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那智の旅-伊勢神宮内宮

(伊勢神宮内宮)

伊勢神宮は2013年に第62回式年遷宮を迎える。伊勢神宮では20年ごとに社殿の一切の建物を隣りに用意された同じ広さの敷地に交互に造り替え、祭神にお移り願う遷宮が実施される。材木など寝かせる必要もあるのであろう、その準備の行事は8年前の2005年から始まっている。

遷宮は、戦国時代に一時途絶えた時期もあったとはいえ、1300年前の天武、持統天皇の時代から、営々と続いてきた。世界広しといえどもこんなに長く続いた大行事はおそらく無いであろう。20年ごとに社殿が新しくなるということは建築技術が確実に次の世代に引き継がれていくことを意味する。新しく造りかえるのは建物だけではなくて、神様の御装束や神宝も昔通りの方法で新調される。伝統を変えない頑固さはもとより、1000年以上前にこれだけ高度な技術がすでに確立していたことに我々は驚かざるをえない。技術的に無かったのは、おそらく大量生産の技術ぐらいであろう。遷宮が無ければとっくの昔に消えていた技術も多いと思う。

伊勢神宮に参拝するのは何度目であろうか。最初は大学時代に大和、奈良の旅の途中に寄った。あの時も遷宮の行事が進められているときであった。今の前の前の第60回の式年遷宮である。あれからもう40年も経つ。途中何度か参詣したはずであるが、この20年くらいは訪れる機会がなかった。


(伊勢神宮参道の巨木)

五十鈴川に掛かる宇治橋を渡り、五十鈴川の禊場まで出て、神宮の森の中を内宮に進む。久し振りの参拝に感じたことは、森の樹木がどれもこれも太くなっていることである。樹木は生きているから毎日毎年太くなっている。40年という年数は、一年に5ミリメートル太くなっていくと計算すると、0.5×2×3で、一年に3センチメートル幹周りが太くなっている計算になる。10年で30センチメートル、40年では実に1.2メートル太くなっている。40年前に幹周りが2メートルだった杉の木は今では3.2メートルの巨木に成長していることになる。だから、参道の両側に巨木が林立している状況になったわけである。樹木の成長の話は書き込むのが初めてではない。久し振りに訪ねて木々が巨木に成長したのを目にするたびに思うことである。

以上で10回にわたった「那智の旅」を終わりにする。久し振りに古い神々の世界に遊んだ二日間であった。
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