駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『フレンズ』~韓流侃々諤々リターンズ34

2022年02月08日 | 日記
 2002年日韓共同制作ドラマ。脚本/岡田恵和、ファン・ソニョン。深田恭子、ウォンビン。

 冒頭5分の脚本、演出がひどくてダサくて倒れそうになり、見るのをやめようかと思いました…が、見続けたらまあまあおもしろかった(笑)、なんならうっかり泣きました。まあわざとベタに作ってるんだろうけどさあ…こういうトコあるよね岡田恵和。
 しかし若くてぱんぱんな深キョンがめっちゃカワイイ。ウォンビンもさすがに若い、イ・ドンゴンも若くて丸い。てかキャストがめっちゃ豪華なんだよね! 当時TBSとMBCがめっちゃ力入れて制作したんでしょうね。日韓ワールドカップサッカーってやはりエポックメイキングな出来事だったんだなあ…今やあまり語られることがない気がしますが、このドラマもとてもエポックメイキングなものだったのでしょうね。まあ私自身も20年近くぶりに再生したわけですが…
 てかソウルが懐かしすぎて行きたすぎてたまらなくなりました! ソウルタワー、トンデムンシジャン、インサドン、キョンボックン…でももう今はだいぶ様子が変わってしまっているのかなあ。そしてもう韓国から日本へのビザは要らなくなったのかもしれない、物価は日本の方が安くなったかもしれない、でも韓国の徴兵制はまだある。そういう意味ではまだまだ問題はあるし、まして今はコロナで行き来もできない、触れ合いもできない…智子とジフンが握手したときにジフンの手が震えていた、というのはとても印象的なエピソードだと思うのだけれど、こういうことが今ない、ドラマとしても作れない、というのは大きいな、とも思いました。残念ですが、一刻も早くウィルスが克服されることを祈るしかありませんね…
 しかし後半になっても深キョンの韓国語が上手くなっていないのはもうちょっとどうにかしてほしかったぞ、演技として成立していないレベルじゃんか…対してイ・ドンゴンは確か本当に日本語ができるんですよね、あとウォンビンは英語が本当に話せたはず。そういうグローバルのレベルが日本は当時も低かったしまして今はもっと低下しているんだと思うと、嘆かわしいです。
 そしてこういうときには花を買う!というのが韓国男子ですよねえ。こういう空気も未だに日本には根付いていません。まさか全然成長していないってことなんだろうか…
 ジフンの映画監督も智子の観光ガイドも、当時は願えば叶えられる、ってのはわりと嘘くさくなかったんですよね。日本もまだバブルの残り香があったし…それも今や、と思うと本当にもの悲しくなりました。その後も韓国映画は世界に打って出るようになったけれど、日本は観光大国とは言いきれないままだし外国人への差別なんかも全然解消されず未熟なままですもんね。やはり成長が止まり凋落し始めていったこの20年、ということなのだろうか…しょんぼり。


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安寿ミラ ドラマティックコンサート『Belle Lune』

