くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「スクープのたまご」大崎梢

2016-08-21 04:54:57 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 大崎梢「スクープのたまご」(文藝春秋)について書いていませんでした。
 今年はなんだか忙しくて、本を読む暇もなく……。少し落ち着いても感想をまとめる余裕が持てませんでした。しかも、携帯のバッテリーが保たなくなって、途中まで書いたものが全部消えてしまうことがあり……。
 
 主人公は新米雑誌記者の日向子。人事異動で週刊誌の担当になります。
 もともとゴシップ記事の多いこの雑誌を毛嫌いしていたのですが、それはもう仕方がない。異動が決まってからは精読して、カラーをつかもうと努力します。
 日向子の仕事は、事件の下調べ。些末なことかもしれませんが、裏をとるために電話をかけたり近辺で聞き込みをしたりするのです。
 以前編集部にいた同期は、インターフォンが押せなくなったと言います。
 日向子にしても、実際に容疑者が立ち寄った可能性は低い保護司の家を訪ねて、バスを逃したことがあります。
 行方不明の女子高生がアルバイトをしていた店を探したし、カメラマンと同行して偽装行動をすることも。
 各社はスクープ合戦を繰り広げ、出し抜こうともしています。
 最初は嫌で仕方がなかった日向子ですが、先輩方のアドバイスに支えられてどんどんたくましくなっていくのがおもしろい。
 週刊文春のお墨付きだそうですが、編集者としての考え方などもリアルで、日向子の成長ぶりに応援したい気持ちになります。