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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

田中秀夫 『近代社会とは何か ケンブリッジ学派とスコットランド啓蒙』

2013年10月10日 | 社会科学
 著者は言う。近代社会とは、“個人主義、自由主義、被治者の同意による統治、すなわち議会政治、国民の安寧のために存在するものとしての国家、三権分立、司法権の独立、物質的な豊かさ、寛容、職業選択の自由、思想信条の自由、言論出版の自由、結社の自由など、基本的人権の保障。こういった条項を実現するものが近代社会である”(「はじめに」vii-viii頁)。
 そして著者は続けて、“そのような条件についてのほぼ十分な認識はスコットランド啓蒙がもたらしたと述べて過言ではない”(viii頁)とし、スコットランド啓蒙は“近代思想の「総合」を成し遂げた”のであり、それは“「自然法と共和主義とポリティカル・エコノミーの総合」としての「道徳=社会哲学」”である(viii頁)と要約する。

(京都大学学術出版会 2013年7月)

湯志鈞 『康有為伝』

2013年10月10日 | 伝記
 著者によれば、『実理公法全書』の頃の康有為が言う「公理」が指していたものは、「仏教・西洋科学・陸王の学」のそれであり、当時はまだ今文学の意味が入ってきていない(「第一章 學習西方」本書11頁)。ただし康は、西洋の社会科学のことを、自然科学の成果を取り込んでその上に成り立つ、自然科学以上の科学だと思っていた(同、14頁)。
 著者は、康は最後まで立憲君主制を唱えていたのは確かだが、後年には君主制への執着からそれを唱えるようになっていたから思想的に首尾一貫していたとはいえない、しかし反動というのもあたらない、ただ彼は革命と共和制を志向する時代に乗り越えられてしまっただけだとする。

(台灣商務印書館 1997年12月初版 1998年10月初版第2次印刷)