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「台湾人には、ご用心!」を読む

(酒井亨著「台湾人には、ご用心!」)

図書館の予約システムで、新刊書の「台湾人には、ご用心!」を借りた。図書館で本を手にしたとき、場違いな本を借りてしまったかとげんなりした。台湾在住の日本人がその体験から台湾人の気質を書いた本と思って借りた。表紙の絵は、日本に“萌え”の状態にある台湾人を象徴的に示した絵なのだろう。内容はいたって真面目な比較文化論で、誤解して購入する人もいるであろう。

台湾人が大変親日的であることは、台湾旅行をしたことのある日本人が身を持って感じることである。台湾は戦前、日本の統治下にあった。日本語教育が行なわれて、お年寄りは皆んな日本語がしゃべれた。戦後、大陸から逃げてきた国民党統治下になり、中華民国となった。国民党の政治が余りに略奪的で、不満分子の大量の粛清があったりして、日本統治下へのノスタルジーから日本贔屓になっているといわれてきた。

しかし、著者の見解は少し違う。日本統治下であってもすべてが肯定的に考えられているわけでもない。評価されているのは治水や水道、農業開発、衛生面の啓発などであり、強圧的な統治方法まで是としているわけではない。

台湾人は商売の相手としては付き合っているが、基本的に中国人や韓国人は嫌いで、日本人は好きである。中国人や韓国人は他者に厳しく自分に甘い、日本人は他者に厳しいが自分にも厳しい。それに対して、台湾人はマレー系の人種の特徴で、他者に甘く自分にも甘い。どちらにしても、台湾人に対して厳しいのは嫌であるが、日本人は他者に厳しい分、自分にも厳しいから許せると考える。

台湾では日本人というだけで、特別の扱いをされる。中国人や韓国人をはじめ、東南アジアのどの国の人も受けない待遇である。これは元植民地で独立した国が、宗主国の国民に抱く感覚と同じであるという。

若い人たちは、長い平和の時代の産物としての、漫画、アニメ、ゲームなどから始まった日本の新しい文化へ憧れを持っている。そして、日本語を勉強し、遊びに行くなら日本へ行きたいと多くの若者たちが思っている。

台湾の人たちは、大震災で救援物資の配給を整然と行列して待ち、感謝していただく日本人の映像を、日本で放映されると同等のレベルで見てきた。多くの死者を出しながら、落ち着いた態度で終始する日本人の姿を感銘を持って見てきた。国内の一地域が被害にあったような感覚でとらえていた。だから、他人事とはおもえなくて、短期間に200億円という、世界のどこの国よりも桁違いに多くの義捐金が集った。

そんなに友好的な国民であるが、付き合うときには気をつけなくてはならない。東南アジアの多くの国民と同じようにマレー系の人種の特徴で、他人に甘く、自分にも甘い。約束は平気で忘れる。ドタキャンは日常茶飯事。しかし人を騙そうとするような悪意はない。だから咎めるのが難しい。面罵すると、面子を傷つけられたと、反撃される。一方、大陸の中国人は、いつでも平気で悪意を持って人を騙そうとする。だからその場で厳しく糾弾しても、面子を失ったとは思わない。その手が通じないと理解して、2度と同じ手は使わなくなる。しかし、新たな方法を考える。扱い方としては中国人の方が扱い易いかもしれない。
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