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再びの巨木巡礼 1 熊野神社の大クス(島田市牛尾)


熊野神社の大クス/島田市牛尾、牛尾山
奥に熊野神社が見える。「疾病終息祈願」の幟り旗も見える。

永年御世話になったプロバイダーを移ることになり、四半世紀前に「巨木巡礼」と命名して始めた、個人的なホームページで、長く手付かず状態だったものを、終了することになり、この頃、そのデーター保存をしていて、思い付いた。

あれから20年以上経つ間に、その巨木たちがどうなっているのか、再訪してみるのも面白そうである。

バブルがつぶれても、大震災があっても、コロナ騒ぎがあっても、巨樹、巨木は大地に根を張り、びくともしない。いや、何があってもその場から逃げ出せない運命にある。高々100年の人の命をはるかに越して、何百年、数千年とその場で生き続けている。

そんな巨木たちも、かって経験したことのない、この急速な気候変動には難渋しているのではなかろうか。マツクイムシにやられたり、大風や土砂崩れに倒れたり、人に嫌われて切られたり、この四半世紀の短い間にも、消えていった巨木の話も伝わってくる。

以前に訪れた記録と照合しながら、そんな巨木たちを再訪してみようという計画である。県外に出ることは憚られるから、先ずは静岡県の近場から始めてみよう。ほとんど車で移動し、目的の巨木にたどり着いても、観光客がいるわけではないから、三密はもちろん、一密にもならない。今時の旅の遣り方かもしれない。



この題字はホームページに使っていたものである。当時、取引仲間の人に作成していただいたものである。今回もそのシンボルマークとしよう。

「巨木巡礼」を始めた経緯について、HPに以下のように書いている。

平成4年9月、会社の先輩と縄文杉を見に屋久島へ行った。4時間の歩行の間に、たくさんの屋久杉を見て、その大きさに驚いたりあきれたり、そして縄文杉に会った。森の中で、他のどの屋久杉よりも、桁外れに巨大に生きていた。まだ若々しい木肌の、壁のような幹に触ると、数千年生きてきた巨木から、命が流れ込んで来るような、不思議な感覚に打たれた。
 

縄文杉
その後、図書館で、静岡県の巨木を調査した本を見つけ、静岡県内にも巨木がたくさん存在することを知った。その本の中で、代表的な巨木として、写真と地図が付いた153本の巨木について、早速、所在地を国土地理院発行の2万5千分の一地図に落とし、会社の先輩3人に呼びかけた。「巨木を見に行こう!」と。
(注)あの当時、まだ世界遺産にもならない時で、縄文杉の側まで行けて、触ったり抱きついたり出来た。今では遠くから眺めるだけで、我慢しなければならないようだ。

さて、思い付いたが吉日と、昨日の午後、先ず「熊野神社の大クス」を女房を誘って、見に行った。自宅から散歩で寄ったこともあるお馴染みの巨木である。

当時、自分だけの巨木、「MY巨木」として、このクスを勝手に決めていた。誰にことわることもない、自分だけの約束事である。あまり流行ることはなかったが、苦しい時に逢いに行けば勇気がもらえる巨木として、全国でどれだけの人が「MY巨木」 を持っているだろうか。調べてみたい気もする。


熊野神社の大クス/島田市牛尾、牛尾山


平成8年11月30日「巨木巡礼」時の大クス

この大クスは巨木巡礼の当時、静岡県の巨木153にも入っておらず、天然記念物指定もなかった。その後、平成13年に、市指定天然記念物になっている。以下、「巨木巡礼」(1996 .11.30)から引用する。

金谷町の北部の大井川沿いに小高い台地-牛尾山がある。遠目にも一叢の木立ちが見える。大井川岸から登ると、茶畑の中に熊野神社はあった。樹高50mの楠は社叢から突き抜けて高かった。

社殿の前を塞ぐようにそびえていた。このクスノキは静岡県の153本の巨木には入っていない。太さでは34本のクスノキ中、16番目に当たる。何よりも樹高50mはダントツの1位である。次が35mだからすごい。自宅に近いひいき目ではなく、巨木に入っていないのはおかしいと思う。だから番外として取り上げることにした。

平成13年、市指定時の案内板に、「樹高35メートル、幹回り11メートル、枝張り37メートル、樹齢400年以上」とあった。幹回り11メートルは根廻りの間違いだと思う。島田市博物館のHPには「根廻り11m」と記されているが、幹回りは記されていない。幹回りは「巨木巡礼」では、8.5メートルとある。一度、測り直してみるか。(幹回りは、地上120から130cmの辺りの太さを示す)

近くに、牛尾山を貫通するように新東名が通り、新東名の向うには工業団地が出来るという。また、いつの間にか、境内手前左手の樹木が切られ、砂利が敷かれて駐車スペースが出来ていた。その分、明るくなって写真が撮りやすくなった。ただ、クスの脇に楕円形にロープが張られ、枯れた枝が落下の注意書きがあった。環境の変化で、このクスがいつまでこの樹勢を保てるか、少し心配になった。

どこまでも根が拡がる
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