北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

雪利用のまち、美唄市を訪ねる

2005-04-28 23:52:02 | Weblog
 夜に飲む機会が増えて大変。

 さて今日は、
■美唄で氷を保存する。
■アルテピアッツァを訪ねる。
■現場の事情 の3本です。

【美唄で氷を保存する】
 昨日に引き続いて幹部に随行で、今日は美唄市へ向かう。

 美唄市は札幌から北へ約40キロほどのところで、空知地方にあるが、北海道内でも有数の田んぼの広さを誇る町である。

 人口はかつては10万人を超えたときもあったのだが、炭坑が相次いで閉山したことによってかつての活気を失ってしまった。

 そのため今では人口が3万人を割り込んでしまい、苦しい行政運営を強いられているようだ。

 今日はこちらの官民が共同して行っている雪保存の実験を見せていただいたのである。

 先に市役所で関係者が集まって、状況説明をしていただいたが、あるマンション経営者は雪を集める倉庫を6階建てのマンションに併設して、夏の冷房に使い効果を上げているという。

 採算的に成り立つのか、と言う疑問も、「冬になると除雪をしてたまった雪をお金をかけて運搬排雪していたのですが、その費用を考えると十分に成り立つんです」とのこと。

 雪氷の冷熱エネルギーについては、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(平成9年法律第37号)」が平成14年1月に政令改正されて、バイオマス及び雪氷のエネルギー利用を「新エネルギー利用等」として位置づけられている。

 これを受けて、経済産業省でもそれ以降の雪氷冷熱を利用する施設には、自治体、民間に対して補助をしているのだが、それが新設のものに限られていて「使い勝手が悪いんですよ」というのが、関係者の悩みなのだそうだ。

 美唄市でも、介護老人保健施設や老人福祉施設、さらには公園温泉にまで雪冷房を導入しており、雪利用のまちというブランドを確立しようとがんばっているところである。

 今度は暑くなったときにお訪ねをすることにしたいものである。

    *   *   *   * 

 続いて現場視察と言うことで、昔の学校敷地を利用して雪を保存している現場を見せていただいた。

 とりあえずは3月末の重たくなった雪を5m位の高さに積み上げて、外側に木を砕いたバークをまいて覆うことで保温をはかっている。

 雪の安価な保存に関する研究が進めば大規模な実用化もいつか可能になることだろう。

 北海道内では北海道経済連合会などを中心にして、大規模食糧備蓄基地構想研究会というものが立ち上がっていて、将来の食糧危機への備えや季節の端境に良質な食材を提供することで付加価値を高めようと言う勉強会が進んでいる。

 雪を用いた貯蔵技術の特徴は、①雪は0℃で融解するため、保存されているものが0℃以下にはならず凍結しないまま品質が保たれること、②結露も雪表面で行われるため施設に害を及ぼさない、③なにしろ北海道にはいくらでもある、などといったことが考えられている。

 0℃で長期に保存すると、野菜類はアミノ酸が増して甘くなると言う実験結果もあるという。そろそろ雪中米や雪中タマネギなどがブランドとして食卓に登場する日も近い。

 雪貯蔵という技術で北海道が我が国の食糧基地としてブランド化する夢を抱いている男たちがここには何人もいるのである。


【アルテピアッツァと宮島沼を訪ねる】
 続いて昔の小学校敷地を利用して、芸術家安田侃(やすだかん)氏のプロデュースする芸術広場、アルテピアッツァを訪ねる。

 かねてから一度来たいと思っていたので、良い機会であったけれど、今度またゆっくりと来たいと思う。

 安田さんのブロンズ造形は同じ形の石造りのものが札幌駅南口にも置かれている。心洗われる思いだった。

    *   *   *   * 

 続いてラムサール条約にも登録された、渡り鳥の楽園「宮島沼」を訪ねる。

 ここでは冬になると数万羽のマガンが滞在をして、やがて春になるとロシアのシベリア地方に向かう中継地になっているのだそうだ。

 例年4月末が渡りの季節で、「本当に渡るときは、単にえさを周辺の田んぼに採りに行くのとは違う、緊張感が鳥たちにもあるようです。雁行の姿がぴしっとしているんです」と語るのは、この沼をフィールドにして調査を続けているU君。

 「日の出直前に一斉に飛び立って餌を採りに行くのを見るだけでも、生の感動があります」とも。そうか、北海道の感動はこういうところに転がっているんですね。

 やはり北海道でも、地元の人間ほど地元を知らないのは同じようだ。反省しよう。



【現場の事情】
 JR福知山線の尼崎市内での列車事故の死者が日を追うごとに増えていき、とうとう106人になったという。

 こうなったときに、「あのカーブ直前までにスピードを上げて遅れを取り戻すのは運転手の常識」などといった発言が飛び出して、さも日常的に違反行為が行われているかのような印象をもちがちである。

 しかしマニュアルというものには得てして、安全に配慮しつつ遅れは取り戻せといったような矛盾を含んだ指示があるもので、最前線の現場ではそれを現場なりに解釈しながら、利用者の不利にならないように最善を尽くしているはずである。

 仮に原因が、追い込まれた心理状態の運転手なりの現場判断で、それが誤っていたのだとしたら、なんともやりきれない思いがする。

 今回の事故でなくなられた方たちのご冥福を心からお祈りするとともに、現場の事情をよく知っていただいて、安全と定時サービス性が両立されるような知恵がでるように祈りたい。

 定時サービス至上主義でももちろんいけないし、安全のためのマニュアル遵守主義でもいきすぎるとどこかがしわ寄せを受けることになるのだろう。

 上に立つものほど、現場最前線の事情をしっかりと把握することが必要だ、というのは私が榛村純一前掛川市長から学んだいくつかの重要なことがらの一つである。

 物事の真実は、現場に転がっているものである。




 
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