くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

僕は落ち着きがない

2008-12-17 06:00:57 | 文芸・エンターテイメント
高校時代、図書委員だった。ひがな入り浸って、本を規定数以上借り、仲間とわいわい過ごしたものだ。うちの図書委員は、クラスで何人いてもよかった。先輩たちとも仲がよく、くだらないことで盛り上がったこともなつかしい。
あの雰囲気が、この本の中にはある。長嶋 有「ぼくは落ち着きがない」。舞台は、桜ヶ丘高校図書部。委員だけではまかなえない仕事を請け負っている図書部員たち。
というよりも、クラス選出の委員たちにはどうもやる気の感じられない人が多い。本を愛する先輩たちがこの図書部を設立させたのだそうだ。
図書部と仲の悪い文芸部、作家になった前の司書、多読らしいが主人公に姿を見せない転校生。部員も一人一人個性的で、でもいるいるこういう人! と思ってしまう。
本を愛し、図書室の活性を目指して頑張る部員たち。本のディスプレイなどピーアール企画も参考になるー。
学校図書館で司書教諭をしていると選書は結構悩むそうだ。選定する人によって、カタログ主流の人もいるし、一切見ない人もいる。携帯小説を入れるかどうかも論議の的だとか。わたし個人の考えとしては、学校図書館に携帯小説は不要と思うんだけど……。
この本でいちばん好きなのはここ。85ページから引用します。
「図書館というものは、断じて、人気のある本をてっとり早く読むための施設ではない。たとえそれが少数でも、どこかの誰かが読みたいと願うあらゆる本を、長く保存して未来の読者に託す場所なのだ。」