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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

敵は不確実な未来

2010-06-04 23:26:49 | Weblog
 今日は朝一番で東京出張。なんともまあ連日のように移動しまくっているわけですが、担当している事業部門が多い上にこの時期は来年度に向けた概算要求の説明が相次ぐのです。

 内閣の交代によって大臣が替わる可能性が大きいのですが、昨年は大きく削られた公共事業に対して、今度の大臣はどのような姿勢で臨んでくれるでしょうか。

 公共事業の本旨は、暮らしやすい社会作りを皆で分かち合うというものですが、最近は通り一遍の装備はできあがってきて、次第にその効果がぱっと見には分かりにくくなってきました。

 それまでなかった道路や橋が出来上がるように、「ある・ない」というのは分かりやすいのですが、出来たものの質を高めるような事業はどうしても説明が必要になってきます。

 たとえば河川では、洪水の起こる確率(治水安全率)を15年に一度から30年に一度にする整備を行います。

 堤防を高くしたり川底を掘ったりしての一番上までの川の流れる断面積を増やすことで堤防からあふれ出る確率を下げているというわけ。これなどは堤防は同じようにあるわけで、より枕を高くして寝られるようになりました、というのが見た目には分かりづらいことでしょう。

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 また例えば土砂崩れや地滑りなどを防ぐ砂防事業などは、危険箇所を判定して未然に安全度を高めているわけで、一度も災害が起こっていないとなるとその意味が通じにくいことでしょう。

 本州の平野部ように一本の道路が土砂崩れでダメになったら迂回路を通ればよいというところと違って、北海道は都市間が離れていて一本の道路が一度通行不能になったりしたら、迂回のために相当の時間ロスが発生します。

 そうすると新鮮な食材を運ぶのが無理になったり、かなりのコスト増になったりと社会的に与える影響が大きくなるわけで、こうしたことにも安全度を高める必要性があるのです。

 公共事業だけではなく年金にしても保険にしても、私たちは常に不確実な未来に備え続けているわけで、それをあたかも未来など分かり切ったことのように語る人には大局的な視野が備わっているとは言い難いように思います。

 このことは国の防衛とも同じで、いつどこからどのような形で襲ってくるかが分からない相手に対して専守防衛で守りを固めなくてはならず、そのようなときには仮想の敵の軍事力=攻めてくる力を想定してそれに対する備えをするのです。


 私たちの敵は不確実な未来なのです。
コメント (1)
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