北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

浜野安宏著「はたらき方の革命」を読む

2009-11-29 23:50:41 | 本の感想
 希代のまちづくり家である浜野安宏さんは、いつからか掛川のファンになってくれました。

 もちろんそれは、熱心に彼に私淑して彼を口説いてきた人がいるからなのだが、その中心人物はスローライフ掛川でも中心になっている佐藤雄一君です。

 3ヶ月ほど前にその佐藤君から電話があって、「今度浜野さんがまた本を出すんですが、それが『はたらき方の革命』というタイトルで、いろいろな働き方を世に問いたいみたいです。それで『君の働き方も載せたい』なんて言ってくれているんですよ」とのこと。
「いいじゃない、もともと今の生き方を本にした方が良いと思っていましたからね。変わりに浜野さんがやってくれてしまうわけですねえ」

 佐藤君のこれまでは、脱サラで企画会社を始め、掛川の生涯学習に関わるようになり、そこからスローライフ運動を陰で支え、今ではそのときに作ったNPOの中心的な役割も果たしているというもの。

 自分で企画会社を経営しながらNPOの面倒も見、人口12万人のまちで地域の情報発信をビジネスとして、また地域活動としてこなしているのです。浜野さんは掛川を何度も訪ねるうちにそんな佐藤君の働き方に感銘を受けたようです。ま、そりゃそうだろ。





    ※    ※    ※    ※

 で、先日シンポジウムで掛川を訪ねた時に、出来上がったそれを一冊もらってきたのを読み終えました。

 この本には浜野さんが全国で出会った16人の一風変わった働き方を紹介していますが、それは単にいろいろな働き方を陳列しているのではありません。浜野さんの確信として、「もうスーツに身を固めてバッジを付け、組織から与えられた名刺だけが自分を規定する、そんな価値観は崩壊したのではないか」ということを強く主張するために、新しい価値観を目指して働いている先導的な人たちを紹介しているのです。

 この本の中には、靴をつくる職人、農業用の塩を売るセールスマン、美容師、漁師、料理人などが名を連ねます。

 そんななか、佐藤君は「『あそび』が起点で人々をつなぐNPOのエンジン」として紹介されています。

 彼は自分だけが頑張ってNPOを引っ張っているわけではありません。常に周りを見渡しながら、面白い人を次々に巻き込んでいつのまにか参加者にしてしまい、やがてはプレイヤーとしての役回りをもたせてしまう、そんな不思議なコーディネーターなのです。

 本は浜野さんと紹介された人との対談集という形を取っています。

    ※    ※    ※    ※

(…前略…)

浜野「佐藤さんのはたらき方は、本業をやりながらNPO活動をやっていて、NPO活動をやっていること自体が本業に活かされている。それはやっぱり独特の才能があるなぁ、と見ていて感じます,NPO活動で大事なのは、安定的に継続しつつ、拡げていくことだと思うんです」

「あなたは、自分が生活している地域の魅力がわがっていて、それにいろんな人の興味を向けさせて、どんどん巻き込んでいってね活動の中心になって行動しているでしょ。ここにあなたかいることによって、いろんな人間がつながつていくということは、とても貴重なんてすね、このエネルギーはいったいどこがら出てくるのかな?」

佐藤「僕は浜野さんの背中をみて育ってきているじゃないですか。あそぶことと、はたらくことを同じ次元で考えよう。と。それがずっと自分の行動のベースにあるんです」

浜野「あそんでいるうちにシゴトが生まれて、シゴトしているうちにあそびが生まれていく。それをポイントとしておさえつつ、継続的にやっていくってことが大事で、それをあなたは飄々とやっていますよね。社会活動と営利活動の両立はなかなか難しいことだと思うんだけど、どこで.パランスをとっているんですか?」

佐藤「満足はしてないですよ、大都市だとさらに不安定だったがもしれませんが、このまちのサイズだから、なんとか成り立っている,僕らの活動が手に取れる範疇で見えていて、それなりに実力を認めでくれているという素地があるから、生きていけるという感じですね」

浜野「このサイズ、十二万人都市だがら成り立つ。それから新幹線が止まるのに、以外とこぢんまりしているっていうのもいいところだね。スローライフ掛川っていう発送もおもしろいし、ライフスタイル・デザインカレッジという教育ブログラムも立ち上げて、それを4年5年と続けているでしょ」

佐藤「NFO法人スローライフ掛川の設立は、2004年でした。本業としてコンセプトという商品企画の会社をやっています。以前はサラリーマンでしたが、商品研究や商環境デザインをやりたくて、2000年に辞めて仲間と掛川に事務所を開設しました。

 その当時はNPOに関わることなど、予想もしていませんでしたが、掛川市に国交省から来た同世代の助役かいまして、その方と気が合い、2002年に掛川市がスローライフシティ宣言をすることになった時『いろいろとお手伝いしました。筑紫哲也さんを掛川に迎え、そのガイドをするといったことですね。そうしているうちに、スローライフシティの基軸となる市民側の活動もちゃんとやろうじゃないか、ということになっでしまって(笑)、このNPOを立ち上げたわけです」

(…中略…)

浜野「今、手掛けていることは?」

佐藤「最近は、地域ブランドや地域商品づくりといったシゴトが多いですね。いくつか手伝ったんですけど、考え方がすごく安直なんです。結局なんでも誰それの監修でやろうということになるんですよ。とても薄っぺらな発想。依頼者が今までそんなことばかりやってきていて、僕にもそういうつもりで言ってくるんです。僕は、それはダメですねって言って(笑)。」

「やっぱり、その地域の必然性を見出さないといけないですよね。地域のDNAや流儀を反映したものでないといけない。僕は、NPOだとかをやりだして、そこが余計によくわかるようになった。ただ誘致したもの、とってつけたも心の意味のなさをすごく感じるようになった。地域の必然性やストーリー、エピソードを結集して、その地域独自の商品をつくっていくということが大切だと思います」

浜野「その必然性やストーリーのために人をつなげていくんだよね。プロデューサーってそういうもの」

    ※    ※    ※    ※

 浜野さんも面白がっているのは、「このNPOって代表が一人で頑張って全部やる、という風じゃないもんね。中間にいろんな人が一杯いて、そのことがすごいと思うんですよ」と言っています。

 佐藤君も、「茶髪のあんちゃんでもこれくらいならできるよな、と思うことをまかせていますしね(笑)」という調子だから話しが合うのです。


 働くと言うことは、以前は自分を犠牲にして時間と労力を切り売りしてお金を稼ぐことだったのですが、それが自然に生きることとと何も矛盾しない生き方があっても良いのです。

 自分が楽しんでやりたいことをすることが地域の役に立って、その対価がいただける、そんな生き方(=働き方)をしているのがこの本の中の人たち。

 感じるところが多いのです。 

 
  浜野安宏著 「はたらき方の革命」 PHP研究所から(1,400円+消費税)

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