『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

マエストロ・オザワ逝く・・・

2024-02-10 10:39:13 | 音楽

マエストロ小澤が
6日に亡くなられた。

 

 

 



若かりし頃は、
精悍でスポーティ、
且つ、優雅な指揮ぶりで
ずいぶんと憧れたものである。

緻密で劇的な音楽創りには
幾度も感動させられた
数少ないマエストロの一人である。

最晩年は、
車椅子に座って
背を曲げて指揮する姿が
目にも痛々しかったが、
生涯指揮者の心意気と
生き様をも見せてくれた。

癌手術後は、
肉体の衰えを自覚し、
自らに課した最後の課題として
若手世代の育成に努めた。

その謦咳に接し、
恩恵を受けた音楽家たちは
これから、その小沢イズムを
発揮させて花開くことだろう。



***

今や、小沢の遺産として
最高傑作となったものを
かつて、Amazonでレヴューした。

***

*

『最高のエンターテイメント!』
(2004年1月8日)

2004年元旦のアバド指揮する
ニューイヤー・コンサートを見終わって
老眼鏡姿で楽譜をペラペラめくり、
淡々と指揮するアバドの演奏に
何か物足りなさを感じて、
2002年に録画した小澤のビデオを
見直してみた。

全曲暗譜で、
しかも踊るような指揮ぶりの小澤の
なんとチャーミングで
エレガントな演奏か・・・。

ため息が出た。

繰り返し何度も見て、
翌日にはこのDVDを注文してしまった。

まだ指揮棒を携えていた
86年の映像を比較して見たが、
若々しくはあるがどこか振りが硬い。
肩が強張っている。

2002年・・・
小澤は完全に「全身指揮棒」となった。
まさに心技一体になった
見事な指揮である。

長い白髪の一本いっぽんが、
拍節に踊る。

ヒラヒラ蝶のごとく
艶やかに舞う手の平。

雄弁に語る指先。
お茶目な流し目から、
一転して鋭い眼光を効かす。

時に、オケを完全にドライブし、
また時に存分に歌わす。
その勘所の冴えは見事である。

時折、叙情的な旋律に目を細める様は、
まるでスターウォーズの老賢者
ヨーダのようにも見えて微笑ましかった。

ウィンナ・ワルツ独特の微妙な拍節を、
小澤はカラダを瞬間
停止させることによって表現している。
その様が映像でよくわかる。

『エリーゼ・ポルカ』で、
諸手を広げフィナーレを閉める様は、
さながら師匠のカラヤンを彷彿させた。

『こうもり序曲』は見事な名演である。
会場からブラボー! が飛び交う。

お約束の『ラデッキー行進曲』は
圧巻である。
あたかも、小澤が
オケと聴衆の全軍を率いて
行進している軍神マルスのように見えた。

最後はスタンディング・オベーション!!

紳士・淑女といった装いの観客が
みな上気した顔で、
嬉々として拍手喝采を贈っている。

このDVDには
「大人の贅沢な楽しみ」が
密に詰まっている。

【35人のお客様が
これが役に立ったと考えています】

 


*

『ヴァルトビューネ2003
 ガーシュイン・ナイト』

『バンマス小澤の面目躍如!
(2004年8月23日)

ジャズ・トリオと
ベルリンフィルとのコラボ
という度肝を抜く演奏である。

何と言っても、盲目のピアノニスト、
マーカス・ロバーツが圧巻であった。
一曲目の
『ラプソディー・イン・ブルー』から
ものすごい演奏をして、
オケと聴衆と小澤を感動させた。

途中のカデンツの早弾きは、
まるで『海の上のピアニスト』の
ピアノ演奏バトルで、
鍵盤から煙が出るシーンを
彷彿させるような見事な指捌きだった。

クラシックファンにも違和感のない、
本物のジャズのリズムとエッセンスを
たっぷりと聴かせてくれた。
 
ベースのローランド・ゲリンは、
実直で人のよさそうな表情が
好感がもてた。
ソロ・プレイでの
スーパー・テクも見せてくれた。

ドラムスのジェイソン・マルサリスは、
コミカルな表情で、
コメディアンのような
オーラをだしていたが、
演奏はノリノリだった。

トリオによる、
『アイ・ガット・リズム』は絶品だった。

コンチェルトになると、
なんとなくピアノが際立ちすぎて、
ベルリンフィルをもってしても、
オケの部分が弱々しく感じられた。

それが、「5つ星」でなく
「☆☆☆☆」に留まる点かもしれない。

(プログラム構成も、もうちょっと
工夫があってもよかったかもしれない。
アンコールの『ベルリンの嵐』では、
ジャズ・トリオが
ステージ上で参加できないで
ぼんやりしていたのは
カワイソーだった)

軽快なジャズ・ドラムの
リズムに乗って指揮する小澤は、
まるでバンドマスターのように
見えてくるのだった(笑)。

そして、ベルリンフィルも
いつの間にか、リカルド・サントス楽団か
レイモン・ル・フェーブル・
グランドオーケストのような
錯覚がするのであった。

ともかく、音楽監督として、
小澤の「楽しませる音楽」を創る
という見識の素晴らしさを
『2002ニューイヤー・コンサート』以来、
改めて感じさせられた。

【24人のお客様が
これが役に立ったと考えています】

 



**

きょうは
オザワが恩師・斎藤秀夫の
メモリアル・コンサートで指揮した
バッハの『シャコンヌ』を聴きながら、
マエストロのご逝去に
哀悼の意を捧げたいと思う。

****

拙演ながら
ジョン・ダウランドの
『永遠の眠りよ来たれ』
を、ご霊前に捧げよう。

"Come heavy sleep"(J.Dowland) (youtube.com)


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