『次郎』でトライした時に
「Ça a le goût de langouste…」
(ロブスターの味がする)
と言ったと言う。
実際にその餌が
伊勢海老だったと言う。
…
八寸は目にも楽しい
懐石のお花畑である。
鱒の白味噌焼きは
家庭では真似しようのない
職人仕事の逸品であった。
鴨のロースも
フレンチのロティとは
異なる技法で、
血の風味がする
野趣に富んだ野禽の旨味を
引き出していた。
…
強肴は…
野菜の炊いたん。
若竹煮、穴子、丸大根、
海老芋などが、
二番出汁でほっこりと炊かれた
上品味の煮物だった。
……
〆は、
唐墨の振り掛け鯛飯。
しみじみとした
深い味わいのご飯であった。
主菓子には、
わらび餅と
グレープフルーツのゼリー。
……
昼餐は、
夜の懐石の半額で
予約要らずだが、
器が全く違っており、
作家物なぞ一つもなく、
すべて量産の数物なので、
料理の見映えと格が
グンと堕ちている。
やはり、
きちんとしたものを頂くには、
晩餐のそれなりの懐石でないと
唸るような物には
お目にかかれないようだ。
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