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読書疲れに読む本

(“みんくる” そばの街路樹、クロガネモチ)

昼、大阪国際女子マラソンで渋井陽子が優勝した。2時間23分台の好記録であった。とばし過ぎてスタミナ切れになったり、スローペースに返って消耗してしまったり、何度も期待を裏切ってきたが、今日の走りはじっと自重し、残り10数キロで一気に出て独走した。ゴールして飛び跳ねるパワーをまだ残していた。ペース配分がうまくいくと、そんな風になるのかと感心した。

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読書に疲れた時に読む本は何ですか? 読書を趣味にする人にそんな質問をしてみたい。おいおい、読書に疲れたら身体を動かしたり、音楽を聴いたりするのが普通であろうといわれるだろう。ところが自分の場合、昔から読書に疲れた時に読む本があった。内容が軽くて、何も考えなくても良い、楽しいだけの本である。自分が今まで読んできた本の中から、そんな本を挙げてみよう。

第一は、北杜夫のどくとるマンボウシリーズである。最初に「どくとるマンボウ航海記」を読んだときは、昭和40年、書き出しから抱腹絶倒で、こんな面白い本が世の中にあるのかと、読書経験の浅いその当時には思ったものである。だから、その後「どくとるマンボウ」と名が付くと、必ず買って読んだものである。もっとも面白さは後になるほど薄れてしまったけれども。

第二に、山口瞳の男性自身シリーズである。週刊誌に連載されていたものだが、週刊誌を買う習慣はなかったから、本になると買って読んだ。男というやつの性(さが)に共感を呼ぶものがあったのだろうが、内容は今ではすっかり忘れてしまっている。

第三に、畑正憲のムツゴロウシリーズもよく読んだ。一、二時間も読めば一冊読めてしまう。何も考えずに散歩してくるようなものである。自然や動物と本の中で、いうなればバーチャルに触れ合ってくることが出来た。畑正憲はどこかで北杜夫の文章から書き方を学んだと書いていた。

第四に、椎名誠のあやしい探検隊のシリーズなどのエッセイである。著者と仲間たちのハチャメチャな活動ぶりが、自分には出来ないだけに大変面白かった。それも著者が若いころの作品の方がたわいがなくて楽しい。年を重ねるにつれて少しずつ重くなってきた。

そして、今はどんな本が読書疲れに読む本になっているのだろうか。一つは阿川佐和子のエッセイをよく読んでいる。女性の日常生活を書いていながら、どこか発想が男性的である。だから読んでいて内容が重くならずに楽しい。もう一つは、三谷幸喜のありふれた生活シリーズである。三谷幸喜についてはかつて書いた。

まだまだ読書の間口が狭いのであろうか、最近それに近い本を探し得ていない。
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