朝の天気予報では東京は夕方以降雨とのことでしたが、どうもあやしげ。案の定、午後2時くらいから雷と激しい雨が始まりました。選挙もあるし、今日は家でたまったレポートなどを読みましょう。
今日読んでいたのは、2004年に小泉政権の下で議論された「日本21世紀ビジョン」です。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/vision/index.html
これは当時の経済財政諮問会議の下部組織として専門調査会が作られたもので、各界の専門家たちを集めて自由な意見交換が行われ、これからの日本がどうなるか、そのためには何をしておかなければならないのか、が語られています。
ホームページに掲載されているのは、発言者の名前を伏せた自由な討議の要旨ですが、活発な意見交換の様子が分かります。そしてこの議論は3年前のものですが、それから今日に至る3年間の間にこの中身が少しずつ実現していることが分かるのです。
21世紀ビジョンの最終報告書は冊子になって販売もされていますが、骨子はホームページに掲載されています。
そこでは「これからの日本が迎える大きな流れ」として以下の3点を掲げています。
(1)全体の人口が減る、お年寄り(高齢者)の割合が増える
(2)国境を越えた交流がいま以上に増える、アジアの国々などが大きく経済発展する
(3)インターネットなどの情報化が進み、人の暮らしや社会が多様化する
さらに「何もしないと日本はどうなってしまうのか?」という問いに対しては、「そうした流れにうまく対応しようとせず、現状に甘んじていると、日本は、緩やかだが、着実な衰退を迎えてしまいます」として、何もしなかった場合、
(1)経済活動の規模が小さくなり、1人1人の暮らしが貧しくなる
(2)国や地方の借金が増えたり、個人や会社のその返済のための負担が大きくなったりする
(3)日本が世界に及ぼす影響力が小さくなり、世界の動きに左右されてばかりいる国となる
(4)お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままとなり、社会の雰囲気が悪くなる
という四つの方向を示しています。
※ ※ ※ ※
なにもしなければこうなってしまう。そして、そうならないためにはどうすべきか、という、まさに「ビジョン」が次に示されています。
それが「明るい日本の未来のために何が必要でしょうか?」という問いへの答えです。
ビジョンには「そのような衰退の道を辿らず、明るい日本の未来を実現するためには、将来の目標(目指すべき将来像)を明確に持ち、それを実現するための基本的な考え方(戦略)と手段(具体的な行動)が必要です」と書かれ、以下の3つの方向性を目指すべき、と結論づけています。
(1)開かれた文化創造国家
日本が持つ文化や技術は、他国に負けない素晴らしいものです。これを世界に発信し、世界中の人が日本に集まるような、魅力的で存在感のある国になることが可能です。
そのためには、人の質(人間力)を高める教育を行うなど、文化を盛んにしたり、新しい技術を生み活用したりするような環境を整えることが必要でしょう。また、より自由な海外との取引のために地域的な経済の結びつきを強めたり、外国人労働者を受け入れたりするなど、外国との交流を活発にさせることも必要でしょう。
(2)「時持ち」が楽しむ「健康寿命80歳」社会
健康な人が増え、様々なチャンスと自由な時間があれば、高齢化の時代でも、活力のある社会を維持することができます。
そのためには、健康の維持や病気の予防に力を入れたり、自分の生き方を自由に選べるようにすることが必要でしょう。また、お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままといった、貧富の差が固定化しないよう、勉強したり、働いたりする機会の平等が確保されることも必要です。
(3)豊かな公・小さな官
政府は政府にしかできないサービスをもっぱら提供すべきです。政府の借金ができるだけ増えないようにするほか、私たちの暮らしの安心を支える社会保障制度が長持ちするようにする必要があるでしょう。
現在世の中の役に立つ活動をしてみたいという人が増えています。そうした人たちを支援することも必要でしょう。
