北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「世界100年カレンダー」を読む ~ 米中人口戦の行方もばっちり予測

2021-11-09 21:35:43 | 本の感想

 

 『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』(河合雅司著 朝日新書)を読みました。

 帯には「米中人口戦、アフリカ対等、未来の姿がここに」とあります。

 世界の推計人口を調べてみると、私が子供の頃は世界人口は約30億人弱、物心ついた中学生くらいの時で35億人くらいだったものが、その後一貫して増加の一途をたどり、2020年では約80億人にも達したのだそう。

 しかし人口の増加によって、資源の消費が増大し温暖化ガスを代表に、外部経済性の問題が明らかになってきました。

 その間、日本はちょうど良い頃に人口が増加したことによって経済的恩恵を大きく受けた代表的な国の一つでしょう。

 ところがご承知のようにいまや日本は世界に先駆けて人口減少と少子高齢化の洗礼を受ける課題先進国です。

 社会が発展すると、医療が普及し乳幼児死亡率は低下し、多産である必要がなくなってきます。
 
 同時に経済的に豊かになり女性の社会進出が進み、避妊への意識が始まるとともに、「子宝は収入をもたらす」から「多くの子をもうけることは貧困につながる」と意識も変化してゆくのです。

 必然的に成熟した社会では多産から少産へと変わり、人口減少へと移り変わって行くことになるのです。


     ◆


 ところが世界にはまだまだ21世紀中に人口が伸びる国と地域があり、その代表例がインドに代表される南アジアからアフリカにかけての開発途上国。

 2100年の世界の人口を予測すると、一位はインドで10億9千万人、続いてナイジェリアが7億9100万人、中国は今世紀の半ばで人口ピークを迎えて2100年時では第3位の7億3200万人、以下アメリカ、パキスタン、コンゴ、インドネシアと続き、日本は世界の中で一人負けの38位の6000万人という予測が出ています。

 この本では、今世紀末までの80年間の人口の変化を予測して、人口を基盤とした経済の優劣を論じていますが、余程の大きな考え方の変化がない限り、この予測の通りになるだろうというのが人口論の怖いところ。

 また最後の方では今後の米中の人口戦の予想を立てています。

 著者の見立てでは、中国は今後の早い段階で経済規模がアメリカに追いつくものの、急速な少子高齢化によって今世紀中盤にはその勢いを失うだろうという予想。

 一方アメリカは、国のかじ取りによっての振れ幅が大きいものの、今のように移民を受け入れている限り若年者の流入により社会が若さを失うまでにはまだ時間がかかり、人口も増加基調が続くとしています。

 人口をベースにした米中の争いでは、まだ勢いを延ばす中国に対して、衰えを見せるまでの間にアメリカと価値観を同じくする同盟国側が切り崩されずに堪え切れるかどうかが鍵なのだと。

 一方一人負けの日本ですが、社会保障、国の経済規模の維持など様々な少子高齢化の荒波を世界の先頭で受け続けることになりますが、だからこそその課題を一つずつ克服するアイディアは今後の世界の人口減少を救う灯になりうるのだと。

 なかなかに刺激的で、日本と世界の近未来の姿が頭に描かれているかどうかで、目指すべき方向性も変わるかもしれません。


 さて翻ってわが身を考えると、やはり軽々しく隠居などとは口にせず、体も気持ちも動くうちは社会の片隅で一隅を照らすような貢献をすべきなのか、と思わせてくれます。

 老人が世話になる側に立つか、世話をする側に立つか、その割合はいかほどか、ということだけでも世の中の在り様は変わってくるでしょう。

 元気な年寄りが動き続けて社会を支え続ける様子を"サムライスピリット"として世界に示してやりたいものです。

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