『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

雨夜の茶事

2019-06-29 06:55:00 | 風景
ソータの竜王戦の
決勝トーナメントが
始まった。 

何処までも勝ち進めば、
名人位と並ぶ二大タイトルの
竜王位が獲得できる。

これから
対戦する相手には、
いずれも勝って来たので
初タイトルも夢物語ではない。

賞金は、棋界最高の
4.320万円である。

ソータはすでに
4組予選優勝賞金と
対局料をあわせて
337万をも稼いだ。

高校2年生で
そんなバイト料をもらっている16歳は
何処を探してもいないだろう。

もっとも、
彼は歴とした「プロ」だが。






きのうの相手は、
七段/4組のソータより格下の
六段/5組の近藤誠也(22才)
だった。

過去3勝1敗で
勝ち越しの相手ではあるが、
なにせ前期の順位戦で、
唯一、一敗を喫した相手であり、
それにより、相手はB級昇級、
ソータはC級残留になったという
因縁の棋士である。

なので、
ソータにとっては
「江戸の仇を長崎で討つ」
雪辱戦でもあった。

竜王戦は
プロデビュー以来、
毎年決勝トーナメントに出場しているが、
過去2年とも2回戦で敗退してるので、
雪辱を果たすのと同時に
更なる高みを目指しての一戦だった。

双方合わせて
持ち時間10時間、
昼・夕休憩をはさみ、
たいていは午前10時開始の
終局が夜の10時を越すのが通例である。

きのうの対局では、
近藤六段が無理攻めをして、
夕休前には敗勢に転じていた。

ソータは
手を緩めることなく、
最短の勝ち筋で
厳しくも鋭い手を次々と放ち、
100手にも満たず
夜8時にギブアップさせた。

相手側の自滅っぽかったが、
解説陣をして
「藤井七段のノーミス、完璧な勝利」
とまで言わしめた。

ふつうなら、
もっと穏やかな局面にして、
将棋を長く楽しもうということが
あってもいいような場面でも、
ソータはそのような冗長な展開には
まったく関心もなく、一切の妥協もしない。

〔詰将棋選手権〕5連覇のチャンプだけあって、
常に「最短の勝ち筋」だけを見出して指すので、
観戦シロートのコメでは、しばしば、
「鬼中学生!」「オニ高校生!」
とカキコされてきた。

そりゃ、そーだろー。
プロなんだもん。

この先も、
己れの生活と人生を賭して
対局してるんだもん。

シロートの
道落観戦者が、
何を言うてるかッ!
である。

そんでも、
ただソータを見るだけ、
という「見る将」という
女性ファンも多いらしく、
解説者の話では、
「将棋は知らなくても、
フジイ君が何を食べてるかは知ってる・・・」
という、ヘンテコ路線の
勘違いファンもいるという(笑)。

毎回、
ソータが昼・夜に
何を喰うのかだけ、
チェックしてるというのだから、
変態チックでもある(笑)。

きのうの昼食は、
ソータが好物の
「珍豚美人」と書いて
「ちんとんシャン」という
豚天の定食だった(笑)。






昨晩の月例「宗教セミナー」には、
初めて、Tちゃん先生が
ご主人を伴われて
おいでになられた。

なので、
茶室に手燭を灯して、
夜噺風の室礼を演出した。

ちょうと、
長明の『方丈記』を読了して、
その世界観に浸っていた時だったので、
それを茶室でも表現してみた。

長明は、
その狭い方丈に
琴と琵琶を備えて、
独り奏することで
雨の晩なぞは
無聊の慰めとしていた。

台風一過の
雨降りの晩で、
長明の方丈と似た
小間の茶室なので、
二十年ほど前の雨降りの深夜に、
裏磐梯にあった叔母の別荘で、
独りしみじみとした気分で書いたものが
情に合っていたので
軸に掛けてみた。

唐代の詩人・白居易の
「廬山夜雨草庵中」
(廬山の雨降る夜、草庵の中に居る)
という句である。

これには、
続きがあって、

 半路雲泥迹不同  
 唯有無生三昧觀  
 榮枯一照兩成空  

【通釈】
人生半ばにして、友たちとはずいぶん貧富の差がついた。
自分はただ生死を超脱した境地に在るのを良しとしている。
栄枯は同じ虚像であり、いずれは空に帰するのだ。

茶室は“市中の山居”と
称される。

そこに、
梅雨の紫陽花に露を打って、
妖しく蠢(うごめ)く
蝋燭の灯りを頼りに
茶を立て、共に喫する。

そして、
雨音に耳をやる。

炭にくべられた
沈香の香りは幽玄を醸し、
ここに、一座建立、一期一会の
詫び茶の世界が立ち上がる。

陰旋法に調律した和琴の
五音階の十三弦を
バラバランと弾き流すと、
恰(あたか)も長明の居た方丈に
タイム・スリップするかのような
気分がした。






おとついまで、
散歩道にあるツタヤで
中古CDニ割引セールだったので、
ふだんワンコイン価格のものを
400円で2枚組をいくつか買ってきた。

一枚あたり200円だから、
これならシミッタレな自分でも
無駄遣いしちまったと
後悔することもなかった(笑)。

京都から帰福した25年前も、
フクシマでは外盤が買えず、
田舎街の非文化性を
呪ったものである。

なので、
仙台や東京に行くたびに
石丸やタワーレコード、HMVで
嬉々としてまとめ買いしてきた。

その昔への郷愁もあって、
先日、中古ながら、
外盤が一万点も近所のツタヤに
ストックがあると聞いて、
早くそれらにお目にかかりたく、
主任にちょくちょく放出してくれ、
と事あるごとにお願いしている。

令和セールからこっち、
ずいぶんと未知の作曲家たちの
マイナーな古楽曲集を買った。

ジャケットの古典画を鑑賞し、
耳に音楽を聴きながらの
ライナーノートの英文読解は
楽しみ半分、勉強半分でもある。





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