『なぜ日本は若者に冷酷なのか』山田昌弘 著 東洋経済新報社 2013年12月初版
団塊世代が若者だったころも多くが決して裕福ではありませんでした。しかし親たちはさらに困窮していた。都会に集団就職した若者たちが故郷に残る親に金銭の仕送りをし、おまけに弟、妹たちの学費まで支援した人も少なくなかった時代でした。今は逆で親が成人した子どもに生活費を与え支えているケースも珍しくないほどになっている。
社会的弱者になった若者たち
団塊ジュニア世代(70年代生まれ)から親と子どもの経済的立場が逆転し始めてきた。団塊世代はそれでも若者が「強者」だった。ところが団塊ジュニア以降は明らかに「弱者」と化してきた。
著者は、親は子どもにやさしくなっているが社会(政府、一般の人々)は若者に冷たく、いまや24歳未満の若者の非正規雇用率は男42%、女52%、このことは社会が冷たいだけに親がやさしくせざるを得ない状況だと述べている。
2013年の税制改定で祖父が孫の教育費を負担する場合1500万円まで贈与税が免除になったのも年寄りと若者の世代間所得格差が背景にあるとみてよい。
就活、婚活、新司法試験にみられる若者のリスクの現状を挙げ著者は解決策を提示する。大手企業は新卒、既卒も同じ条件で採用する。高額な学費を投資して法科大学院を修了して司法試験に落ちたもののためには新たな資格をつくる。結婚しないおひとりさまでも生涯安心の社会保障制度を。内需拡大には共働きが有効。そのためには女性が働きやすい環境を・・。
今日的な大きな問題を著者から具体的な提言をも含めて解説している。良書でした。
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なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する |
山田昌弘 著(中央大教授) |
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東洋経済新報社 |
昭和40年代の「若者たち」
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