映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

真夜中の招待状(1981年)

2016-12-30 | 【ま】



 精神科医・会沢吉男(高橋悦史)の下に、若い女が訪ねてくる。その女は、稲川圭子(小林麻美)と名乗り、自分ではなく、婚約者・田村樹生(小林薫)がノイローゼ気味だから、一度診て欲しい、というのである。

 ノイローゼの原因は、樹生の兄2人が次々に蒸発しており、その原因がまったく分からないからだという。7年前に長男・原田順吉が熊本で、そしてつい先日、二男・捷平が沼津で、いなくなってしまったのである。

 そうこうするうち、東海村の原子力施設で技術者として働く3人目の兄・原田和生(渡瀬恒彦)も遂に蒸発してしまう。兄たちと樹生の姓が異なるのは、四男の樹生だけ、幼い頃に田村家に養子に出されたからだという。

 かくして、会沢は本格的に4人兄弟の抱える問題の真相に迫るのだが、、、。

 主演は小林麻美なのに、全く活躍しないでただそこにいるだけの役という不思議な作品。 
 
 
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 またまた、リストに入れた記憶のないDVDが送られてきました。やたらと豪華な出演陣なのに、中身はスカスカのハリボテ映画でござんした。でも、違う意味でイロイロと見どころの多い作品で、それなりに楽しめました。


◆蒸発の真相

 “蒸発”って、最近あんまり聞きませんよねぇ。昔は、TVや新聞・雑誌とかで時々見聞きしたように思いますが。今時は、“失踪”っていうんですかね。人間が蒸発する、ってある意味すごい表現ですが、なかなか言い得て妙だなぁ、と。忽然と姿を消した、という意味がよく表れているというか、、、。

 兄たちが蒸発した理由は、最初は、ちょっとオカルトチックで失笑ものだったんですけれど、最終的には、一応まあ、それなりの理由になっていました。その理由とは、、、。

 熊本で薬局を営んでいた長男の原田順吉が、客の久世(米倉斉加年)に、強力なステロイド剤を処方したことにより、久世の息子は容貌が激変して症状が重篤化し、元の身体には戻らなくなってしまった。そのことによる、久世の恨みが引き金になっていた、、、というオハナシ。

 なんで、順吉のことで、他の兄弟にまで影響が及ぶのか? ステロイド剤を使うことを勧めたのが二男の捷平だった。三男の和生は、それらの事実を知って久世に謝罪に来たのだが、久世の息子の姿を見て、兄たちの所業に心を痛め自殺(?)ということらしい。和生の死の真相についてはあんまり明確な描写がなかったので、イマイチよく分かりませんでした。

 ……などという内容は、なんだかどーでもよい感じです。かなり破綻しているオハナシですよねぇ。ツッコミどころが多過ぎで突っ込む気にもなりません。


◆豪華キャストが泣くゼ

 本作の見どころは、上記のような謎解きとかストーリーではなく、役者さんたちそのもの、ですね。豪華キャストを、非常に贅沢に使っています。

 大体、三男役の渡瀬恒彦なんて、ホント、チョイ役で、出演時間にして5分くらいですかねぇ。後は、死体になって後半出てくるだけ。もったいないなぁ。

 芦田伸介も、圭子の父親役で、まさしくチョイ出。なんと贅沢な。

 途中、心霊写真が小道具で出てくるんですけど、会沢と圭子が、その写真を「心霊研究所」なるところに持ち込んで鑑定してもらうわけです。その研究所の主(?)みたいなオバサンが、なんと、黒々としたボブスタイルのズラを被った北林谷栄さま。かなりビミョーな若作りでギョッとなります。最初、一瞬分からなかったけど、声を聞いて「ん??」とよく見たら、谷栄さまでした。その後、研究所の一室で“降霊術”なるものが行われるんですが、まあ、この辺の描写はバカバカしすぎてひきつった笑いが浮かびます。

 あと、東大の教授役で丹波哲郎御大がご登場。本作では霊界研究者ではなく、単なる催眠療法の研究者ってことでした。ここでも御大の出演時間は、ものの5分程度。催眠療法している以外は、セリフらしいセリフも大してなく、こちらももったいない。

 久世を演じた米倉斉加年は、結構ハマっていたかも。私、米倉さん、結構好きだったんですよねぇ。スゴイ渋い役者さんだなぁ、と思っていました。善人も悪人も見事に演じられる、素晴らしい役者さんだと思います。彼のおかげで、本作の後半も、どーにか見られると言っても良いでしょう。

 宮下順子さまは、やはり大胆な濡場を演じておられます。彼女は、蒸発した長男・順吉の妻ミツの役なんですが、久世の息子の世話をさせられ、なおかつ久世の慰み者になっており、ミツが一番気の毒かも知れません。

 あと、感激だったのは、久々に見た中島ゆたかさんですね。一昔前は、2時間ドラマとかでしょっちゅうお目にかかっていたように思うのですが、、、。今、どうしていらっしゃるのでしょうか。悪女役が多いですけれど、ちょっと謎めいた感じの美人で、存在感あります。でも、ゆたかさんも、和生の妻役で、またまたチョイ出。

