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くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「新潮日本文学アルバム 斎藤茂吉」

2015-08-22 13:04:51 | 近代文学
 新潮日本文学アルバムといえば、わたしが高校生のころから図書館には定番といわれるシリーズ。わたしも川端の無表情で犬を抱っこする写真を始め、文士のみなさんの素顔をたびたびこの本から見せていただきました。
 しかし、こんなに一冊を熟読したのは初めてです! そのくらい魅力に溢れているのです!
 
 茂吉本を読むようになって、まず最初に茂太さんの「回想の父茂吉 母輝子」を読んでおいてよかったなぁ、と思いました。
 嵐山光三郎の「文人悪食」もこの本を種にしていますし、茂太さんが父の留学した地を巡った写真が、こちらの文学アルバムに紹介されています。
 年表で見てきたことが厚みをもつというか。これまで断片的に捉えてきたことがぴったり収まったというか。
 なぜ茂吉は斎藤病院の跡取りとして上京したのか。
 わたしはずっと、成績が優秀だったためだと思っていたのですが、実は血縁もあった。茂吉の母と斎藤紀一の父はいとこで、茂吉はこの方から凧絵を習っていたそうです。
 また、近くの和尚さんも茂吉を後継者にと、習字や学問の手ほどきをしてくれたとか。
 少年時代の茂吉はすっきりとした顔立ちで、結構どこのクラスにいても違和感のない感じがします。
 漱石も映っている集合写真もありました!(英語を教わったようです)
 伊藤左千夫や島木赤彦、土屋文明……たくさんの文士が登場します。
 若い頃から文壇の中心にいた人なのだなと感じました。

 衝撃を受けたのは、昭和二十六年の文学勲章伝達式の写真です。光田健輔、柳田国男、西川正治、武者小路実篤、初代中村吉右衛門。
 著名文学者が三人叙勲していることにも驚きましたが、光田健輔がこの年に受けていたとは……。(ハンセン病関係の本を読むとよく出てきます)
 わたしにとって、茂吉は「ひげ」のイメージが強いのですが、この本を見ているとひげがない時期もよくあることに驚きます。
 とてもおもしろい一冊でした。

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