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倉真村村柄報告 その2 - 掛川古文書講座

(ドウダンツツジの紅葉 - 松葉城跡ふもとで)

午後、掛川古文書講座へ出かける。先月に引続き、「倉真村村柄報告」の続きである。

一昨日書き込んだ松葉城跡はこの倉真村の松葉にある。同じ辺りの話が続くことになる。早速、読み下し文で示す。

一 萱御入用の節は村々高割りを以って仰せ付けられ候、但し四尺五寸廻り壱束にて、代米弐合五勺ずつ下し置かれ候

一 藁の儀も、右書上候通り、高割りを以って仰せ付けられ候、もっとも代米壱合ずつ下し置かれ候

一 縄大小中ともに、御用の節は高割りを以って、村役に差し上げ申し候、もっとも御藪垣入用御竹下し置かれ候
※ 薮垣 - 薮のような垣根。竹藪などの藪を垣根としたもの。
※ 御竹 - この部分は虫食いで講座でも判読できずに置かれた。後に「御立薮」として、藩が管理した竹薮の話が出てくる。当時は今と違って竹薮が大切な資源だったことが窺える。そこで、ここは「藪垣入用御竹下し置かれ候」と読んでみた。「縄は村役にて差上げるけれども、竹は藩の管理しているものが使われる」という意味になる。


一 渋柿御用の節は、少々ずつ村々へ仰せ付けられ、差し上げ申し候、もっとも壱升に付、代銭三文ずつ、下し置かれ候
※ 渋柿 - 渋柿から取った柿渋は防水、防腐の塗料として大変貴重なものであった。単位を壱升というから、柿渋に加工したものを上納したのであろう。

一 御役人様方御用にて、村方へ御出での節、朝夕御支度の儀、御勘定以上は壱人壱ケ米六合、それより以下は壱人壱ケ四合ずつ下し置かれ候
※ 壱ケ - 一回。

一 御用竹の儀、年々八月御山廻り衆御出でなられ、御見伐り成られ候、根切り持ち届け、村役に仕り候

一 塀柱御用の節は、御山廻り衆御出に成られ、御見伐り成られ候、根伐り持ち届け、村役に仕り候

一 御城内草苅り人足、村々高割りにて差し出し申し候

一 出火の節は、見つけ次第火元へ駈け付け申し候、当村の儀は山を隔て申し候えば、速く見つけ申し候

一 田地質値段の儀、高壱石につき代金壱両壱分ほどに仕り候て、内證通用仕り候
※ 内證(ないしょう)- 内輪の事情。内々のようす。内情。

一 田方種籾、壱反歩に付、八升ほど当て申し候、当村の儀は山付きにても、厚植えに御座なくべく仕り候、三月土用より二三日前、種当て仕り、四月節より二三日前に、苗代を蒔き、五月中前後に植え申し候

一 田方苅り取りの儀、九月土用前より苅り掛り申し候、当村の儀は外村とは違い、猪、鹿、発向仕り、作毛喰い荒し申し候ゆえ、早苅り仕り候、それゆえ米悪しく青米多く御座候
※ 発向(はっこう)- 出発して目的地に向かうこと。ここでは猪や鹿が出ること。今も昔も猪や鹿の被害の深刻さは変わりがない。

(続く)


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