くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「おばあちゃんがぼけた」村瀬孝生

2014-10-10 05:18:52 | 社会科学・教育
 徘徊、頼んだことを忘れる、自分は二十歳だという、ひっかく、二階建ての建物で六階に連れて行けという、食べ物を受け付けない、妻を事務員だと思う、何度も電話をかけてくる……。
 以前、近所に住む同僚から、認知症のおばあさんの話を聞いたことを思い出しました。夕方になると、「帰る」というのだそうです。お嫁さんであるその同僚に、丁寧にお暇の挨拶をして。
「おばあさんにとっては、子どものころに住んでいた家に戻りたいのかな」と考えていたそうです。
 息子が手を引いて近所を一周して戻ってくるという話でした。
 「おばあちゃんがぼけた」(イースト・プレス)。老人ホームに勤めていた筆者が見た認知症の方々の生活を紹介しています。
 「安藤商店」のリポビタンDでないと満足できないおばあさんとか、早業で花を摘んでしまうおばあさんとか、その花を育てているおじいさんとのいさかいとか。
 介護の問題は、わたしたちの世代にとって、身近なものになりつつあると思うのです。
 エピソードは印象的なものが多く、それでいてどこかで聞いたことのようなものも多く、考えさせられました。