安倍首相が危惧していたように、東アジアの情勢は大変なことになっている。中国共産党の権力闘争がし烈になっており、いつそれが内乱に発展するか予断を許さない。思い起こせば、1989年の天安門事件のときに、中共は革命一歩手前にまでいったのである。天安門前広場に押し掛けたデモ隊は百万人にも達したという。小平は保守派と妥協し、改革解放の旗手であった趙紫陽が失脚した。そこで登場したのが江沢民と李鵬である。資本主義化を推し進めながらも、自由化は認めないといった支離滅裂な政策であった。中島嶺雄は1993年に出版された『連繋と相反 三つの中国』で「社会主義革命国家としての中国が二十一世紀まで現在の体制を維持することが可能だろうか。社会主義国家としての中華人民共和国が豊かな社会的・経済的果実を遺して来たならともかく、けっしてそうでなかっただけに、中国の国家的将来についての保証はあり得ない」とまで書いていた。追い詰められた江沢民らは、民衆の批判を恐れるあまり、日本を悪者にすることで、国民の団結を確保しようとした。反日教育の徹底である。しかし、それでもすまなくなりつつあるのだ。日本のマスコミは真実を伝えず、実際どうなっているかは推測の域を出ない。それでもネットなどからの断片的知識によれば、習近平一派と江沢民一派とが主導権争いをしていることだけは確かなようだ。腐敗をめぐっての抗争のようにもみえるが、目くそ鼻くその類ではなかろうか。責任のなすりつけをしているだけだろう。極東アジアが緊迫しているのは、中共が根本から揺らいでいるからであり、何が起きても対処できるように、日本は安全保障面に力を入れるべきだろう。
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