2022年02月07日 | 観劇記/タイトルは行
 よみうり大手町ホール、2022年2月5日18時。

 シャンソンCD発売記念の一夜限りのコンサート。構成・演出/寺崎秀臣。

 チケットを手配したのが遅かったのでかなり後ろのかなり端っこの席でしたが、ここは問題なく観やすく音のいい良きホールなのでした。
 舞台下手に街灯、上手にテーブルと2脚の椅子。テーブルには赤い薔薇を飾った細い花瓶と、手紙らしき白い紙。バンドはピアノ、チェロ、ベース、ギターにアコーディオン。いずれもとても素敵でした。
 ヤンさんのお衣装は最初は濃いローズレッドの、まさしく薔薇のようなプリンセスなドレス。低い位置のお団子に赤い髪飾りがオトナ。続いて肩を出した黒のブラウスとパンツ、お団子を解いてラフな感じに。ハットを持ったり被ったりのダンスのくだりもありました。次は地が茶か渋いモーブにも見える上に黒のチュールが乗ったようなドレスで、髪は巻いていて、ラストはチラシビジュアルにもあった白のすとんとしたドレスでした。髪の巻きはさらにゴージャスに。ドレスの後ろの裾が長く引いているのを蹴って位置を整えるのヤンさんが超キュートでした(笑)。
 ヤンさんはもともと声が低いし、今も歌声は現役時代とあまり印象が変わりません。変わった声だし、当人が「歌手じゃない」というように別に上手いわけではないと今でも、ファンでも思う(^^;)。でも味があるのは確かだし、6年前から真剣に取り組んでいるシャンソンの世界は奥が深くて、魑魅魍魎めいた大御所(笑)もたくさんいるところだけれど、フランス語の勉強もしてこれからもさらに人生の経験を重ねて深めて、お化けと呼ばれるくらいまでがんばりたいそうです(^^)。ついていきたいです! 別にウケようとしてしゃべってるんじゃないんだろうけどトークがそこはかとなくおもろくなっちゃうヤンさん、いいわあ…
 最初の数曲は日本語の歌が多く、惚れた腫れたの歌が続いていたので、どちらかというと昭和のフォーク感も感じましたが、アコーディオンの伴奏だけで「パリの空の下」を歌ったあたりから、特にフランス語で歌うものは歌詞の詳細まではわからなくても情念みたいなものが伝わるようで、シャンソンの奥深い世界に引き込まれました。先日の大空さんのライブのセトリとも被るも曲も多く、有名なものばかりで耳馴染みもあり、楽しかったです。
 越路吹雪トリビュートコンサートの歌稽古でナンパされてまとまった企画のようでしたが(笑)、プロが歌わせたいと思う魅力があるんでしょうね。90分のオトナの、贅沢な時間を堪能させていただきました。在宅勤務のBGMにCDを愛聴しようと思います!






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新国立劇場演劇研修所『理想の夫』

2022年02月06日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 新国立劇場、2022年2月4日14時。

 19世紀末期のロンドン社交界。外務大臣ロバート・チルターン(須藤瑞己)はウィーン社交界の花形・チェヴリー夫人(末永佳央理)から、過去の過ちを種に不正に加担するよう迫られる。妻のチルターン夫人(笹野美由紀)は彼を清廉潔白な理想の夫と信じ、崇拝していた。彼女に打ち明けることができず苦悩するロバートは、親友のゴーリング子爵(神野幹暁)に相談するが…
 作/オスカー・ワイルド、翻訳/厨川圭子、演出/宮田慶子。1895年初演、ワイルドの四大喜劇のひとつとされるが日本では初上演。第15期修了公演として上演。全2幕。

 星組『ザ・ジェントル・ライアー』の予習に、とチケットを取って出かけてきました。残念なことに私のバウチケは公演中止期間に当たってしまい、今はあわてて手配したKATTチケットを握りしめて待つ事態なのですが…今回の観劇で軽快なせおっち、生真面目なあかちゃん、悪女なはるこ、いじらしいほのかちゃん、おきゃんでおはねなうたちが見えた気がしたので、是非とも上演してほしいと思っています。戯曲では名前しか出てこない人物も宝塚版では登場するようですし、場面や情景も増えるでしょうし、何より歌とダンスとフィナーレがつくのですからね。
 今回は、やや古風な、お芝居らしいお芝居を楽しみました。貴族のタウンハウスでなされるほぼ会話劇、みたいな戯曲ですものね。先日復刊された角川文庫の訳者あとがきによると(未読。プログラムの記載より引用)「ワイルドの台詞は技巧的であり、非現実的なまでに洗練されている。日常生活の生の会話を戯曲の台詞として使うなどはもっての他(註※ここは「外」が正しいのでは…)、そんな作家は芸術を人生の奴隷とさせるようなもので、芸術家とは言えない。芸術は人生より優位に立つものであり、人生に手本を示すものであ」る、という美意識に基づいて作られている作品なんだそうです。それにしては、二幕はまあまあ笑いが沸いていましたが、一幕では台本をただ朗読しているように見えかねない退屈な場面があったりと、芝居の緩急ないし演出が足りないのかな、と思わせる部分はあったかな、と思います。喜劇だけれど、シニカルに振るのかユーモラスにやるのかそれとももっとコミカルなのか、もうちょっと工夫があってもいいのかな、と感じたのです。でも台詞は明晰でドレスのお衣装(衣裳/西原梨恵)がとても素敵で、世界観が味わえて楽しかったです。この時代の貴族は社交シーズンはロンドンのタウンハウスで、午前中は乗馬か散歩、午後に男性はクラブか議会、女性はお茶会などの社交、夜は揃って舞踏会やオペラ観劇やパーティー、オフシーズンにはカントリーハウスへ…夢のような生活ですね(笑)。楽隠居できたらやりたいものです。
 星組版は、現代日本で上演され女性が演じ主に女性の観客が観る舞台、ことに宝塚歌劇として、ワイルド特有のこの女とは、男とは、妻たるもの、夫たるもの…みたいなやや冷笑的な視点をどう振って作るか、が問われるところだと思います。ただのラブコメにしちゃうのはもったいないと思うし、作品の本質がわかっていないってことになりそうですしね。期待していますよ! 無事の上演をお祈りしています。
 マークビー卿夫人役の日沼りゆが、ちょっと星南のぞみふうの美人で目を引きました。星組版では水乃ちゃんのお役かな、楽しみです。そしてうたちのメイベル(安藤百合)はさぞキュートでチャーミングなことでしょう…! フィブス(高倉直人)が素敵でした。こういう従僕って絶対この世界にいますよね…!
 そういえば登場人物たちがみんな戸口でいちいち止まってから舞台に出てくるのはなんだろう、としばらく気になっていたのですが、あれは見えない従僕がいて見えない扉を開け閉てするのを待つ仕草だったのかなあ…正直微妙に感じました。このあたりのリアリティとの格差の課題は、こういうお芝居にはつきものなのかも…うぅーむ。

