河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2760- ドン・キホーテ、エロイカ、メータ、ベルリン・フィル、2019.11.19

2019-11-19 23:19:17 | コンサート
2019年11月19日(火) 7pm ミューザ川崎

シュトラウス ドン・キホーテ  44
 チェロ、ルードヴィヒ・クヴァント
 ヴィオラ、アミハイ・グロス

Int

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調Op.55 英雄  16-15-6-12

ズービン・メータ 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


聴きごたえ満点のメインディッシュ2皿でした。
メータの棒に沢山沢山接してきた身としては椅子に座っての指揮は、よもやこの日が来るかもしれないとは思わなかったわけではないが、やはり現実になってみると痛々しい。ただ、弱々しいわけではない。むしろ意志の強さが浮き彫りになる。

後プロ、メータのエロイカ。
メータきっちり正統派3拍子振り貫き通し、そこに散りばめられた美的ニュアンス、いいエロイカでした。
音に隙無し。ささくれのないアタック、音量増減の滑らかさ、艶やかなベルリン・フィル・サウンド満喫。機能美というのは殊更に機能的な作品だけに発揮されるわけではなくて、古典派からズシリと足を踏み出した斬新エロイカでちからを発揮する。でかいエロイカでした。そびえたつベートーヴェン、メータ&ベルリン・フィルの底光りする圧倒的なパワフル・精密演奏。お見事でしたね。初楽章の提示部リピート無しはここのところ久しぶりに聴く。おお、この流れ、本筋じゃないかっ、と、何かを思い出した。新鮮であった。

2番に座ったサラさん。初楽章再現部を導くソロ。終楽章は横目で足の長い3番さんを、おい、そこ、遅れるなよ。などとモーションを送る余裕。余裕のアンサンブルはもはや、正の効果が恐ろしくもいたるところに波及し合い、結果、フルオケがうなりをたてて進む。この醍醐味。オーケストラ演奏を聴く醍醐味ここに極まれり。

それにしてもだ、このきれいなオーケストラ配置を見るにつけ、三つ目のホルンはいかにも突き出たものと実感。ベートーヴェンのこの作品の革新的なものをこういったところでも味わうことができる。
巨大なエロイカ、ありがとう。



前プロのドン・キホーテ。ソリスト2名はオケトップ。顔の知れた面々ですね。
シュトラウスも長いもの作ったよね。の、忍耐言葉が虚しい。空虚な言葉に過ぎない。もうなんだか、終わらなくていい。なんという説得力だろうか。
コンパクトな作品ではまるでなくて、ぎっしりと詰まった美音と美音の掛け合い。チェロのクヴァント、ギョロッと明快ででかい音。ヴィオラのグロスは余裕ありまくり過ぎの弾きですな、あちこち見たりしてても、そのことがいい刺激なんだろうね周りにも。みなさん、一人ずつの腕っぷし世界ではあるのだが、アンサンブルの作り込みはお互い最高の演奏を繰り広げるためのモーションに見える。

対向配置ながら第1ヴァイオリンの対はチェロでその後ろが第2ヴァイオリンという配置。何をどう狙って、はたまたどのような良き結果になったのか。わかりません。ヴィオラのグロスはヴォイラトップ位置だったので、なるほどというところはありましたね。

タップリ濃密な弦楽合奏に隙間無し。空洞ができているのではないかと思えるような透明感。ウィンズ、ブラスの微細なニュアンス。奥の奥まで入り込んでいく。雄大なティンパニの締まり具合の良さ。巨大編成が奏でるデリケートでナイーヴなアンサンブル・ミュージック。横と奥に大きな広がりを魅せてくれる驚異的パースペクティヴ。このホールの音響空間がパーフェクトに一致し、響きに大いに寄与。アンサンブル単位の音の増減もものすごくクリアでナチュラル。アンサンブル・モーメントが一体化し紡ぎだす音楽は最高峰で、メータが最高潮に達するまで盛り上げてくれる。目をつむると巨大な機織りが音を紡ぐのがいつまでも目に浮かぶ。最高のビューティフル・パフォーマンスでした。
ありがとうございました。
おわり