この報告書は平成17(2005)年4月に世に出されていますが、(3)にある豊かな公・小さな官というビジョンの延長上にあるのが郵政民営化でした。
郵政民営化関連法案は、この年の通常国会では衆議院で可決したのですが、8月8日に参議院において否決されました。そして、この結果を受けて小泉首相は『民営化の賛否を国民に問う!』として、衆議院を解散し、自民党の内部分裂を乗り越えて、9月11日の総選挙では、与党の郵政民営化賛成派が圧勝し、10月に関連法案を通過させたのでした。。
まさに、自民党はこのときこれからのあるべき姿を掲げて国民に信を問うたのでした。小泉劇場の真骨頂でもありました。
※ ※ ※ ※
最近外務大臣の麻生太郎さんが「とてつもない日本」という著書の中で『日本のアニメはすごいんだ』ということにふれて話題になりました。
実は上記の(1)の「開かれた文化国家」という分野でのワーキンググループの討議を読んでいると、まさに日本の漫画やアニメがハリウッドの若手制作者の間に静かな影響を与えもてはやされているという事情などが語られているのにふれることができます。
「鉄腕アトム」「マッハGO!GO!GO!」「Akira」などがその代表なのだとか。日本のアニメ、そしてオタク文化はまさに日本にしかないオリジナリティを持っていて、それがこれからの日本のソフトパワーにつながるだろう、ということなのです。
こうしたビジョンは、公表もされているし情報公開もされているのですが、実はこれを世の中に理解してもらうにはもう一段、エンターテイメントという能力が必要で、日本人にはそうした感性がやや欠けているとも言われています。
宮崎県の東国原知事などはその例外かもしれませんね。
いずれにしても、これからの日本のビジョンを理解すれば、地方都市や自分の生き方を考えるのにも有効なのです。紆余曲折はあっても、まさにその通りになってゆくのですから。
※ ※ ※ ※
今夜の10時ですが、参議院選挙は与党惨敗が伝えられています。なるほど、事前の下馬評というのは当たるものだ、と妙なところに感心しました。
さて、国民の選択結果を受けてこれからの日本はどうなるのでしょうか。変化を受け止めて自らも変わって行かなくては生き残れません。
生きるための変化こそ進化です。
今日読んでいたのは、2004年に小泉政権の下で議論された「日本21世紀ビジョン」です。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/vision/index.html
これは当時の経済財政諮問会議の下部組織として専門調査会が作られたもので、各界の専門家たちを集めて自由な意見交換が行われ、これからの日本がどうなるか、そのためには何をしておかなければならないのか、が語られています。
ホームページに掲載されているのは、発言者の名前を伏せた自由な討議の要旨ですが、活発な意見交換の様子が分かります。そしてこの議論は3年前のものですが、それから今日に至る3年間の間にこの中身が少しずつ実現していることが分かるのです。
21世紀ビジョンの最終報告書は冊子になって販売もされていますが、骨子はホームページに掲載されています。
そこでは「これからの日本が迎える大きな流れ」として以下の3点を掲げています。
(1)全体の人口が減る、お年寄り(高齢者)の割合が増える
(2)国境を越えた交流がいま以上に増える、アジアの国々などが大きく経済発展する
(3)インターネットなどの情報化が進み、人の暮らしや社会が多様化する
さらに「何もしないと日本はどうなってしまうのか?」という問いに対しては、「そうした流れにうまく対応しようとせず、現状に甘んじていると、日本は、緩やかだが、着実な衰退を迎えてしまいます」として、何もしなかった場合、
(1)経済活動の規模が小さくなり、1人1人の暮らしが貧しくなる
(2)国や地方の借金が増えたり、個人や会社のその返済のための負担が大きくなったりする
(3)日本が世界に及ぼす影響力が小さくなり、世界の動きに左右されてばかりいる国となる
(4)お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままとなり、社会の雰囲気が悪くなる
という四つの方向を示しています。
※ ※ ※ ※
なにもしなければこうなってしまう。そして、そうならないためにはどうすべきか、という、まさに「ビジョン」が次に示されています。