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宝塚歌劇団花組『元禄バロックロック/The Fascination!』

2022年02月05日 | 観劇記/タイトルか行
 宝塚大劇場、2021年11月6日13時(初日)、7日11時、30日13時、18時(新公)。
 東京宝塚劇場、2022年1月4日11時、2月1日18時半。

 花咲き乱れる国際都市、エド。我々の知る日本とよく似た個の国では、海外のさまざまな最先端科学を取り入れた百花繚乱のバロック文化が形成されていた。幕府を筆頭に市民たちもハイカラな南蛮文化に夢中で、一方で義や忠、武士道といったものは忘れ去られ、合理性の名の下に金や権力のみが重視される世界になっていた。元赤穂藩士のクロノスケ(柚香光)はある日偶然にも時を戻せる時計の発明に成功し、時を戻すいかさまで賭場で大儲け。だが何故か女性を相手にすると誤作動して上手くいかない。そんなクロノスケを見て楽しそうに笑う賭場の主・キラ(星風まどか)。キラのきらめく笑顔にクロノスケは心をざわめかせるが…
 作・演出/谷貴矢、作曲・編曲/太田健、多田里紗。架空歴史物の忠臣蔵ファンタジー。

 初日の感想はこちら
 その後の感想も、だいたいはここに書いたとおりですね。
 東京まで来ても台詞の「口車に騙される」「精算をつける」という誤用(正しい慣用表現は「口車に乗せられる」「決着をつける」)が修正されていないのは残念でした。歌劇団は可及的速やかに脚本に校閲を入れてください、みっともないです恥ずかしいです。
 あとは、クロノスケとキラにだけ見られましたが、ナチュラル芝居というかテレビ芝居というか素っぽくしようとする芝居というか、要するに声が小さく早口になるアレはなんだったんでしょうか?という疑問が残りました。今まで観たことがない例なので、わざとやっているんだと思うし演出の指示もあったのかなと思うのですが、声がマイクに乗りきっていなくて聞こえないし、大劇場サイズではまったく伝わらない演技で意味不明でした。役がひとり言のように、本心のようにぼそっと言う、という演技、芝居に至れていない謎仕草でした。いいと思ってやっているなら早急に改めていただきたいです。
 クロノスケがキラの両肩に両手を置いて、その手を握ったり開いたりする仕草も謎だったなあ…何を表現しているのかさっぱりわかりませんでした。普通に肩を抱けばよくない? あるいは掌をそのまま肩に置けばいい。何故手首を置いて掌を浮かせるのか? だから掌のしどころがなくなっちゃうんでしょ? それでただグーパーしてるとか…悪目立ちするんですよ。感染防止で接触を避けている…とかでは全然ないじゃん、他ではベタベタ密着してるんだからさ。なんで誰も何も言わないんだろう…
 …と、細かいことで気になることはいくつかありましたが、おおむねは楽しい、よくできたラブロマンスだったと思っています。タイムリープものとしても、キラの髪型の変化含め何周か繰り返しているのをひとつながりにして観せているのだ、という構成もいい。忠義のための死より建設的な和解を、というテーマもいい。ただし何度も言いますがそれは国のためなどではなく、あくまで民のため、己たちの幸せのため、という視点はあってほしいですが。ツナヨシ(音くり寿)は為政者ではあってもそういう視点を持った名君だと思いますよ、民のために国があるのではなく国のために民があるのだと考えるような残念な現代日本の政治家たちに自分を重ねるのはやめましょうねタカヤ…

