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まるでビジネスホテルのような宿坊

(一番霊山寺大師堂)

お遍路1日目 5月7日(木)30071歩-距離17.5km

朝から雨、覚悟の上、雨合羽を着て出かけた。一番霊山寺-1.4km-2番極楽寺-2.6km-3番金泉寺-5.0km-4番大日寺-2.0km-5番地蔵寺-5.3km-6番安楽寺-1.2km-7番十楽寺。これが本日の行程である。歩いた距離は17.5km、自分が歩く量としては少ないけれども、この間に6番までの6ヶ寺で本堂と大師堂の各2回、極楽寺は奥の院の大師堂まであったから都合13回、般若心経を含めたお務めを果たしながら行くわけで、思いのほか時間がかかることがわかった。雨だから時間がさらに掛かる。結局、朝7時半に出発して、夕方の4時半にようやく7番十楽寺にたどり着いた。7番十楽寺のお参りは明朝とすることにした。

ほとんど一日断続的に降った雨だが、安楽寺に向う5.3kmが最も大降りになり、くたびれてきたこともあって、くじけそうになった。何とか十楽寺のゴングに救われたといったところである。

7番十楽寺の宿坊に宿を取ったのは、耳が遠い民宿の主人がこちらの予定も聞くことなく、勝手に6番か7番の宿坊泊まりと勧めていたのだが、今朝の雨を見て、初日だから軽めに考え、主人の勧め通りに7番十楽寺宿坊と決め、電話で予約した。宿泊料が7700円だが良いかと聞く。高いなあと思ったが、OKした。途中で今夜はどこに泊まるかと聞かれ、十楽寺宿坊と答えると、高いでしょうと答えが返ってくる。設備が最近新しくなってホテル並になったから。

大日寺で会った歩き遍路の男性などは徳島から回り始めて、明日は徳島まで出て終わると話していたが、前に十楽寺の宿坊にはだまされたという。宿坊なら高いことは言わないだろうとの思いと、実際の料金に大きな隔たりがあったのだろう。その男性はこの雨の中、今夜はテントで寝るという。鐘楼の上を貸してくれないかなあと、物騒なことを言う。初めてでは無いようだが、彼にとってお遍路とは何なのだろう。


(十楽寺の宿坊のビジネスホテル並みの部屋)

さて、今宵の十楽寺の宿坊であるが、部屋はビジネスホテル並みである。エレベーターで4階の部屋にあてがわれ、大浴場で冷えた身体を温め、汚れた衣服をすぐ隣のコインランドリーで夕食の間に洗いと乾燥を済ませ、気分爽快である。お遍路に来て、ウォシュレットとインターネットには縁の無い世界だと思っていた。ところが部屋のトイレはウォシュレットで、インターネットにも繫ぐことが出来た。一日雨に降られた疲労が吹き飛んだ思いである。

この雨の中で起きたことはまた書き込むことがあるだろうが、一つだけ書くならば、2番極楽寺の売店でお昼のお弁当を売っていた。この先食事の出来るところは無いから買っておく方がいいと、押し付けがましい。昼はうどんを食べたいと考えていたから、弁当を買わずに進んだ。なるほど、草深いへんろ道には、うどん屋はおろか食事の出来る店もない。昼飯抜きかなと考えていると、奇跡のようにうどん屋の看板があるではないか。時間は12時少し前、そのうどん屋に入った。へんろ道から一般道へ出るところにある。お店はまだ若さの残る夫婦が自宅の脇に造ったうどん屋である。

宣伝をしてないから、口つてに来てくれるお客が相手である。歩きのお遍路さんは今日は朝から3人目で、極楽寺でお弁当を買ってしまったという人もいた。ゴールデンウィーク中でも、歩きへんろは30人くらいだった。へんろ道の脇にあるけれども、お遍路さんは当てにしていない風だった。お客が無いので火を落としていたためだろう、出来るのに30分くらい掛かった。その間、ご夫婦と代わる代わると石鎚山や剣山の話、静岡の話、うどんの話などして過ごした。徳島には鳴門うどんがあるが、ここのうどんは讃岐うどんを勉強して作っているという。舌触りが抜群で、腰のしっかりした旨いうどんであった。3番金泉寺から4番大日寺に向う途中、愛染院の少し先のへんろ道に面している。うどん屋の名前は「萌月」。お遍路にとって貴重なうどん屋だと思う。みんなで育てたい。
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