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まーくんの初節句

(まーくんの兜飾り)

まーくんの初節句のお祝いによばれて、女房と二人で、お昼前にYさん(まーくんの父親の実家)宅へ出かけた。Yさん宅を訪問するのは栗拾い以来である。嫁の実家から五月飾りを贈るのが習慣のようで、兜飾りを贈ってあった。座敷に上がると、座敷の仏壇脇に飾られていた。隣の仏壇も今日は扉が開けてある。まーくんの父方の祖父になるY氏はまーくんの生まれるのを見ずに亡くなられた。生きていらっしゃったら、今日の日をどれだけ喜ばれたことであろう。お線香を上げるに、仏壇の遺影が心なし微笑んでいるようにみえた。

初節句のお客に、まーくんの父親の叔母さんのOさん夫婦と叔父さんのNさん夫婦が加わって、座敷でお祝いの食事会が始まった。主役のまーくんは愛嬌を振りまいて座が和やかになる。まーくんは身の回りのすべての事象が珍しく、興味があって一時もじっとしていない。まーくんに日の丸の鉢巻と陣羽織を着せて、兜を頭に格好だけかぶせ、写真を撮ろうと、大人三人がかりで試みたが、まーくんは怖がって嫌がった。考えてみれば、恐ろしげな物体が頭にかぶさってくるわけで、色々と興味津々であったまーくんも嫌がる気持は分かった。額に巻いた鉢巻も自分で外してしまった。

まーくんが眠くなって寝てしまってからも、大人たちの小宴会は続いた。

Oさんから経営する玉子会社の話を聞いた。何軒かの大規模な養鶏農家と契約して、鶏卵を仕入れ、工場で選別しパック詰めして配送している。一日に50万個も扱う、県下でも有数の鶏卵販売会社である。マーケットや食品加工業者などに毎日大量に鶏卵を納品している。

この不況下でも鶏卵の需要は減らない。最近は自宅で食事をするようになって、卵の売れ行きは増えているくらいである。物価の優等生と言われる卵は、海外製品には決して負けない。事実、卵の国内需給率はほぼ100%に近い。それだけ日本の養鶏の生産技術は群を抜いていると思う。

鶏の餌の半分が卵になり、半分が糞になると言われている。それだけに卵は餌の影響をもろに受けやすい。だから、何を食べさせているか分からない東南アジアの卵は、火を通さなければ怖くて食べれないだろう。生卵を御飯にかけて安全に食べられるのは日本の卵だけである。

自分たちは養鶏農家の生活が成り立つような価格で仕入れるようにしている。日頃従業員に「NO」と言える会社になろうと話している。価格を維持するために、大手のマーケットや食品会社に値引き要請を受けても断わるようにしている。自分たちの品質にそれだけの自信があるし、毎日毎日それだけの量を納められる会社はそうはないと思っている。

マーケットの特売でも仕入れ値が安いわけではなく、マーケットが損をして目玉商品として出しているので、特売の卵だからと言って品質を落とすわけにはいかないから、卵の特売は足が速いだけ新鮮で、本当のお買い得と言える。

卵業界について、その一端を、大変興味深く聞くことが出来た。
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