『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

美味しんぼ問題

2014-05-23 07:10:00 | ノンジャンル


今回、『美味しんぼ』騒動では、
いろんなサイトで賛否両論が巻き起こった。

ある反対意見者は、
表現方法により読者を
ミスリード(mislead)する例として、
二つの文章を提示しており、
なるほど…と、感心した。

「Aさんはアル中だが働き者だ」

「Aさんは働き者だがアル中だ」

内容は同じだが、
たしかに、Aさんへの心象は異なる。

▽▲▽▲▽▲

今回の 『美味しんぼ』騒動は、
風評を助長した、という批判派と
問題意識を再提示した、という援護派とに
分かれた。
今回は、援護派の意見を取り上げてみる。

「都合の悪い真実を隠す」のは
「野蛮な社会」への退歩である。

国民は正しい真実の情報が提供されれば
正しく冷静に判断する。

原発事故後、
東電と政府は国民に大嘘をついた。
戦時中も、政府とマスコミに大嘘をつかれ、
国民が塗炭の苦しみを味わった。
大本営発表を鵜呑みにしていたら、
また我われは、苦杯を飲まねばらななくなる。

鼻血が出たとか、
小児甲状腺癌が急増しているとか、
汚染水の封じ込めが出来ていない…ということは
目の前にある事実である。
それを、不都合なこととして
隠蔽したい人たちがいるのも事実である。

住民の方の生き甲斐を奪った
原発への深い怒りと悲しみが、
切々と描かれていました。
悲しくて、読んでいて
涙を堪えられなくなりました。

事実を告げる勇気と
共に困難と闘う勇気が
必要ではないでしょうか。

福島産のものを「食べない」という選択を
批判する筋合いはない。
賛否両論のどちらにも理はあるし、
議論が交わることも当分ないだろう。
何を書いてもどちらかの側からは
批判されてしまうのだ。

メディアが批判を恐れ、
事故の責任追及も
現在も続くリスクの報道すらも
放棄しているように見える。

政府も東電もマスコミも
問題の根本には全く踏み込まず、
単に免罪符的なパフォーマンスを
しているように見える。

復興支援の予算を平然と別事業に費やしたり、
環境汚染や被災地復興の手厚いケアは
未だに遅れたままである。

国の借金と同じく、
孫子の代への「負の遺産」として
先送りするつもりなのだろう。

多くの不条理さを抱えた被災地を取り上げ、
大切に培ってきた文化や景観や人々の生き方が、
今、消滅の危機に瀕していることを
本作は漫画でありながら真摯に指摘している。

国をあげて批判すりゃ、
不安に思う人達だって出てくるだろう。

作者よりも叩かれてしかるべき東電が、
解体されるどころか黒字になっている、
ということはどういうことだろう。
国や自治体の誰もが
全く責任を取っていないというこの国に
ほんとうに未来があるとはとうてい思えない。

作者の取材体験が、
放射能と関係ないことを立証する責任は
批判する側にある。

地に足の着いた直接取材に基づく、
一次情報としての現実描写である。
冷徹で忠実な客観性は、
殆どドキュメンタリーのそれである。

買い控えにより苦境に陥っている農家が描かれているが、
その大元の原因は、原発から今も漏れ続けている
放射性物質である。
東電と何も有効な策を打ち出せずにいる行政に対する
作者の憤りがひしと伝わってくる。

福島の人々を貶めようとする意図など
全くないのは一目瞭然。
むしろ、その逆であり、
全編が福島への愛情で貫かれている。

放射線治療の専門医・西尾正道北海道がんセンター名誉院長は
「鼻血は低い線量でも広範な粘膜が被ばくした場合は
出ても不思議ではありません。」
と言っている。

小児甲状腺癌の異常な増加など、
被ばくの影響がはっきりと出ているケースは
現在進行形として存在している。

国際基準よりも高い20mSvの被曝限度を設定して
人々に低線量被ばくを強いている行政こそ
批判されるべきである。

原発のすべては
電力を大量消費する都会ではなく、
電力消費とは無縁の地方に建てられた。
安全神話を信じ込まされ、
多額の交付金、地域活性化、雇用促進という
「金を生み出す魔法の杖」に人々は踊った。

作中の人物が言うように、
福島を考えることは、
日本を考えることである。

県外に脱出した6万人や
汚染地区から避難している
「原発難民」が未だに数万人もいる、
という事実を
国民も政府も忘れてはならない。

原発避難民は、
現代の「ノアの箱舟」と哀れまれた。
被曝したフクシマ人は、
現代の「穢多」と差別された。

フクシマの話題は明るいものではない。
だから、人々は、日常では、
話題にしたがらないのも当然の心理だろう。
でも、今、この日本でリアルに起こっていることに
目を逸らしていたら、思考停止させていたら、
悲劇は必ずやまた起こるに違いない。

地元は放射能にまみれ、
そして、東京は栄えた。

ヒロシマ原爆の残留放射能による健康被害のデータを
隠蔽したアメリカ政府。
それを容認した日本政府。
フクシマ原発もアメリカ製。
これも、ひとつの日米問題。

小学館の見解
鼻血や疲労感が放射線の影響に寄るものと断定する意図は無く、
取材先の皆様の実体験や作者の実体験について、
作中登場の実在の医師に見解を問う展開となっております。
また、風評被害を助長する内容ではないか、
とのご意見も頂戴しておりますが、
そのような意図はなく、
すでに掲載済みの「美味しんぼ」作中でも、
きちんと検査が行われ、安全だと証明されている食品・食材を、
無理解のせいで買わないことは、
消費者にとっても損失であると述べております。


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