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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

馬産地日高を訪ねて、馬を運ぶ道路について考える

2017-06-28 23:38:42 | Weblog

 

 今日は新日高町静内で競走馬を生産、育成する岡田牧場を訪問しました。目的は、馬を道路で運ぶ際にどのような問題や困りごとがあるのかを知りたいと思ったことで、知人を介して岡田隆寛さんを紹介していただいたのです。

 岡田さんはこの牧場の三代目で、雌馬50頭を所有していてこの地域では中規模の牧場とのこと。

 実は私自身、日本一の馬産地である北海道に住んでいながら、馬のことについてほとんど知りませんでした。

 馬のビジネスって、血統が良くてレースでの実績のある親から生まれた雌の馬を買って、それに実績のある雄にお金を払って種付けをし、生まれた子供を育てて売る、というもの。

 馬って、寒さにはめっぽう強いけれど暑さには弱い生き物。ここ日高はそうした温度が馬を育成するのに適した地域で、もともとは軍馬を生産するのに適した場所だったのが、今の競走馬の産地につながっているのだそうです。そんなことも良く知りませんでした。


          ◆  


 さて、知らないと言えば、馬をどう扱うのか、なんてことも全く知りません。例えば、馬の妊娠期間は約11か月。メスの馬は子供を産んで二週間もすると次の種付けをするのです。


   【生後一か月の子馬と母馬】

 種付けに行く先は、苫小牧市の東隣にある安平町の社台スタリオンステーションですが、まだ生後二週間の生まれたての子馬も一緒につれて種付けに行くことになります。そうしないとお互いに精神が不安定になって、運ぶ途中で暴れたりストレスが溜まって受胎率が下がってしまったりするのだそう。

 旧静内町から安平町へは日高自動車道を使って約一時間半の距離ですが、今は日高自動車道の路面が傷んでいるので、非常に困るとのこと。

「馬を運ぶのに道路の路面が悪いとどのように困るのですか?」
「馬を運ぶ時、私たちは4トントラックに馬を入れる箱を乗せて、その中に入れて運びます。馬は立ったままで運びますが、子馬も一緒に運ぶこともあって、揺れると不安定になりますし、特に橋を渡るときに大きくバウンドするようなことがあると、母馬が子馬を踏んづけたりするので気が抜けません。また路面が悪くて振動が多いとそれもストレスになります。ストレスがたまると汗をかいたりしてわかるのですが、そうなると受胎率が下がります」

「種付け料は妊娠してもしなくても払うのですか?」
「いえ、種付けは大体この時期に行うのですが、妊娠したことが分かった時に払い、ダメだったら払いません。しかしそこで妊娠していなければ、子供が生まれないその一年は無駄になってしまうので、大きな損失になります」

「道路が悪いとゆっくり走らないといけないという事ですか」
「そうです。でも高速道路をノロノロ走っていると周りの迷惑になりますしね。うちの若い子が運転して社台まで連れて行くときは『高速道路には乗らずに下の道をトコトコ走ります』と言っています(笑)」

 高速道路があっても使えないというのではなんとも残念な話です。


    【まあ、これはひどいですよね】
          ◆  


 ところで昨今の馬の売れ行きはどうなんでしょう。

 馬は需要があればセリで高値がつきますが、その需要はやはり日本の景気に連動しているとのこと。

 かつてバブルがはじけたときは馬を買う人が減り、長く苦しい年が続いていましたが、「ここ3年くらいは日本の景気の良さを反映して馬を買う人が増えました。ここ日高でもセリ値が上がっているんです」とのこと。

「一体どんな人が馬を買っているんですか?」
「首都圏を中心に、若いけれどIT企業で儲かっているような方とか、建設業も東京はオリンピックで良いようですね。最近は今まで見たことがないような種類の人が馬を買っていきますよ」

「馬を買う目的って何なんでしょう?」
「純粋に、自分がお金をかけて育てた馬がレースに出て頑張っているのを応援する、ということにつきますね。賞金で儲かるというのはほんの一部の馬主なので、自分好みの名前を付けたり、馬主として新聞に出たりするようなことを純粋に楽しんでいるようです」

 ちなみに、社台スタリオンにいる最高人気の牡馬はディープインパクト、あの有名な三冠馬です。種付け料は公表されていないものの、一回にウン千万円だそうですが、すでに予約で満杯だそうです。

 馬産地北海道に住む者としてはとても勉強になった一日でしたが、道路は地域経済を本当に支えているのか、ちょっと不安になりました。

 

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