それが「明るい日本の未来のために何が必要でしょうか?」という問いへの答えです。
ビジョンには「そのような衰退の道を辿らず、明るい日本の未来を実現するためには、将来の目標(目指すべき将来像)を明確に持ち、それを実現するための基本的な考え方(戦略)と手段(具体的な行動)が必要です」と書かれ、以下の3つの方向性を目指すべき、と結論づけています。
(1)開かれた文化創造国家
日本が持つ文化や技術は、他国に負けない素晴らしいものです。これを世界に発信し、世界中の人が日本に集まるような、魅力的で存在感のある国になることが可能です。
そのためには、人の質(人間力)を高める教育を行うなど、文化を盛んにしたり、新しい技術を生み活用したりするような環境を整えることが必要でしょう。また、より自由な海外との取引のために地域的な経済の結びつきを強めたり、外国人労働者を受け入れたりするなど、外国との交流を活発にさせることも必要でしょう。
(2)「時持ち」が楽しむ「健康寿命80歳」社会
健康な人が増え、様々なチャンスと自由な時間があれば、高齢化の時代でも、活力のある社会を維持することができます。
そのためには、健康の維持や病気の予防に力を入れたり、自分の生き方を自由に選べるようにすることが必要でしょう。また、お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままといった、貧富の差が固定化しないよう、勉強したり、働いたりする機会の平等が確保されることも必要です。
(3)豊かな公・小さな官
政府は政府にしかできないサービスをもっぱら提供すべきです。政府の借金ができるだけ増えないようにするほか、私たちの暮らしの安心を支える社会保障制度が長持ちするようにする必要があるでしょう。
現在世の中の役に立つ活動をしてみたいという人が増えています。そうした人たちを支援することも必要でしょう。
この報告書は平成17(2005)年4月に世に出されていますが、(3)にある豊かな公・小さな官というビジョンの延長上にあるのが郵政民営化でした。
郵政民営化関連法案は、この年の通常国会では衆議院で可決したのですが、8月8日に参議院において否決されました。そして、この結果を受けて小泉首相は『民営化の賛否を国民に問う!』として、衆議院を解散し、自民党の内部分裂を乗り越えて、9月11日の総選挙では、与党の郵政民営化賛成派が圧勝し、10月に関連法案を通過させたのでした。。
まさに、自民党はこのときこれからのあるべき姿を掲げて国民に信を問うたのでした。小泉劇場の真骨頂でもありました。
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最近外務大臣の麻生太郎さんが「とてつもない日本」という著書の中で『日本のアニメはすごいんだ』ということにふれて話題になりました。
実は上記の(1)の「開かれた文化国家」という分野でのワーキンググループの討議を読んでいると、まさに日本の漫画やアニメがハリウッドの若手制作者の間に静かな影響を与えもてはやされているという事情などが語られているのにふれることができます。
「鉄腕アトム」「マッハGO!GO!GO!」「Akira」などがその代表なのだとか。日本のアニメ、そしてオタク文化はまさに日本にしかないオリジナリティを持っていて、それがこれからの日本のソフトパワーにつながるだろう、ということなのです。
こうしたビジョンは、公表もされているし情報公開もされているのですが、実はこれを世の中に理解してもらうにはもう一段、エンターテイメントという能力が必要で、日本人にはそうした感性がやや欠けているとも言われています。
宮崎県の東国原知事などはその例外かもしれませんね。
いずれにしても、これからの日本のビジョンを理解すれば、地方都市や自分の生き方を考えるのにも有効なのです。紆余曲折はあっても、まさにその通りになってゆくのですから。
※ ※ ※ ※
今夜の10時ですが、参議院選挙は与党惨敗が伝えられています。なるほど、事前の下馬評というのは当たるものだ、と妙なところに感心しました。
さて、国民の選択結果を受けてこれからの日本はどうなるのでしょうか。変化を受け止めて自らも変わって行かなくては生き残れません。
生きるための変化こそ進化です。