 大劇場新公も観られたので、以下簡単に感想を。てか東京新公も友会が良席を当ててくれていたのでホント楽しみにしてたんだけどなー…進化を観たかった、残念です。
 らいとは今月号の「歌劇」でチャームポイントについて自分でも「身長ですかね(笑)」と回答しちゃうお茶目さん(笑)ですが、タッパがあってデーハーなお衣装が映えて、センター力がたいしたものでした。出番の多い主人公で集中力を保つのが大変そうで、あっぷあっぷしているきらいがなきにしもあらずでしたが、その一生懸命さがクロノスケの優しさやひたむきさ、根が真面目な感じにつながって、気持ちのいい好青年っぷり、主役っぷりになっていたと思います。歌もまっすぐに歌えていました、これからがさらに楽しみですね。
 あわちゃんは逆にちっちゃくて、まどかのお衣装に埋もれて見えるようなところがありましたが、可愛くはっちゃけていて頼もしかったです。なんか口が四角に開くんですよね、カワイイ! 好き!! 私は星空ではなく美羽派です!!!
 そしておおおぉナニこのワルヒゲイケオジ素敵ヤバい惚れる…!ってなったのがコウズケノスケのだいや。よかった! きみの新公主演もきっと観る!! カエデが都姫ここちゃん、美人! ツバキが稀奈ゆいちゃん、声がよかった!
 タクミノカミは天城れいんくん、こちらもプリンスっぽくてお役にぴったりでした。
 クラノスケは芹尚くんで、上手いし手堅いけど華はなかったかな…でもリクの星空ちゃんは役作りを工夫していて好感を持ちました。こういう役どころの経験、大事!
 ヨシヤスのたおしゅんも華があったなー。そしてツナヨシは愛蘭みこちゃん、こちらも可愛くて歌えてパンチあって絶品! ケイショウインは私が大好き咲乃深音ちゃんで、しっとり美しかったです。
 鞠花姐さんのところのアヤメ、三空凛花ちゃんがさすがハキハキと美しく、和海しょうのところのヒサミチ、涼葉まれくんも歌が良くてダンスだけじゃないのね!と開眼しました。 あ、らいとのところのヨミウリの遼美来くんも可愛かったです。


 レビュー・アニバーサリーは作・演出/中村一徳。
 綺麗で華やかで楽しかったけれど、やはり長くてやや間延びしていましたかね…往年の名曲をスターが歌い銀橋を渡る、というのに頼りすぎな気がしました。誘えば観るし楽しんでくれるけれど何度観せてもスターの顔や名前を覚える気がいっさいない、という知人を同伴したときに、やや退屈している気配が感じられて、そりゃそうだよなこのターン意味不明だもんな、と思ったのです。お芝居仕立ての場面が後半にもうひとつあってもよかったと思います。
 ただ、銀橋はよそのショーもこれくらい使え、組子もこれくらい出せ、とは思いましたね。どなたかのツイートで組子を出し過ぎ、知らない生徒も多かったみたいなことを言っているのを見かけたんですけれど、そらアンタがこの組を全然観ておらず組ファンでなく組子を知らないだけやろ、と思いましたね。組ファンなら全員の名前と何故ここに出せてもらえているかの説明ができたと思います。普通に納得の人選、ピックアップですよ。腹立ったなーアレには…
 私は「ピアノ・ファンタジィ」場面の再演なんかもとても意義があることだと考えていて、こういうことは今後も折に触れてやっていくといい、と思いました。観劇したOGが軒並みここの感想をインスタなんかで語っていたのも微笑ましかったです。
 でもマイティーの大羽根もエトワールの素敵ドレスも結局最後まで叶いませんでしたね…それは非常に残念です。反省せーよ劇団…
 今回も東京中盤に長期の公演中止期間があって、生徒さんは本当に大変でしたでしょうが(太った人も痩せた人もいた…)、明日がいよいよ千秋楽ですね。帝国劇場『笑う男』が開場後に初日中止となったように、幕が上がるまで、いや降りるまで油断ができない世の中ですが、引き続き健康と安全第一にがんばってください。無事の上演を祈っています…! そして星組と宙組の少しも早い初日を…!!



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