久しぶりに実家へ行って両親に顔を見せてきました。
話題が朝の連続テレビ小説の『マッサン』になり、「見てる?」と言うと「見てるよ」という返事。
マッサンの今週の展開は、身内も同然の若者に召集令状が届き出征をするという場面が続いています。
「よし、お国が勝つために頑張っていって来い!」と空元気を出す父親に対して、彼に思いを寄せるマッサンの娘の苦悩がこれでもか、と描かれていて、涙なくして見られない日が続いています。
「随分出征前の様子で引っ張るよね。今週は全部それだったよ」
「でもあんた、出征ってみんなあんな感じだったよ」と母が言います。
「え?出征の人を送った思い出があるの?」
「あるよ、小学校高学年だったもの。送り出すときはみんなで『万歳!万歳!』って言ってさ、そしてその人が一か月で遺骨になって帰ってきたこともあったよ」
「うわ、本当かい」
「本当だよ。小学校は瀬棚の近くの村だったけど、遺骨になって帰ってきたら町葬っていうのかな、村中でお葬式をしたんだよ。遺骨が駅に着いたら葬儀会場の学校まで列になって行進をしてさ、そりゃあ悲しい行進だったね」
「…」
「そのときに弔辞を読まされたのさ、読むのが上手かったと思われていたんだね。弔辞の原稿は先生が書いてくれるんだけど、三回くらい読んだ記憶があるよ」
「戦争の最後の頃だね…」
八十歳半ばの母の戦争の思い出は出征兵士の町葬でした。
遺骨と言っても本当に骨が入っているかどうかさえ分からなかった、と言います。誰も見ることがないからです。
先の戦争から七十年が経とうとしています。先人の苦労の上に今の私たちの安寧と平和があります。
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先日、映画「アメリカンスナイパー」を見てきました。
中東戦争でスナイパーとして伝説的な働きをした実在のクリス・カイルという人物を中心に、戦争の現実、家族の苦悩、国を守るという使命感、帰還兵士の苦しみなどが描かれていて、最後に主人公に訪れる運命に涙しました。
本当にいい映画です。強烈なエンドロールに席を立つことができませんでした。
【アメリカンスナイパー】
http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/