映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

TOVE/トーベ(2020年)

2022-06-06 | 【と】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv72409/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1944年のヘルシンキ、戦火の中でトーベ・ヤンソンは自分を慰めるようにムーミンの世界を作り、爆風で窓が吹き飛んだアトリエで暮らしを始める。

 型破りな彼女の生活は、彫刻家である父の厳格な教えに相反していたが、自分の表現と美術界の潮流との間にズレが生じていることへの葛藤、めまぐるしいパーティーや恋愛を経つつ、トーベとムーミンは共に成長していくのだった。

 自由を渇望するトーベは、やがて舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い、互いに惹かれ合っていく。

=====ここまで。

 言わずと知れたムーミン原作者、トーベ・ヤンソンの半生を映画化。

 
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 昨年の劇場公開時に行きたかったのだけど、タイミングが合わず見逃し、、、。ようやくDVDで見ました。……ま、DVDで十分だったかな。
 

◆個性的な面々

 トーベのお父さんは著名な彫刻家だったようで、トーベの創作活動に何かとケチをつける。しかも、結構悪意を感じる物言いで、これはトーベは辛いよなぁ、、、と思って見ていた。トーベはお父さんのことを尊敬しているので、尊敬する人に貶されるってのは精神的に削られるだろう。

 お母さんは挿絵画家で、この方はトーベの良き理解者。まあ、お父さんがああでも、このお母さんがいればトーベもいくらか救われただろう。トーベが何だかんだと潰れなかったのはお母さんの存在が大きいのではないかと感じた次第。もちろん、それだけではないと思うが。

 基本的に、お父さんとの芸術家としての葛藤が通奏低音として描かれており、それがムーミンの成功でラストへ向けてどう変化するのかも見もの。割とベタな着地のさせ方をしているが、まあこれはこれで良いのでは。私も思わずもらい泣きしちゃったし。実際はどうだったのか知らないけど、wikiを読む限りでは戦後に和解しているらしい。

 トーベを取り巻く人々は皆個性的なんだが、主に、2人の人物との関係がメインに描かれる。

 1人は、スナフキンのモデルとも言われる男性アトス・ヴィルタネン。スナフキンとは大分イメージ違うけど、この時代の男性にしてはかなりの自由人として描かれている。トーベとはしばらく不倫関係。ある朝、アトスの妻からトーベの部屋に電話がかかってきて、アトスも平気で電話に出て、、、なんていうシーンもあった。

 もう1人は、ビフスランのモデルであるヴィヴィカ・バンドラーという女性。ヴィヴィカとトーベは出会ってすぐに恋愛関係になるが、ヴィヴィカは既婚者、トーベにはアトスがいるという、、、。本作では、トーベの気持ちは明らかにヴィヴィカ>>アトスとして描かれており、アトスと結婚を決意した後に、ベッドでアトスの腕の中にいながら「ヴィヴィカ……」と名前をつぶやいて結婚話は消える。それまでヴィヴィカとの関係も黙認していたアトスだったが、さすがにこれは堪えたということか。

 実際のアトスは左翼の活動家だったらしく、トーベとの結婚がナシになったことにヴィヴィカが絡んでいるのかどうかは分からない。まあ、ヴィヴィカとの関係は知っていたのだろうけど。

 フィンランドでも、当時は同性愛は犯罪で精神疾患の一つとされていたというのだから、まあ、さすがのトーベと言えども、一度は結婚を考えたのだろう。その辺は本作内ではほとんど描かれていないが、ヴィヴィカがトーベに「手紙の差出人名は毎回変えて」と言っている辺りで察しはつく。

 何だかんだと、トーベは出会いと人脈に恵まれ、“本業”と言っていた油絵よりもムーミンが爆発的に売れたわけだけど、おおむね芸術家としては恵まれた人生だったと言えるのではないか、、、と見ていて感じた。


◆うぅむ、、、なモロモロ

 ……というわけで、終始、落ち着いて心穏やかに見ていられる映画だった。だからこそ、グッとも来なかった、、、ごーん。

 トーベはイロイロ悩んで苦労しているし、ムーミンが売れるまでも簡単ではなかったのだけど、でも、創作活動においてはどうしようもなくなるまで追いつめられることなく成功への道が開けるし、お父さんとは確執があるとはいえ、お母さんは理解者だし、弟も才能があってトーベの仕事を手伝ってくれる、、、という具合に、比較的ハッピーである。

 なので、本作ではヴィヴィカとの恋愛がメインフォーカスされているのだろう。私の目には、あまりヴィヴィカが魅力的に映らなかったので、トーベがどうしてそこまで彼女に執着するのかがイマイチよく分からなかった。ヴィヴィカを演じたクリスタ・コソネンという女優さんは大柄の美人だけど、奔放というと聞こえは良いが、どう見てもセックス依存症じゃないの?というくらい、男女問わず誰彼構わず寝る人なのである。トーベも「あの人はやめとけ、私も寝た」と、仲の良い女性から言われているシーンがある。

 まあ、人を好きになるのは理屈じゃないし、本人にしか分からないので、それは良いのだけどね。ヴィヴィカがものすごく魅力的に見えれば、もっと説得力があったかなぁ、、、と感じた次第。

 あと、お父さんを演じたロベルト・エンケルという俳優さんは、あの『ボーダー 二つの世界』(2018)に出ていたとかでビックリ。何の役だったのだろう、、、??

 途中、市庁舎の壁画を描くシーンがあるが、その壁画が素敵だった。ヘルシンキに行けば実物が見られるらしい。行きたいなぁ、、、でも、行けないだろうな、当分は。フィンランドにしてみれば、それこそウクライナの戦争は他人事ではないだろうから。ヘルシンキのロシア大使館前で、フィンランディアを(国名をウクライナに変えて)歌うヘルシンキの人々の動画がTwitterで流れて来たけど、あれを大使館内で聴いていたロシアの大使館員はどんな気持ちだったろうか、、、。

 

 

 

 

 

 

 


ムーミンの人形劇はちょっと怖い、、、。

 

 

 

 

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