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江戸繁昌記初篇 64 上野 4

(自宅前を通る、地区の祭りの子供屋台)

神社が遠いため、地区を一回り、子供屋台が廻る。近くの住民は何がしかの祝儀を持たせ、それをが子供会運営の費用の一部にあてる。自分たちが30代の頃、祭り当番の時、始めた祭りのイベントである。それにしても子供の数が何と少なくなったことか。

午前中、女房の在所から収穫した小振りの渋柿を干す作業をする。結局45個出来て干す。(今までの計85個)

「江戸繁昌記初篇」の解読を続ける。

秋、湖面に入る。幅員数里、芙蓉(蓮)を看て、水を看ず。碧繖葉上、紅白相(あい)、真に美錦、真に彩雲。遊人、星みて言うに、夙に駕す。蓬莱亭の仙液卯時温を取り、蓮寿亭の蓮飯丙夜に炊熟す。庖丁、燭を照して、羹(あつもの)を調え、声妓暁粧してを侯ず。
※ 碧繖(へきさん)- みどりの傘。
※ 夙に駕す(つとにがす)- 朝早く乗り物で出掛ける。(乗り物はここでは舟)
※ 仙液(せんえき)- 仙界から出る水。温泉のこと。
※ 卯時(うのとき)- 午前六時前後の二時間。
※ 蓮飯(はすめし)- ハスの若葉を蒸して細かく刻み、塩を加えてまぜた飯。はすのはめし。
※ 丙夜(へいや)- およそ今の午後11時または午前0時からの2時間。子の刻。三更。
※ 声妓(せいぎ)- 芸者。芸妓。
※ 暁粧(きょうしょう)- 朝化粧。
※ 聘(へい)- 礼をあつくして招きむかえること。


但し禁有り、采蓮舟を泛(うか)べ、(さお)水をして妓衣に濺(そそ)しむることを得ず。予、徒(いたず)らに豪客韻士のためにこれを憾(うら)むのみ。残秋惨憺、もっとも幽情を暢(のべ)るに足る。
※ 采蓮舟(さいれんしゅう)- 蓮の若芽を採る舟。
※ 篙水をして~しむる - 舟竿で舟を進めさせることをいうか? つまり舟遊びのこと。
※ 妓衣(ぎい)- 芸者。
※ 韻士(いんし)- 風雅を愛する人。詩文を作る人。文人。雅客。
※ 惨憺(さんたん)- いたましくて見るに忍びないさま。見るも 無残なさま。
※ 幽情(ゆうじょう)- 深い思い。


友人櫟斎、かつて敗荷するに云う、
    紅衣翠蓋総凋衰     紅衣(蓮の花)翠蓋(蓮の葉)総て凋衰し、
    於雨於風難自持     雨に、風に、自持し難し。
    惨憺愁容何所似     惨憺たる愁容、何の似たる所ぞ、
    斑妃秋扇賦成時     斑妃、秋扇賦の成る時
悽愴想うべし。
※ 櫟斎(れきさい)- 阿部櫟斎。江戸時代後期の本草家。
※ 敗荷(はいか)- 秋になって風に吹き破られたハス。やれはす。
※ 賦(ふ)- 詩歌の形式のひとつ。(例-早春賦)
※ 凋衰(すいちょう)- しぼみ衰えること。
※ 自持(じじ)- 自制。
※ 愁容(しゅうよう)- 心配そうな表情。うれいがお。
※ 斑妃、秋扇賦(はんき、しゅうせんふ)- 前漢の成帝の妃・班婕が、成帝の寵愛を失い、不要になった我が身を秋の扇にたとえて、嘆きの詩『怨歌行』を詠んだという故事に由来。
※ 悽愴(せいそう)- いたましく悲しいさま。
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