北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

戦いを終えて~「撤退戦の研究」を読む

2007-07-30 23:55:54 | Weblog
 豪雨が雷とともに襲うかと思うと晴れ間も見られ、不安定な天気の一日。参議院選挙の結果が出たのと同時に、天も何か言いたげです。

 どのテレビ局の番組や新聞を見るまでもなく、与党は完敗。野党…と言っても民主党が大躍進と言うことで、今後の政局運営は不安定なものになることでしょう。

 夜は知人とお酒を飲んだのですが、彼はぽつりと「いずれにしても公務員たたきは与野党が共有できる目標になるかも知れないなあ」と一言。改革とは漠然と何かを変えることでも時計の針を巻き戻すことでもなく、これからの行く末を見計らって、そこにむかって粛々と社会を動かすこと。

 これからの社会がどうなるかを見据える眼力が政治には必要です。

  

    ※    ※    ※    ※

 夜は知人と飲んでいて、話題が人事権ということに及びました。

「安倍総理ももっと早く人気のない大臣を切るべきではなかったでしょうか」と言う私の問いかけに知人は「人事権って、トップと言えでもすべてを掌握しているものではないんですよ。そうですねえ、3割も通れば良い方かな。あとはたいていがしがらみの中でそうせざるを得ない状況にある、というのが私の見方ですね」との答え。なるほど、そういうものでしょうか。

 今日ちょうど読み終わった本が「日本人はなぜ同じ失敗を繰り返すのか~撤退戦の研究」(半藤一利・江坂彰 知恵の森文庫)でした。

  

 この本の中では、第二次大戦での日米の戦い方を振り返りながら、リーダーの資質などについて半藤さんと江坂さんの対談が行われています。

 半藤さんはリーダーの六つの条件というのを挙げています。それは
①権威を明らかにして責任を取ること
②組織の目標を明確にするための決断をすること

③焦点の場に位置せよ
④情報を自分の耳で確実に聞くこと

⑤規格化された理論にすがらないこと
⑥部下に最大限の任務遂行を求めること

 …の六項目で、必ずしもトップ出なくても部下を持つものの心構えとして重要なことでしょう。

 これに対して江坂さんは「それでは私は駄目な経営者(トップ)を挙げましょう」として逆な面からトップのあり方を示しています。江坂さんが掲げる、駄目な経営者とは、

①目的がはっきりしていない官僚的経営者
②時代性のない経営者

③問題を先送りする経営者
④部下の人気取りばかり考えている経営者

⑤運の悪い経営者
⑥いまだに「全員ガンバレ」と言っている経営者

 という六つでした。自戒を込めて、これらを心に刻みたいものです。

    ※    ※    ※    ※

 駄目だ、と思ったときの撤退については、レスター・サローという人の言葉を引いて、「マネジメントとは、結局のところ、失敗する前に方針を変えるよう説得することだと思う。失敗して変えるのは当然。うまくやっている間にいかに変身を図るか」だと述べています。

 うまくいっているときが凋落の始めです。消耗戦を避けて、体力を見極めながら戦う位置を下げて新しい防衛戦を築くことが大事だ、とも。

 日本では撤退戦をしようものなら「臆病者」だとか「弱腰」などというネガティブなレッテルを貼る傾向にあって、それが最前線にいるものの的確な判断を妨げる要因ともなっています。プロを信じる社会と、社会に信じられる最前線のプロであることの両方が求められます。

 さて、選挙の結果はどう受け止めるべきでしょうか。常に変身を図りながら変えることができた方が次の勝利者とは言えそうですが。

コメント
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