 小林薫は、さすがに若い。カッコイイ、、、というのとはちょっと違うけど、確かにイイ男。まあ、でも個人的には、もう少し歳とってからの薫氏の方が好きだなぁ。神経症になった男の役で難しかったんでしょうか、ちょっと、んん~~、な感じでした。、、、というか、相手役の小林麻美のせいかもね。
 

◆小林麻美と家事手伝い

 その小林麻美さまですが、、、。彼女が人気あったことは何となく覚えていますが、当時から、私には彼女の魅力がゼンゼン分かりませんでした。確かにモデル体型で、雰囲気美人ではあるけれど、よく見ると顔もフツーですし、歌も歌ってましたけれど、お世辞にも上手とは言い難く、、、。♪とーめてぇ、あのぉショパン! の部分しか耳に残っておりませんが、、、。

 彼女、今年、女性雑誌か何かに、久々の登場をされたとか。きっと、相変わらずおキレイで、、、っていう展開なんでしょうね。

 本作での彼女は、まあ、なんというか、もしかして記念受験ならぬ、“記念主演”だったのかしらん、と思っちゃいました。とりあえず人気あるから、彼女主演で行こうや、、、みたいな。セリフ回しも拙く、表情もほとんどなく能面のようで、、、。

 そもそも、彼女は謎解きに奔走する割に、何か、いてもいなくてもいい感じの役なんですよねぇ。別に彼女が動いたことによって、事態が動く、というわけでもなく。彼女に危険が迫る、というわけでもなく。ただ、その場に居合わせている人、なんです。なんだかなぁ、、、。まあ、彼女の演技力を考えて、そういう脚本にしたのかも、という気もしますが。

 強いて見どころを挙げれば、とっかえひっかえの衣装と、バストを晒したベッドシーンくらいですかねぇ。このベッドシーンは当時話題になっていたのを覚えています。こう言っては失礼ですが、痩身で胸も貧弱なお体なので、あんまし官能的な画ではなかったです。宮下順子さんの方がよほど色っぽいし艶がある。ま、比べては気の毒ですけれど。

 田舎に調査に行くのに、もの凄いファッショナブルな服装でお出ましの圭子嬢。……というか、化粧も濃くて、正直言って、お嬢と言うよりホステス、って感じです。時々、あのロングパーマヘアーにバンダナをするスタイルがあるんですけど、戦後の東京とかを描いた映画やドラマに出てきそうなパンパンに見えてしまう。なんでこんな下品なスタイリングにしたんですかねぇ、、、。バブル前夜の時代って、あんなファッションがウケてたんですかねぇ?

 ところで、圭子嬢は一体、何をしているお方なんでしょう? 今で言う、“家事手伝い”ってやつですかね? 序盤で、芦田伸介演ずる父親とのシーンで、彼女がなにやら作業している描写があるんですけど(アクセサリー作り?)、ハッキリ言って、何しているのかさっぱり分からず。もの凄い豪邸に住んでいるので、ヒマを持て余しているお嬢、ってことなんでしょうか。

 ……イイ歳して、働けよ。81年といえば、まだ均等法施行以前の時代だし、働く女は腰掛け扱いが主流だったとは思うけれど、それにしても、この時代にこの女の描写はいかにも後れており、呆れてしまいます。


 

 

 

 



オープニングの新宿高層ビル群の映像は、、、??




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2 コメント

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rainy days 待ちきれず~♪ (松たけ子)
2016-12-31 12:37:13
すねこすりさん、こんにちは!
早いもので、もう大晦日ですね~。お正月は、ゆっくり過ごされることでしょうか?
真夜中の招待状!懐かし!小林麻美、人気ありましたよね~。実は私、子どもの頃憧れてました~。ベストテンに出てくれないのがすごく気になって、気づけば雨の日には窓辺でやるせなせげ~にアンニュイに溜息をつく何ちゃって小林麻美、とかおばかなガキだった(笑)。最近復帰したみたいですね。見たいような、見たくないような。
この映画、まさに小林麻美ファッションショーでしたね~。ムダに豪華なキャスト、オカルト?な意味不明ちっくな話も、今となっては珍妙なカルト映画として、一部の人には人気があるとかないとか…
蒸発って、確かに何だかノスタルジーさえ感じる言葉!私も優雅な家事手伝いになって、事件の真相を追いたいわ~。
今年もスガズカお邪魔してしまい、すみませんでした。来年も遊びに来させてくださいね!
2017年も、いっぱい映画観ましょう!それでは、よいお年を~☆彡
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冬眠準備完了! (すねこすり)
2016-12-31 19:35:44
たけ子さん、コメありがとうございます♪
麻美嬢に憧れてたなんて、意外っす。
アンニュイってより、やる気なし子に見えてたのは私だけだったのかしらん(^^;;
これから、紅白横目に年賀状書きます。
たけ子さんも、良いお年をお迎えください。
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