くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「薔薇の恋唄」山崎洋子

2012-07-16 06:49:48 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 ある日。痛烈に「横浜秘色歌留多」が読みたいと思って、実家の書棚を覗いたけれど見つからず。古本屋を探したら、この本が脇に並んでいました。山崎洋子「薔薇の恋唄」(角川文庫)。
 山崎さんの本を立て続けに読んだことがあったのですが、この本は読んだことがないな、と買ってみました。
 もとアイドル歌手の藤岡みのり。(芸名は高岡まろん、だそうです)
 敏腕プロデューサーの大和田から、ある女性をモデルにした映画への主演にとオファーを受けます。しかし、どうも気乗りしない様子。実のところ、彼女を主役にというのは原作を担当することになっている有名作家の鮎川。監督志望の恋人啓介が、みのりの映画ならば自分がメガホンをとるのも夢ではないと言い出し、大和田や鮎川とイタリアにロケハンに行くことに。
 モデルになったのは南条水晶子(みあこ)という女性で、ゴールデン街のアイドル的な存在だったにもかかわらず、宝石強盗をして海外に高飛びし、ついにはベニスで消息を絶ってしまったというのです。水晶子の足跡をたどるうちに、みのりは自分が驚くほど彼女に似ていることを実感させられ……。
 いやはや、結構破天荒ですかね。わたしは山崎さんの時代ものっぽい作品が好きなんですが。
 ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ベニスと、舞台は目まぐるしいほどに変わり、街の様子や食文化が紹介されていきます。うわー、懐かしい! わたし十年前にイタリアに行ったことがあるんです。すっかりこの経路でした。ローマの石畳で足が痛くなり、時差で頭も痛くなり。みのりがヘップバーンの真似をしてスペイン坂でアイスを食べる場面があって、この当時はできたのねーと感心。単行本出版は92年だそうです。(今は飲食禁止です) 
 フィレンツェのTボーンステーキ、おいしかった。ピッツアも薄くてうまいです。おぉ、ベッキオ橋。ベニスの涙橋もこれを読んで思い出しました。カフェも粋で。いろんな建物とか美術館とか、記憶が蘇ってきました。
 山崎さん、東野圭吾と誕生日がおんなじで、乱歩賞に前後して輝いているんですよね。「しのぶせんせ」が復活するなら、「花園の迷宮」もまた読みたい。斉藤由貴が演じたドラマもよかったんです。
 あれ? この本の話題があんまりないような……。まあ、コミカルな感じで楽しく読みました。でも、この登場人物のような「大人の恋」は、ちょっと遠慮したいなー。
 ……冷静に考えると、わたしの方が年をとっている気はしますが。


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