作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv81093/
以下、公式HPよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
テキサス州西部のシングルマザー、レスリー(アンドレア・ライズボロー)は、宝くじに高額当選するが数年後には酒に使い果たしてしまい、失意のどん底に陥る。
6年後、行き場を失ったレスリーは、かつての友人ナンシー(アリソン・ジャネイ)とダッチ(スティーヴン・ルート)のもとへ向かうが、やはり酒に溺れ呆れられてしまう。
そんな中、スウィーニー(マーク・マロン)という孤独なモーテル従業員との出会いをきっかけに、後悔だらけの過去を見つめ直し、母親に失望した息子(オーウェン・ティ―グ)のためにも、人生を立て直すセカンドチャンスに手を伸ばしはじめる。
=====ここまで。
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主演がアンドレア・ライズボローなので見に行きました。彼女は、これでオスカーにノミネートされていたのですね。……というのは見た後知りました。今年のアカデミー賞関連、ほぼニュース見ていなかったので、、、。
◆宝くじに高額当選すると、、、
ほぼ予備知識なく見たのだが、スチール画像(moviewalkerのtop画像と同じ)のライズボローの様子がタダゴトじゃない感いっぱいなので、まあ、雰囲気は予想して行った。中盤までは予想どおりで、ヨレヨレになったライズボローとシビアな展開であったけれど、終盤は多少の救いもあり、鑑賞後感は悪くない。
ライズボローは、「ナンシー」(2018)でもそうだったが、ちょっと病んでいる感じがめっちゃハマる女優さんである。不健康な役を演じるのが実に巧い。
生い立ちも不遇そうなレスリーは、きっと元夫もDV野郎か何かだったんだろうと思われるが、シングルマザーで高額宝くじに当たった後、あっという間にその金を全部アルコールで使い果たして、本作は、そのどん詰まり状態から始まる。
宝くじの高額当選者は、日本では匿名だけど、アメリカでは氏名が公表されることになっているとか、、、どこかで見聞きした記憶がある。日本じゃ、「高額当選したことを周囲に言ってはいけません!!」と、かなりしつこく金融機関から指導されるらしいが、おおっぴらにウン千万も当たったとなりゃ、そら集りに来る輩がうじゃうじゃ湧いてくるのも容易に想像がつく。
先日見ていたYouTubeで、あるFPの方がお金の話をしていて、そこで言っていたんだが、人間とはそもそも大金を持つと使っちゃう生き物なんだそうである。例えば、1億円宝くじで当たった場合、そのうちのウン千万キャッシュで家を買って、残りは預金に回して、日々の生活は今まで通り地道に働いて、、、ってことはなかなか難しいのだと。大抵の人は、1億円あればあるだけ使っちゃうのだとか。悪銭身に付かず、、、ってか。私の友人は、高額当選したら、老後の資金を除いて、残りは全額寄付する、、、などと奇特なことを言っていたが。私だったらどうするかなぁ、、、、。1億円あれば、100万円の旅行が100回できるのだなぁ、、、。……と、これは取らぬ狸ですな。
お金があり過ぎても人生狂うが、なさ過ぎると、人生行き詰まる。文無しとなったレスリーは、息子にも拒絶され、あちこち放浪して、下手すりゃそれこそ野垂れ死にしてもおかしくない状況にまで追い詰められる。
私はそんなレスリーを見ていて、それでも生きようとするレスリーに、何となく感動していた。私がレスリーなら、どこか空き家でも見つけて、もう人生に見切りをつけるかなぁ、、、などと思ってしまっていたので。彼女はそういう素振りは全く見せない。生活力はないけど、生命力はある、、、ってことかな。
◆終盤はファンタジー
ライズボローがオスカーにノミネートされたというのは納得だったのだが、終盤の展開は、個人的にはあんまし好きじゃないかも、、、。
モーテルのオーナーに救いの手を差し延べてもらって立ち直りのきっかけを得る、というのはいいのだが、最終的にそのオーナーのおじさん・スウィーニーと恋仲になっちゃうのがね、、、なんかなー、と。
色恋が絡むと、人間関係が俄然メンドクサくなるじゃん、普通。依存症克服者&理解者、という関係なら、持続的な関係を築けると思うけど、恋仲になっちゃって、本作内ではそこまでは描かれていなかったと思うが、夫婦になっちゃった日にゃ、イイ関係でいられなくなる要素がいっぱい出て来ちゃうんじゃない? カネの話、子供の話、前妻の話、、、etc。依存症だったこともネックになりかねない。スウィーニーの前妻は、レスリー同様アル中で、それが原因で離婚したと言っていたし。だからレスリーを理解できるって言うけど、どーなのかねぇ。
おまけに、レスリーはモーテルの向かいにある廃屋を改修してカフェ(レストラン?)をオープンさせるんだが、その経営だって大変なわけで、スウィーニーとの間にはトラブルの火種が多すぎる気がするんだよね。
あと、本作に決定的に欠けているのは、レスリーがどうやってアル中を克服したのかが一切描かれていない点かな。依存症を克服するのって、本人の意志だけじゃどうにもならんわけで、医療や回復施設などの介入が絶対的に必要なはずなのに、それらは完全にオミットされている。これでは、いくらファンタジー映画だとしても、あんまりじゃないかねぇ。ワンシーンでもいいから、レスリーがのたうち回って依存症そのものと闘っている姿を見せておくべきだったのでは、と思う。
……とはいえ、本作は終盤こそファンタジーではあるものの、中盤までは結構シビアであり、途中までの展開はケン・ローチを思わせる。ローチの映画は酷な現実を描くのだが、必ず一筋の光明を見出せる展開が多い。ローチのアプローチは一貫しており、厳しい状況にある人間が立ち直るには、本人の意志や努力が必須ではあるけれど、それ以上に、周囲がほんの少し手を差し延べることの大切さをいつも描いている。
そういう意味では、本作も同じで、死を考えても不思議でないようなシビアな状況に置かれた人間でも、本人の努力とほんのちょっとの周りの手助けで立ち直れるのだ、という希望をもたらす映画として存在意義は十分にあると思う。
宝くじ、買ったことないのですが、買わないと当たりませんよね。
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